NTT、携帯向け「水素補充型」燃料電池を開発

» 2005年02月22日 17時38分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 NTT(持ち株会社)は2月22日、携帯電話に直接搭載できるサイズの燃料電池を試作し、電話の発着信に成功したと発表した。燃料にメタノールを利用する「DMFC」(ダイレクトメタノール燃料電池)ではなく、水素を直接燃料として補充する「マイクロPEFC」(マイクロポリマーエレクトロライト燃料電池)タイプ。

Photo 写真下部のクレードルが燃料電池。発電部と、電圧を携帯用の4ボルトにまで上げるDC/DCコンバータを含む

 水素を直接注入することも可能だが、研究では水素を蓄えることが可能な「水素吸蔵合金」を利用した。これを取り替えることで、発電する方式。

 合金のサイズは42×80×13ミリで、重さは104グラムと比較的コンパクト。ここに9リットル分の水素を貯められる。実験では、9時間の通話が可能だった。発電部の面積を変えれば、ビデオカメラやノートPCなど多様なモバイル機器に適用可能という。

 現在、携帯向けの燃料電池としてはDMFCの開発が主流。しかし、メタノール内の水素を発電に利用する設計上、単位面積あたりの出力密度が不十分で、小型化が難しいという課題があった。

 マイクロPEFCは、水素ガスを直接燃料とするため出力密度が高い。また、発電の過程で反応二酸化炭素を排出しないため環境にも優しいという。

 今後、早期の実用化を目指して研究を進める。「安全性の評価なども含め、2〜3年で技術を確立したい」(NTT)。社会インフラとしてどう水素燃料を供給するか、水素の取り扱いで規制緩和が認められるかなどの課題もあるとした。

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