携帯電話にマウス機能を――“世界最小”ポインティングデバイス「MicroNav」

» 2004年02月09日 21時35分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 米Interlink Electronicsは2月9日、携帯電話やPDAなど小型機器に内蔵できる極小のポインティングデバイス「MicroNav」のOEM向け出荷を開始したと発表。「360度のカーソルナビゲーションが可能なマウス(ポインティングデバイス)では世界最小サイズ」(同社)という。同日都内で、MicroNavの説明会を行った。

mn_inter1.jpg 世界最小のポインティングデバイス「MicroNav」

 MicroNavは、同社が開発したフィルム状の圧力センサーFSR(Force Sensing Resistor:感圧抵抗体素子)を使用した感圧型のポインティングデバイス。圧力の加減による速度制御が可能で、9.9(縦)×9.9(横)×1.4(高さ)ミリという“極小サイズ”のデバイスが、一般的なマウスと同様に360度全方向の位置情報入力をサポートするという。

 「黒いシート状の2枚のフィルムの片方が電極で、それを押し当てることで抵抗値が下がるという原理。銀製のクシ型電極を使っており、それをグッと押し付けることで、下の半導体層を通じて電気が流れる」(同社)

 通常のカーボンスイッチは、半導体層の下でスイッチのオン/オフだけを行うが、FSRは押し付け方によって半導体層に銀(電極)がめり込む割合が変化して接触面積が増えるので、電気の流れ(抵抗値)が押下の強弱に合わせてリニアに変化するのが特徴だ。

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 「対数でリニアリティがあるため、ダイナミックレンジが広いのが特徴。そのため、マウス動作のように、抵抗値の変化に合わせてリニアに動かすようなデバイス向けに応用しやすい」(同社)

 同社FSR技術を使ったポインティングデバイスは、タッチパッドへの直接ペン入力をサポートしていた初期のソニーバイオ505シリーズや、NECのLavieシリーズなどに採用されていた実績がある。だが、重量面やコスト面から、これらノートPCのタッチパッドの多くが、近年は静電容量方式が主流となっている。

 「最近はプロジェクターのリモコンにマウス機能やレーザーポインタ機能を付加するといったケースで、FSRを使ったポインティングデバイスが多く使われている。また、家庭用ゲーム機『Xbox』に使われているゲームコントローラーの6ボタン(A/B/X/Y/白/黒)の内部にもFSRが搭載されており、ボタンを押し込むと加速するといった動作をサポートしている」(同社)

mn_inter3.jpg MicroNavを使ったポインティングデバイス試作品

 MicroNavは小型化とともに大量生産向けのデザインを採用。コストダウンとともに、耐久性能を大幅に高めた。キーボードなどに使われるカーボンスイッチの耐久性能は200万回が限界といわれているが、MicroNavは1000万回以上の耐久性をクリア。高い耐久性を求めらるゲームコントローラーに採用されていることからも、その“頑丈さ”は実証済みだ。

 インターネット/ゲーム/デジカメなど高機能化が進む携帯電話では、画面上でポイントを自由に動かすことができるPCマウス的な操作のニーズが高まっている。小型で薄いMicroNavを使えば、携帯電話本体の大型化をせずに360度全方位操作のマウスオペレ-ションを付加できるというわけだ。

 「MicroNavはすでにドイツのPCメーカーに採用実績があるほか、国内でも数社の携帯電話メーカーで検討してもらっている」(同社)

 ただし課題もある。

 MicroNavの1個当たりのコストは、数百万個単位のオーダー時でも約1ドル/個となり、1個が数円で入手できるカーボンスイッチと比べると数十倍のコストアップとなる。数円、数十円単位でデバイスコストを削っている携帯電話にとって、この価格増への影響は大きい。

 「確かにコスト高になるが、連続するアナログスイッチなので、オン/オフしかサポートしないカーボンスイッチと比べて、付加できる機能が数段違う。また、機能付加や感度設定もファームウェアの変更のみで対応できるので、さまざまなアプリケーションに応用できる。携帯電話やPDA以外にも、携帯オーディオプレーヤーのようなコンシューマ機器にも対応可能」(同社)

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