スマートフォンをマス市場へ──SymbianとNokia:3GSM World Congress 2005

» 2005年02月17日 18時23分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 スマートフォン分野のキーワードは“マス市場”となった。2月14日、仏カンヌで開催したモバイル最大規模のイベント「3GSM World Congress 2005」にて、英SymbianとフィンランドのNokiaはそれぞれプレス向けに発表会を開催、マス市場へ向けた戦略を語った。

Symbian OS v9.0でOS強化

 Symbianが2月2日に発表した最新の携帯端末向けOS「Symbian OS v9.0」は、セキュリティ、デバイスの管理機能などを強化し、スマートフォンのマス市場への普及を意識している(2月3日の記事参照)。コアとなるプラットフォームの上に、端末メーカーやオペレータが特定セグメント向けに機能を追加できるレイヤーを持つ。セグメントとしては、エンタープライズ、音楽、ゲームなどを想定している。

 SymbianのCEO、デビッド・レビン氏はこの日、Symbianの現状を報告した。2004年出荷されたSymbian OS端末は1438万台。年間平均成長率は115%で、4四半期連続で出荷台数倍増を達成したという。まさに倍倍ゲームでユーザーを増やしている状態だが、スマートフォン自体の市場のパイはまだまだ小さい。2004年第4四半期のスマートフォン出荷台数は568万台。同期、世界で出荷された携帯電話の台数は1億9500万台程度といわれている。

 マス市場に向けた取り組みはOSの強化だけではない。米Texas Instrumentsや米Intelとレファレンスデザインを設計し、コスト削減、早期市場投入を手助けしている(10月6日の記事参照)。この日、同社は日立製作所と三菱電機の半導体分野の合弁会社、ルネサス テクノロジとも提携を発表(2月14日の記事参照)。ルネサスの3G端末向けプラットフォームにSymbian OSをポーティングすることで、開発工期を短縮できるとしている。

Series 60 3rd Editionも発表

 そのSymbian OSにおけるUI(User Interface)の1つが、Nokiaの「Series 60」だ。Nokiaはこの日、最新のSymbian OS向けに「Series 60 3rd Edition」を発表。OSと足並みを揃えた。

 Symbian OSのUIはほかに、Ericssonの出資を受けるスウェーデンのUIQ Technologyもある。OSとしてMicrosoftやLinuxと競争するだけでなくUI間でも競争がある。Nokiaのモバイルソフトウェア・セールス&マーケティング副社長、アンティ・バサラ氏はこの日、「音楽、ゲームに代表されるマス市場と、これまで通りのハイエンドの2方向アプローチをとる」と戦略を明かした。

※アンティ・バサラ氏の会社名が謝っておりました。お詫びし、訂正させて頂きます

 中でもカスタマイズ化はオペレータ、端末メーカーからの需要が高い部分で、ここへのフォーカスがSeries 60の差別化ポイントとなる。カメラなどイメージング、ビジネス、音楽、ビデオ、ゲームなどのカテゴリに対応する。例えば、イメージングでは高機能マルチメディアレンダリングを実現し、ビジネスではQWERTYキーをサポート。音楽ではOMA DRM 2.0によるダウンロードが実現できるほか、カスタマイズ可能な音楽再生プレイヤーをビルトインで提供する。

 Nokiaは先立って米Macromediaと提携、その一環としてFlashライセンスを取得しており、Series 60端末でFlashが利用できるようになった(2月12日の記事参照)。海外でもFlashはコンテンツプロバイダの注目を集めており、開発者にメリットがありそうだ。

 「Series 60 3rd Edition」は、今年中ごろにライセンス提供を開始する。最初の端末は年内に発表の予定で、ビジネス向けの端末になりそうだという。

2008年、25%はスマートフォンに

 Nokiaでは、2005年2月末でSymbian OS/Series 60ベースのスマートフォンの総出荷台数は2000万台に達すると見込んでおり、2008年、全携帯電話のうち25%がスマートフォンになると予測している。この日、中国のLenovoと英Sendoが、Series 60ベースの端末を発表している。

 Symbian OS全体としては、2004年末時点でライセンス先6社から41機種が提供されており、12社が計40端末を開発中。国内メーカーでは、NTTドコモ向けに富士通、三菱。また海外向けにパナソニックらがSymbian OS搭載端末を提供しており、昨年末にはシャープがこれに加わった(2004年7月8日の記事参照)。

 現在スマートフォンでは最大のシェアを持つのはNokiaだが、日本メーカーの貢献は大きい。レビンCEOは、2003年に「F2051」でSymbian端末を初投入し、以降、テレビ電話機能の「F2102V」、指紋認証機能を搭載した「F900i」や“らくらくホン”、FeliCa搭載の「F900iC」と多岐にわたる端末を投入した富士通を挙げた。

 では、いつスマートフォンはマス市場に浸透するのだろうか? SymbianのレビンCEOは、「素地はすでにある。あとはコストの問題」との見解を示した。「素地」とは、現在世界に出回る携帯電話の80%を供給するメーカーが、すでにSymbian OSのライセンシーとなっているからだ。コストでは、コアの部分でレファレンスデザインや共通セットを利用することで削減につながり、より戦略的な部分となる機能拡張差別化の部分に充当できることになる。

 同社では、2008年には1台当たりの開発コストが78ドルになると試算しており、このあたりが転機になると見ているようだ。

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