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» 2005年03月24日 02時00分 UPDATE

女の子にインタビューして作りました〜お菓子携帯「Sweets」ができるまで (1/2)

ローティーン向けに開発された「Sweets」。ターゲットは、“お姉さんっぽい洋服にミュール。でも持っているのはアンパンマングッズ”というつかみ所のない世代。頭を抱えた開発陣は……。

[後藤祥子,ITmedia]

 “ローティーンの女の子”をメインターゲットに開発されたのがauの「Sweets」(3月18日の記事参照)。ここまでターゲットを明確に絞り込んだ端末開発は、KDDI初の試みとなる。

 ティーンエイジャーといえば、趣味嗜好が多様でつかみどころのない世代。開発陣はこうしたターゲットにリーチする端末を、どのようなプロセスで作っていったのか、どこにこだわったのか──。Sweets開発を担当したau商品企画本部 プロダクトマネジメントグループの水野有紀課長補佐、デザインスタジオエス代表の柴田文江氏、鳥取三洋電機の長谷順子主任企画員の3人に聞いた。

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 左からデザインスタジオエス代表の柴田文江氏、au商品企画本部 プロダクトマネジメントグループの水野有紀課長補佐、鳥取三洋電機の長谷順子主任企画員


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 “最強の3人”が手がけた「Sweets」。色もカシスムース、バニラビーンズ、マンゴープリンと、お菓子の名前が付けられた

若い女の子たちに共通する“スウィーツ”というイメージ

 Sweets開発で難しかったのは、ほかの端末開発に比べてターゲットとなる世代が身近に少なかったことだと水野氏。「全く知らない世界。これは本人たちに聞かないと分からない──ということで、グループインタビューを行った」(水野氏)

 ティーンエイジャーの女の子たちを集めて話を聞いてみると、「同じ12〜13歳でも全然好みが異なる上、1歳年齢が上がると、また好みが違う」(同)という多様さに驚かされたという。

 「お姉さんっぽいデザインの洋服を着て、ミュールをはいて。でも持っているのはアンパンマングッズ。ドクロとハイビスカスを一緒に持っていたりと、どんな趣味なのか全然分からなくて、最初は“絶対できない”と思った」(柴田氏)

 しかし、さまざまな女の子たちと合う中で1つの共通点が見えてきたと柴田氏。「女の子たちの中に“スウィート”なイメージを感じた。例えばケーキの上に乗っているフルーツは、フレッシュでピカピカしている。ナチュラルで発色がよく、賑やかで楽しそう──。グループインタビューで会った子たちは、まさにそんな雰囲気。すごく元気でかわいくて肌もツヤツヤ。そしてみんな、お菓子が大好き」(柴田氏)

 つかみ所がないターゲット層だけに、しっかりしたキーワードが必要と考えた柴田氏が「Sweets」というコンセプトを提案し、ここから端末開発が始まった。

 「“ローティーン”だけではどんな端末なのかをイメージしづらいが、“スウィーツ”なら技術の人やおじさんたちにも分かりやすい。それに、お菓子みたいな携帯を作れば、あの子たちに受け入れられるという確信もあった」(柴田氏)

“質感と色”にこだわるためのデザイン

 デザインを担当した柴田氏がSweets開発でこだわったのは、質感と色。「子供たちの手に馴染むよう、ころんとした丸い形にしようとは思っていたが、やはりこの端末の決め手となるのは質感と色。この2つにこだわるためのデザインを考えた」(柴田氏)

 そこで出てきたのが、異なる3色のパーツを組み合わせた背面パネル。パーツの分け目のラインに丸みを持たせることで、柔らかいフォルムを表現したという。「質感も出したかったので、(背面の面積が広い部分は)ムースにかかったゼリーみたいな感じにデザインした」(柴田氏)

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 同系色のグラデーションで三層構造にした背面パネル。ここが質感と色の勝負所になった

 この質感を形にしたのが、INFOBARやtalbyを手がけた鳥取三洋電機の技術陣だ。「最初にデザインを見せたとき、技術陣が“うっ”と、言葉に詰まった」(柴田氏)。「彩度が高いパステルカラーは、色を出すのがとても難しい。その上ドットも付いていて、さらに三層構造となると……」(長谷氏)

 透明感を出すために使われたのは「インモールド」という工法。樹脂を成形する金型にフィルムを挟み、そこに樹脂を流し込む手法だ。Sweetsの背面は、細かい2色のドットが入ったパステルカラーの地の上に透明の樹脂が乗っている。「何層もそれぞれの色の層を重ねて、この色を出しているが、ほんの少しでもずれると、すべての色が狂ってしまう」(長谷氏)

 その難しさは、最初に出てきた試作機が「柿とザクロと昆布茶って感じ」(柴田氏)「和菓子みたい」(水野氏)だったことからもうかがえる。「デザイン通りの色を出すために何度も微調整を繰り返して」(長谷氏)やっと表現できたという苦労のたまものだ。

 背面の三層構造も技術者泣かせだったと長谷氏。「背面を何層も重ねるには、はずれないようにするための部品を入れなければならない。これをどこに埋め込むのかが、難しい。最初は“できません”とお断りしたが、技術陣が検討を重ねて実現にこぎつけた」(長谷氏)

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 スピーカー開口部の花柄は、水野氏のアイデア。最初に提案したのはハート形だったが「ユーザーを限定してしまう」ことから花柄になった。「開口部は穴を空ける比率が決まっているが、花柄は計算上それも上手くクリアできた」(柴田氏)

“かわいい”ボディに詰め込まれた“技術の総決算”

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