Intelの“世界中どこでもブロードバンド”ビジョン

» 2004年02月20日 23時32分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 米サンフランシスコで開催されたIntel Developers Forum Spring 2004(IDF Spring 2004)。Intel上席副社長ショーン・マローニ氏は、ワイヤレスブロードバンドアクセス時代の到来と、それに対する自らの取り組みについて講演。前回のIDFでデモンストレーションしたミリ波利用の長距離型高速無線アクセス技術「WiMAX」を基礎に、ブロードバンドの普及を加速させるIntelの戦略を紹介した。

photo 「WiMAX」をベースにしたIntel戦略を紹介する上席副社長ショーン・マローニ氏

ブロードバンドはPCの利用を促進。しかし……

 マローニ氏は「ある調査会社によると、ブロードバンドユーザーはそれ以外のPCユーザーの3倍もの時間、PCを利用しているという」と切り出してブロードバンドがPC業界発展のために必要不可欠な要素であるとした上で、その普及の難しさについてこう説明する。

 Sandance社が行った無線LANを用いた映画上映(WMVを用いて720Pフォーマットの映像を無線配信した)など、ブロードバンド化によって新しいコンテンツの可能性が見えてきているが、残念なことにブロードバンド化は当初の見込みを裏切り、遅々として進んでいない。たとえばブロードバンドアクセスの世帯普及率が50%を越えている国は、日本と韓国、わずか二カ国に過ぎない。

 「全世界でブロードバンドが普及したと言える国は、たったこれだけしかない。最初の10億人にインターネットが普及したが、その10億人全員にFTTHを引く国家予算もなく、ブロードバンド環境を持つ者、持たざる者の格差は開く一方だ。10億人以上の人々にブロードバンド環境を提供するため、Intelはワイヤレス技術を使う」(マローニ氏)

IntelのWiMAX計画

 WiMAXは、2003年1月にIEEE802.16として認可された通信規格を元にした長距離無線通信技術。その名称は「Worldwide Interoperability for Microwave Access」の略で、ミリ波を用いた高速通信を行うことができる。

 ミリ波を利用した通信技術は以前から存在したが、IEEEでの規格化に合わせ、無線LANにおけるWiFiと同じような相互接続を保証し、普及を促進する業界団体が発足したことで低価格化と市場の拡大が見込まれる。通信速度は最大70Mbpsで、最大半径30マイル(約48キロメートル)のエリアをカバーできる。

 Intelの計画は三段階に分かれている。まず、WiMAXのアクセスポイントを携帯電話のアンテナと同じ場所に取り付け、屋外のWiMAXサービスを開始するのが2005年前半。家庭や企業などは、屋外に設置するアンテナを通じてブロードバンドに接続可能になる。この時点で、ラストワンマイルの壁は取り払うことが可能になるわけだ。

 次のステップとして、2005年後半には家庭内や企業内にWiFiによる無線LANネットワークが普及し、PCユーザーは無線でブロードバンドに接続する環境が当たり前となる。つまり屋内でのワイヤレス環境整備が進む(現在の日本は、この状態に近い)。そして2006年、WiMAXが802.16eに進化することでモビリティを得るようになる。ノートPCにWiMAXカードが内蔵され、WiMAXのサービスエリア内ならば、どこからでもブロードバンドでインターネット接続が可能になるわけだ。

 WiMAXでのモバイルアクセスは、携帯電話ネットワークを利用したデータ通信の市場を駆逐する可能性もある。WiMAXのサービスエリアが十分に広がることが前提ではあるが、端末側チップが小さく、低消費電力になれば、PC以外にPDAやIP電話などでも使われるようになるかもしれない。

 まさに“世界中どこでもブロードバンド”のビジョンだといえる。

ワイヤレスアクセス環境を――90nmプロセスフラッシュ発表

 マローニ氏はこのほか、関連する製品として90ナノメートルプロセスを用いた世界初のNOR型フラッシュメモリを発表した(別記事を参照)。従来製品に比べ、同容量では半分のダイサイズとなる。またダイを積み重ねてパッケージ化するスタックドCSP技術を用いており、シングルパッケージで最大1Gビットまでの製品がラインナップされる。

 この製品により、PDAや携帯電話といったワイヤレスアクセスの普及に欠かせないデバイスの動作レスポンスや性能、機能が大きく改善されるとマローニ氏は言う。

 また、今年中に超低消費電力化を目指して開発している、全く新しい無線LANチップをリリースする見込みだという。実装サイズも小さくなり、ノートPCはもちろん、PDAなどの小型デバイスでも十分に実用的な実装を行えるようになる。同チップにはBluetoothも統合される。

 さらに、MEMS技術を用いて無線技術を強化する計画もある。MEMS技術を応用したマルチチップ実装により、多くの種類のチップで構成される無線デバイスを小型の基盤に統合可能になる。詳細は明らかではないが、マローニ氏は「次のIDFで詳しい解説を行える」とした。

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