256Kから512K、1Mbpsも〜新生DDIポケットの高速化計画(1/2 ページ)

» 2004年10月14日 19時13分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 DDIポケットは10月14日、株主異動に伴う新体制(10月1日の記事参照)を紹介すると共に、今後の事業計画を話した。700億円を投じて新ネットワーク「Wireless IP Local Loop」(WILL)を整備し、年度内に256Kbpsのサービスを開始。以降、512Kbpsのサービスも提供する。

 新社名を「ウィルコム」にすることも発表した。ウィルコムの“ウィル”は、Wireless IP Local Loopの頭文字をとったもの(10月14日の記事参照)。2005年2月1日から変更する。

Photo DDIポケットの山下孟男社長

 新生DDIポケットは、旧来の戦略を転換。「縮小均衡型・利益重視型だったが、より成長を目指す方向に」(同社)かじを取るという。

 具体的には、データ通信を高速化するほか、「撤退傾向にあった」(同社)音声事業もPHSの強さを生かして拡大。キャッシュフロー面でも負債返済優先を、積極的な投資を行うようにシフトするという。

高速化のカギを握る新ネットワーク「WILL」

 注目はやはり、PHSの高速化。年度内に256Kbpsのサービスを開始するほか、512Kbpsのサービスも提供予定だ。

 カギを握るのは、新たに5年がかりで700億円を投じて構築する新ネットワークのWILLだ。社名に冠することからも分かるように、同ネットワークにかかる期待は大きい。

Photo 新ネットワークのバックボーンと無線部分

 バックボーンから見ていこう。従来、DDIポケットは音声では回線交換網、データではIP網を利用するといったシステムを構築していた。WILLでは音声部分もIP化して、コストを定額化/低額化する。さらに、必ずNTTの地域網を通していた点を改め、NTT交換局内にITX装置を入れて「バイパスさせ、直でDDIポケットのデータ網に来るようにする」(DDIポケットの経営企画本部長、喜久川政樹氏)。これにより、NTTからのアクセスチャージもかからなくなる。

 従来どおり、NTT地域網から回線交換網を経由するルートも残す。ただし、トラフィックの8割は前述のフルIP網に移行させたい考え。

 ちなみに、Wireless Local Loop(=WLL)といえば海外などで採用されている、固定電話でありながらラストワンマイルを無線で結ぶシステムを指す(3月5日の記事参照)。DDIポケットのうたうWILLは、これに「IP」の2文字を付け足したものだ。「WLLでは回線交換でやっている部分を、うちはIPでやるということだ」(喜久川氏)。

圧縮サーバ+基地局増強で高速サービス

 同社IP網から、インターネットに抜けるポイントに設置する圧縮サーバも、高機能化する。従来は2倍程度の圧縮率でユーザーの体感速度を高めていたが、これを4〜10倍の圧縮率のサーバに代替。体感速度はさらに向上するという。

 「32Kbps×4チャンネルのサービスに、新圧縮サーバを経由させるサービスをパックで付ける。これにより、体感速度は1Mbps程度になる」(同氏)。ちなみに、圧縮が有効なのはWeb閲覧やメール送受信の場合で、動画視聴については128Kbpsのままだ。

 バックボーンとユーザー端末を結ぶ、無線ネットワーク部分も増強する。同社の基地局を順次、次世代PHSの基地局に入れ替えることで「1基地局あたりのチャネル数は14チャネル以上、1チャネルあたりの通信速度は32/64Kbps以上」という体勢が整う。

 「PHSによる高品質な通信を保ったまま、高速・多チャンネル化が可能」(同氏)

 これにより「ワイヤレス ジャパン 2004」で展示されていたような、32Kbps×8チャンネルを束ねた256Kbpsの高速サービス(7月21日の記事参照)が提供可能になる。これに前述の圧縮サービスを付けると、「体感速度は1Mbps超」。年度内には間違いなくスタートできるという。

 写真はワイヤレス ジャパン 2004で展示されていたデータ通信カード

 その先には、64Kbps×8チャネルを束ねた512Kbpsサービスも予定されている。

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