Bluetooth対応携帯電話が国内でも盛り上がってきたが、お隣韓国ではBluetooth携帯を自宅内のコードレスホンとして使うサービスが始まっている。
「DU:」(デュー)は、Korea Telecom(KT)の固定回線(固定電話、ADSL)とKTFのケータイを組み合わせたサービスだ。Bluetooth内蔵のCDMA端末「DU:ホン」と、固定回線に接続する「Bluetoothアクセスポイント」を組み合わせて利用する。
自宅のKTの固定電話回線にBluetoothアクセスポイントを接続すれば、自宅内でDU:ホンを固定電話の子機として、コードレスホンのように使用できる。
また自宅内に設置したBluetoothアクセスポイントとDU:ホンをBluetoothでペアリングしておけば、複数のDU:ホン同士をトランシーバーのように使える。また2台のDU:ホン間で内蔵の対戦ゲームを楽しむこともできる。この場合、通話料金は発生しない。
子機として使うDU:ホンから電話を発信すると、Bluetoothアクセスポイント経由で固定回線を使って電話発信する。この場合、Bluetoothアクセスポイントから外部への固定回線の料金だけがかかる仕組みだ。
そのため発信者の電話番号としては、発信側のDU:ホンのケータイの電話番号ではなく、Bluetoothアクセスポイント=固定電話の電話番号が通知される。
さらにBluetoothアクセスポイントをKTのADSL網に接続しておけば、DU:ホンから直接ネットにアクセスもできる。この場合も料金はADSLへの接続料金だけで済む。
このようにBluetooth内蔵の携帯を、外ではケータイ、自宅などではコードレス子機として利用できるというのはとても便利。自宅内で発信する場合、携帯より安価な固定電話回線を利用できるからだ。もちろんケータイに直接かかってきた電話も受けることができる。またケータイ内部の電話帳を自宅でもそのまま利用できるというメリットもある。
Bluetoothは使わないが、こうした動きはオフィスに向けたモバイル・セントレックスとして、国内でも注目を浴びつつある。
しかし携帯キャリアのビジネスモデルとして考えると、疑問も残る。DU:サービスを利用すると、今まで自宅でも携帯で通話していたユーザーが、固定回線を使ってしまうことになるからだ。ユーザーには便利でも、通信事業者としては収益の減少にもなりかねない。KTFはなぜこのようなサービスを導入したのだろう?
その背景には、2004年1月に始まった携帯のナンバーポータビリティー(MNP)導入がある(7月13日の記事参照)。現在、韓国の通信各事業者のシェアは、おおまかに1位のSKテレコムが50%、以下KTFが30%、LGテレコムが20%となっている。MNPの導入は各社の公平な競争や、シェアの均等化を目指したものだが、現実はSKテレコムの1強が続いている。
このためKTFは固定回線のKTと一体化した便利なサービスを導入し、「顧客の流出防止と他事業者からの乗り換えを図りたい」(KTF説明員)という狙いがある。KTグループ全体としての収益アップにつなげたい考えだ。
なおLGブースでもBluetooth搭載の「KF1000」が展示されていたが、LGの説明員によると「来年中にはBluetooth搭載端末は半数以上に増やしたい」としており、今後はDU:ホンとして使える端末の種類が増える予定だ。
自宅以外でも、オフィスにBluetoothアクセスポイントを設置すれば、自分の携帯をそのままコードレスホンにしたり、同じ部屋内であれば席が離れた相手もトランシーバーのように直接呼び出したりできる。DU:ホンの活用場所は、自宅以外にも今後広がっていくことも予想される。
既存のインフラであるKTの固定回線を、Bluetoothという技術を利用してケータイと組み合わせたDU:ホン。通信事業者と固定回線事業者に今後の新たなビジネスモデルとなるかもしれない。
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