携帯で動画、どう配信する?〜お笑い動画サイトの挑戦

» 2005年03月08日 03時11分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 「携帯で動画を扱う」取り組みが増えてきた。いち早く携帯番組に取り組んだ「EZチャンネル」はもちろん、通常のサイトに動画コンテンツを取り入れたサイトや、専用アプリでコンテンツを視聴するサービス(2月22日の記事参照)なども出てきており、いわゆる“携帯のメディア化”が進みつつある。

 メディアブレストとライブドアは、2004年11月から携帯向けお笑いサイト「190円!!お笑いTV」を提供している(2004年11月8日の記事参照)。芸人たちの「ネタ」を、動画形式で配信するのが特徴だ。携帯で映像を扱うことの難しさと、運営側の工夫について、メディアブレストの宮谷大社長に聞いた。

お笑い動画は「尺が短くてOK」

 メディアブレストは、PC向けお笑い動画サイト「brst.TV」を運営する企業。ブロードバンドインフラの普及期に「お笑い動画は、音声だけでもある程度楽しめる。短いネタなら、さほどファイル容量も大きくならない」との判断から、お笑いは動画に向いていると判断した。

 事業を続けるうち、大手お笑い事務所とのコネクションも少しずつできあがった。新たに開設した携帯サイトでは無名の芸人にとどまらず、井手らっきょ、電撃ネットワーク、エスパー伊東、江頭2:50など、テレビ出演するレベルの芸人のネタも配信する。

Photo (左)「スキージャンプペア」のCGも配信する(右)裸躍りを披露する井出らっきょ

 お笑い動画は、短時間でネタが成立するのが強み。だが宮谷氏は、あまりに尺(時間の幅)が短すぎても難しいと話す。

 「一発ギャグなら、15秒でいいと思われるかもしれない。しかし、ああいうギャグは場の雰囲気もあって笑っているもの。それだけ配信しても難しい」

 宮谷氏は、auのWIN向けサービスでは1.5Mバイトという容量制限の中である程度時間をとれると話す。問題はドコモ。900iシリーズでは300Kバイトのファイルしかダウンロードできないが、この動画は30秒の尺をとっていると説明する。

 「901iからは、500Kバイトのファイルを扱えるため60秒の動画にした。もしくは時間は30秒のままで、映像100Kbps、音声40Kbpsなど、比較的品質を上げるようにしている」

 メディアブレストは、CS番組の「MONDO21」にもコンテンツを提供している。映像の版権を持っているため、これも携帯で配信している。もっとも、こちらは30分程度の尺があるため、Vライブによりテレビ電話形式で配信する。

PHoto (左)通常のダウンロード動画(右)テレビ電話スタイルで、Vライブの動画も配信する

 携帯の双方向性を生かした試みも手がける。2組の芸人を用意して「対決」をうたい、30秒程度のネタ動画のさわりを視聴させる。読者からの投票が多かったほうのみ、6〜7分の本映像を配信するという仕掛けだ。

 「やってみて分かったが、携帯のユーザーはやはりアクティブ。PC向けサービスと比べて、書き込みの量などを見てもアクティブさに驚かされる」

画質向上のカギは「細かいチューニング」

 190円!!お笑いTVでは、月間150以上のコンテンツを新しくリリースしている。年間では、2000のコンテンツを配信するとうたう。

 これらの映像ができるだけ見やすくなるよう、工夫していると宮谷氏。手間もかかるが、この手作業が重要という。

 「コンテンツによって、1つ1つ特性が違う。動画や音のビットレートも、画質が上がるよう、きちんとチューニングをしている」

 宮谷氏は、PC版の動画サイトを運営している経験がここで生きてくると話す。あまり知られていないエンコードツールを活用したり、MPEGで圧縮しやすい色の背景を選んで収録したりと、細かい配慮を行っているという。

 「携帯動画だからといって、手抜きせず2カメで撮って編集している。携帯では、どの端末でも音がきちんと聞こえるように調整することも必要」各動画の終わりには、きちんとフェードアウトの効果をかけるなど、きめ細かい処理を行っているのだとした。

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