“2メガ超”でも薄型に――オリンパスがケータイカメラ向け新方式レンズ

» 2004年01月26日 16時54分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 オリンパスは1月26日、「自由曲面(フリーシェイプト)プリズム方式」を採用したカメラ付き携帯電話向けの薄型レンズユニットを開発したと発表。同レンズユニットを搭載したカメラモジュールを試作した。「2メガピクセルを超える光学系に対応し、高解像度カメラ搭載携帯電話の薄型化に貢献する」(同社)。CCDなどを組み合わせたカメラモジュールのカタチで、今秋をめどに製品化する予定。

mn_olympus1.jpg 自由曲面(フリーシェイプト)プリズム方式の薄型レンズユニット

 急速な普及とともに高性能化も著しいカメラ付きケータイ。その解像度はすでに1メガピクセルを超え、昨年末には記録画素数で2メガピクセルを達成したNTTドコモ「D505iS」や、有効画素数200万画素のCCDを搭載したカシオ計算機のau向け端末「A5403CA」、シャープのボーダフォン向け端末「V601SH」などの登場でついに「200万画素時代」に突入した。

 より高精細な撮影画像へのニーズへの対応や高精度なデジタルズーム機能の搭載には、今後もさらなる高解像度化は欠かせない。だが、これまでの共軸系設計のレンズユニットは、高画素化の際の収差(光線のズレ)補正のためにレンズ枚数を増やす必要があった。

 光学設計上、画素数が多くなるほど厚みが増えてしまう従来型のレンズユニットは、搭載スペースが限られている携帯電話にとって“高画素化の壁”になっていたのだ。

 同社が新たに開発した「自由曲面(フリーシェイプト)プリズム方式」のレンズユニットは、複雑な曲面を持つ2つのプリズムを水平に配置することで光路を数回折り曲げ、そこで収差(光線のズレ)を補正。この自由曲面プリズム2個で、従来の共軸系レンズ3〜5枚分をカバーする性能を持ち、高画素化によるレンズユニット厚の増加を解消できるという。

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 プリズムを使った同方式は、同社のフェイス・マウント・ディスプレイ「Eye-Trek」(コンシューマ向けは生産終了)で使われた光学技術が応用されている。

 「新レンズユニットは“折り紙”のイメージ。大きくなった光学系をまるで折り紙のようにパタパタと折り曲げたのが、自由曲面プリズムの仕組み。一部が凸レンズで一部が凹レンズといった自由な曲面を形成できるため、光学設計上の自由度が大きく、性能向上に有利」(同社研究開発センター光学技術部副部長の槌田博文氏)

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 今回試作されたカメラモジュールは、レンズユニットの厚さが8.5ミリと従来品とほぼ同じ厚さとなっている。搭載されたCCDは1.3メガピクセルタイプだが、レンズユニット自体の解像力は搭載CCDの解像力(中心部/最周辺部ともに179本/ミリメートル)を上回る中心部250本/mm(最周辺部200本/mm)と、2メガ〜3メガピクセルクラスまで対応可能な性能を持つ。

mn_olympus4.jpg 試作されたカメラモジュール

 現在、有効200万画素ケータイに搭載されているCCDサイズはすべて1/2.7インチ。一方、1〜1.3メガピクセル機のCCDサイズは、1/3.6〜1/3.8インチが主流だ。つまり今回のレンズユニットを生かす薄型のカメラモジュールは、1/3.6インチ以下で200万画素以上となる“極小サイズCCD”の登場待ちとなる。

 「共軸系設計の従来型では2メガピクセル化によってレンズ枚数が3枚から4枚に増え、モジュール厚も12〜13ミリになってしまう。今回試作したレンズユニットは、CCDサイズが同じ(1.3メガピクセル)ならば3メガピクセルクラスまで対応可能。また、部品点数の少ない自由曲面プリズム方式は、薄型化だけでなく組み立て工程の簡略化や耐衝撃性などメリットは大きい」(槌田氏)

 また、光がCCDに垂直に入射するプリズム方式は、高画質化にも貢献する。

 「通常の光学系では、小型化にするほど撮像素子に光が斜めに入射する傾向がある。だが、撮像素子の受光部は井戸の底のように奥まっているため、入射光の垂直性が損なわれる(斜めに入射する)と画質劣化の原因となる光量ムラや色ムラが発生してしまう。光の入射角度を垂直にするという発想は、当社DSLR(レンズ交換式一眼レフデジカメ)『E-1』にも採用されている技術」(槌田氏)

mn_olympus5.jpg プリズム方式は光がCCDに垂直に入射(右)して画質劣化を防ぐ

 レンズは単焦点で、35ミリ判換算で35ミリ相当でF2.8というケータイカメラとして標準的なスペックとなる見込み。カメラモジュールとしての価格は、現在販売されている他社製品と同等になる予定。なお、今回のレンズユニットによるズームレンズ化は検討していないという。

 「今回の製品は、従来のレンズユニットとはまったく違う発想で開発されたもの。カメラ付きケータイの高画素化に合わせて、レンズユニットもデジカメと同等の光学性能が求められてくる。また高画素化によって、われわれのような光学専業メーカーの参入メリットが出てきた。今年末には月産50万台規模に生産を拡大し、3年後には年間300億円の売上げを見込んでいる」(同社映像システムカンパニーコンポーネント事業推進部長の豊嶋敬氏)

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