地デジの携帯端末向け放送、AVC/H.264を採用

» 2004年03月24日 20時18分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 日本放送協会(NHK)および在京民放5社は、地上デジタルテレビ放送における携帯受信端末向けサービス(1セグメント放送)の映像符号化技術に「AVC/H.264」を採用することでMPEG LAと合意した。これにより、2005年度中のサービス開始に目途が立ったことになる。

 「1セグメント放送」は、携帯電話やPDAを使い、簡易動画やデータ放送を視聴できる移動体向け放送サービス。地上デジタル放送の目玉の1つだが、映像符号化技術の候補だったMPEG-4のライセンス料金問題が障害となり、実現の見通しが立っていなかった。

photo 複数の携帯電話メーカーが既に試作機を開発している。写真は三洋電機の試作機
photo NECの試作機

 ネックになっていたのは、MPEG-4では対応製品の数や利用時間に応じた“従量制”課金方式が提示されていたため。放送事業者は「無料放送という地上放送のサービス特性に適さない」と反発し、昨年後半からは、より新しい映像符号化技術であるAVC/H.264に傾倒していた。

 今回の合意により、放送事業者は「AVC/H.264を用いた動画を送り出す際に、使用する映像符号化器1台につき2500米ドル」という一括支払いが可能になった。放送事業者側は「一括支払い方式は、地方民放局にも受け入れられやすい設定であり、歓迎する」(日本テレビ放送網技術統括局長の黒崎忠男氏)と評価している。

 映像符号化技術が確定したことで、1セグメント放送開始への道筋が見えてきたようだ。NHKの吉野武彦技師長は、「今後、ARIB規格や受信端末の仕様策定、メーカー側の端末開発、携帯キャリアとの調整などを行う必要があるものの、2005年度中には携帯端末向け放送サービスを実現できるだろう」と見通しを示した。

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