W-CDMAで患者の救命率アップ 救急車から病院にリアルタイムにデータ送信

» 2004年04月15日 20時20分 公開
[ITmedia]

 モバイル・テレメディシン研究会(代表:国立循環器病センター緊急部・野々木宏部長)は4月15日、救急車から患者のデータを病院にリアルタイムに送信し、医師の助言を受けることで救命率をアップさせる「モバイル・テレメディシン」の実証実験を行い、有効性を確認したと発表した。救急車内での死亡率が高い急性心筋梗塞患者の救命率アップにつなげる。

 大阪府吹田市消防本部の協力で実証実験を実施した。救急車に、心電計と心電図や血圧などを表示するディスプレイ、患者の映像を撮影するネットワークカメラを装備し、これらを小型サーバに接続。各データはサーバからW-CDMA方式を使って同市内の国立循環器病センターに送信する。医師はモニターで患者の様子を詳細に確認でき、救急救命士への指示がより的確に行えるようになる。

 これまで、救急車と病院間での通信は、携帯電話や消防無線など音声を利用したものだけだった。救急車と病院とのデータ伝送にはさまざまな取り組みがあるものの、専用システムを利用した汎用性のないものが多かった。

 このシステムでは、IPと医療用波形データ伝送の標準規格「MFER」(Medical Waveform Encoding Rule)を採用。音声だけではなく、患者の映像や心電図などもリアルタイムで閲覧可能になり、医師はより的確な救命指導を行える。データの伝送にはIPを利用して汎用性を高めた。各データは、離れた場所にいる複数の医師が共有できる。

 年末までに、実際の救急搬送で試験的に活用する予定。結果を踏まえて2005年度には救急車に機器を常備し、試行運用を始める予定だ。

 モバイル・テレメディシン研究会は、循環器救急に役立つシステム開発を目標として発足。国立循環器病センター、NTTコムウェアなどで構成する。

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