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» 2004年03月10日 23時58分 UPDATE

“回転型には必須”〜エプソンとルネサス携帯向けシリアルインタフェース

「液晶が回転したりひねったりする携帯にはマスト」──。携帯多機能化に伴い、ヒンジ部を通る配線が急増しているのに加え、複雑な形状のヒンジが増えてきたことで、液晶表示用のインタフェースのシリアル化が求められている。各社がさまざまな規格を提唱しているが、エプソンとルネサスは、共同開発したMobile Video Interfaceを無償で仕様公開。デファクトスタンダードを目指す。

[斎藤健二,ITmedia]

 セイコーエプソンとルネサス テクノロジは3月10日、携帯電話のディスプレイコントローラと液晶パネルを接続するシリアルインタフェース「Mobile Video Interface」の開発完了と仕様公開を発表した。

 無償で仕様を公開し、賛同パートナーを募る。まずはブリッジチップをエプソンが提供し、2005年には両社がLCDコントローラやSH-Mobileに組み込んでいく。

ksmvi4.jpg 両社の試作ボード。従来のパラレル転送では49本が必要なところ、QCIFのメイン液晶とQQVGAのサブ液晶を6本の配線で動作させている。Mobile Video Interfaceでは、単方向/半2重/全2重通信をサポート。全2重で8本、単方向ではクロックと信号線の4本が必要となる。試作ボードは単方向だがリセット信号用などで2本がさらに追加されている。Mobile Video Interfaceでは信号線2本を使う電流駆動型LVDSを使うが、National Semiconductorは、信号線1本でシリアル伝送するシングルエンド方式の「Mobile Pixel Link(MPL)」を発表している。そのほかNECエレクトロニクスやロームなども、LVDS方式のシリアルインタフェースを発表済み

 現在、携帯電話向けの表示インタフェースのシリアル化は各社が推し進めている。今年の秋にも製品化するLCDコントローラメーカーもあれば、QualcommもMSM7000シリーズでシリアルインタフェースを準備しており、Nokiaを中心としたインタフェース策定の業界団「MIPI」も、シリアルインタフェース策定に乗り出している。

 「さまざまな方式が提案され、戦国時代。携帯向けである程度シェアを持つエプソンとルネサスで、高速シリアルインタフェースのデファクトスタンダードにしたい」とエプソン半導体事業部の武田浩副事業部長は意気込む。LCDコントローラにおいて、エプソンはカラー液晶付き端末で約30%、ルネサスはカメラ付き端末で約35%のシェアを持つ。

 他社規格に比べると、「より強固になることに主眼を置いた。またスピードはかなり速いので、将来の大容量化に対応できる」(エプソンIC企画設計部の桜井洋一部長)。

 仕様策定は利益目的ではないとし、あくまで「いろいろなインタフェースへの対応を避け、本来の製品開発に集中するため」だとする。

ピン数削減で、複雑なヒンジに対応

 携帯のシリアルインタフェース化のポイントは、“ヒンジ”にある。

 折りたたみ型端末の場合、通常、上部に液晶パネル、下部にCPUが搭載され、これらを接続する配線はヒンジ部を通っている。信号線は現在パラレルインタフェースが使われているが、携帯電話が多機能になると共に、配線数が急増している。「液晶の高精細化、色数増加でピン数が増加したりしている。100線近くがヒンジ部を通っている」とルネサスのSOC第六部の川崎郁也部長は話す。

ksmvi1.jpg 最新折りたたみ型端末では、上部への配線本数が急増している

 さらに端末形状もストレート型や単なる折りたたみ型から、液晶が回転したりひねったり複雑なものが増えてきたため、配線数を少なくできるシリアルインタフェースが求められている。

 川崎氏は「液晶が回転したりひねったりする携帯にはマスト。2つ折りでも、高機能なものにはだんだん必要になるだろう」と、シリアルインタフェースが今後必須となるという見通しを持っている。

ksmvi2.jpg Mobile Video Interfaceなどのシリアルインタフェースによって、配線本数の減少に加えノイズ(EMI)の減少も見込める

大容量データに対応、低消費電力、低ノイズ

 Mobile Video Interfaceのメリットは、

  • 最大200Mbpsの高速伝送
  • 低消費電力
  • 低EMI(Electro Magnetic Interference:電磁雑音、不要輻射ノイズ)

 にある。

 Mobile Video Interfaceは最大200MHzで動作し、その際の転送速度は200Mbps。QVGA液晶の場合、転送速度は100Mbpsあれば間に合うが、将来的に液晶だけでなくカメラなども接続することを見越して転送速度に余裕を持たせた。

 消費電力もシリアル化で削減が見込める。「100Mbpsくらいでは従来と変わらない」が、速度増加に比例して消費電力も増加する従来のインタフェースに対し、シリアルバスではスピードを上げてもそれほど消費電力が変わらないという。

 EMI削減もインタフェースの課題。「携帯電話が通信に利用する周波数帯にノイズが一致すると感度を落としてしまう」(桜井氏)からだ。Mobile Video Interfaceは、電流駆動型のLVDS(Low Voltage Differential Signaling)を使う。信号の振幅を減らしEMIを減らす。

ksmvi3.jpg シリアルインタフェース採用、そして電流駆動型LVDSの採用でEMI減少が見込める

 Mobile Video Interface規格は、2005年第2四半期を目処に速度を400Mbpsまで上げたRev.2.0を策定予定。接続先としては当初液晶を想定しているが、2004年第4四半期には内蔵カメラ、2005年第1四半期にはベースバンドチップとのシリアル接続を想定している。

 両社の対応チップ投入予定は下記の通り。

エプソン
2004年4QLCD接続用 ブリッジチップ「BC1」
2005年3Qカメラ接続用 ブリッジチップ「BC2」
2005年2QMobile Graphics Engine「S1D13xxx」
2005年3Qα-TFT用LCDコントローラ「S1D19xxx」
2006年1Qベースバンド接続用 ブリッジチップ「BC3」

ルネサス
2005年SH-Mobile4
2005年SH-Mobile5
2005年α-TFT用LCDコントローラ「R61xxx」
2005年LTPS用LCDコントローラ「R63xxx」

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