迷惑メール対策最前線──次なる策は?(1/2 ページ)

» 2005年05月18日 22時06分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 携帯電話に送信される迷惑メール。キャリアは一時ほどの大量受信は影を潜めつつあるとアピールするが、未だに終わりの見えない戦いが続いている。ボーダフォンが5月18日に開催した説明会の内容を元に、キャリアと迷惑メールとの戦いを振り返りながら、今後、どんな対策があるのか考えていこう。

業界全体での取り組みが必要に

 携帯キャリアが対策を取り、迷惑メール送信業者がその裏をかく。「ある意味、いたちごっこ。しかし、最近になってかなり成果が現れ始めている」(ボーダフォン コアプロダクト&プラットフォームマネジメント部の桑原正光課長代理)

「苦情件数が、ピーク時の20分の1に減っている。確実に成果が出始めている」(桑原氏)

 業界全体としては、携帯キャリアおよび国内ISPが参加するグループ「JEAG」を創設した(3月15日の記事参照)。迷惑メールを撲滅するには、受信する側だけでなく送信する側の対策が不可欠。そのためには、メールサービスに関わる各社の連携が欠かせない。

 既に第1回の総会が行われ、携帯、送信ドメイン認証、ポート25ブロック、啓蒙活動の4つのサブワーキンググループに分かれて、各社が連携した取り組みを進めている。

 「改正電子メール法」の成立も対策の追い風となる(5月13日の記事参照)。「例えばハーベスティング(メールアドレス収集)を法で縛れるようになった。携帯キャリアも、ISPも動きやすくなった」とボーダフォン技術本部ネットワーク統括部コアネットワーク設計部交換網計画部Mail設備グループの若松広司課長代理は話す。

効果の大きいデータベースフィルタリング

 ボーダフォンが他社に先駆けて進めているのが、データベースを使ったフィルタリングだ。「URLリンク付きメール受信設定」という名称で3月から始めており(2月15日の記事参照)、「迷惑メールが全く届かなくなった」(ボーダフォンユーザー)というほどの効果を上げている。

 従来の施策と大きく異なるのは、メール本文の内容に踏み込んで、迷惑メールを判別、処理できることだ。フィルタリングソフト大手のネットスターからデータベースの提供を受け、出会い系サイトなど特定カテゴリーのURLが含まれたメールを特定、受信拒否する。

 ドメイン指定受信やメールアドレス指定受信、メールアドレスの変更などの方法と比べて、データベースによるフィルタリングが優れているのは、一律的な受信拒否ではなく内容に合わせた対応ができることだ。

 「以前は“大量メール=迷惑メール”という図式で処理しており、コンテンツメールも迷惑メールと見なされた苦い過去がある。意を決してフィルタリングを導入した」(若松氏)

 現在のところ、出会い系サイトなどのURLを集めた“ブラックリスト”型のフィルタリングとなっているが、今後はユーザーが指定したサイトからのメールは許可する“ホワイトリスト”との組み合わせも考えられる。ボーダフォンの桑原氏は「フィルタリングは非常に効果がある。今後は、ニーズに合わせたフィルタリングの環境を提供していきたい」とした。

→改めて振り返る、迷惑メール対策の歴史

携帯メールを使ったCRMへ、どう対応するか

 迷惑メール対策が進む中で、割を食ったのが、携帯メールを使った一般企業のCRMだ。ユーザーから承諾を取って、情報メールを送信するCRM活動は一世を風靡したが、メールアドレス変更やドメイン指定受信が広まる中で、会員へのメール送信が難しくなっていた。

 ドコモは、ドメインの入力なしで特定のドメインを指定受信に追加できるサービスを、コンテンツプロバイダーに提供するなどの対策を取っている。

タワーレコードの例。メールマガジン登録時に、「tower.jp」ドメインをボタンを押すだけでドメイン指定受信に登録できる。ドコモがコンテンツプロバイダーに対して、有料で提供しているサービスのようだ

 ボーダフォンは、「(CRM活動は)メールが主軸だと思うが、2Gのステーションのような、別のソリューションでニーズを救っていく方法もある」(桑原氏)とした。ステーションは、基地局単位で情報を一斉送信するサービス。

 ドコモは通常のiモードメールのほかに、ドメイン指定受信などが影響しない、広告専用のメッセージ送信サービス「メッセージフリー」を用意している(2004年6月10日の記事参照)

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月14日 更新
  1. 誤爆で「ワインが20本も届いちゃう」 押せば注文できる“Amazon Dash Button ”とは何だったのか (2026年07月11日)
  2. 専用充電器はもう不要? 中韓スマホから国内勢まで巻き込む「USB PPS」急速充電の新常識 (2026年07月14日)
  3. スマホをタッチせずに改札もレジも通過 日本で広がる「UWBタッチレス決済」最前線 (2026年07月10日)
  4. スマホは本当に会話を「盗聴」して広告を出しているのか? 専門調査と最新事例から考える (2026年07月13日)
  5. ポケモンGOからNianticのロゴが消える 起動画面に「SCOPELY EXPLORE」、10周年の節目に (2026年07月12日)
  6. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  7. その使い方、発火リスクあります──モバイルバッテリーで真夏にやってはいけないこと INFORICHが啓発 (2026年07月13日)
  8. スペックが同じに見えるNothingの「Phone (4a)」と「Phone (4a) Pro」のカメラ 撮り比べて分かった“意外な違い” (2026年07月13日)
  9. 日本のテスラで解禁された対話型AI「Grok」を試してみた 従来のカーナビを圧倒する異次元の利便性 (2026年07月13日)
  10. ヨドバシカメラがまた“百貨店に進出” 池袋の次は“旧名鉄百貨店跡地”に、駅直結一等地 (2026年07月11日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー