JavaOne:モバイル環境の改善目指す新Java規格、草案が近くリリース

» 2005年06月27日 15時50分 公開
[IDG Japan]
IDG

 新しいJava技術セットの最初の草案がまもなく完成する見込みだ。これらの技術は、携帯電話用の業務アプリケーションおよびエンターテインメントソフトの両方に大きなメリットをもたらすものと期待されている。

 新規格の開発責任者の1人であるNokiaのJava技術のディレクター、ジョン・ボストロム氏によると、新たなJava規格として具体化される技術には、モバイル事業者が配布済みソフトウェアのアップデートを携帯電話に送信したり、ハードウェアリソースを監視したり、障害の原因をリモートから特定したりすることを可能にする管理機能が含まれるという。

 例えば、新しいゲームをダウンロードしたいユーザーが適切なコーデック(符号化/復号化ソフトウェア)を持っていない場合でも、開発者はこの新技術を利用することにより、コーデックとゲームを一緒にパッケージし、これらを同時に配布できるようになる。電話が使用中でもインストールが可能だという。

 新規格には、サーバやほかの携帯電話と会話する必要のあるアプリケーションの開発を簡易化するランタイム技術も含まれる。こういったアプリケーションの例としては、IM(インスタントメッセージング)技術を利用したゲームや、バックエンドシステムから顧客情報を引き出す業務用プログラムなどがある。

 これらのアプリケーションの開発が容易になるのは、従来は開発者がそれぞれのアプリケーション用に作成する必要があったセキュリティ、メッセージキューイング、コネクティビティなどのランタイム“サービス”の多くを新規格が提供するからだ。開発者はインフラ(ミドルウェア)コンポーネントのことを気にしなくて済むため、ユーザーインタフェースやビジネスロジックの開発に専念することができる。

 「サーバで成功したミドルウェア環境をモバイルクライアントに提供することが目的だ」とボストロム氏は話す。

 この新規格は「JSR 232 for Mobile Operational Management」と呼ばれ、NokiaとMotorolaが中心になって開発を進めている。Vodafone Group、NTTドコモ、IBM、SAPといった携帯電話メーカー/事業者、ソフトウェアベンダーも、同規格を支持している。

 ボストロム氏によると、SAPが新規格に関心を示しているのは、自社のERP(Enterprise Resource Planning)ソフトウェアをモバイルデバイスに拡張するクライアントアプリケーションを顧客が容易に開発できるようにしたいという思惑があるからだという。

 規格そのものは、携帯電話のメーカーやデベロッパーが新技術を実装するための方法を記した数百ページのドキュメントである。この規格は、携帯電話をはじめとする各種組み込みデバイス用のJ2ME(Java 2 Micro Edition)規格の一部になる。

 今週サンフランシスコで開催される「JavaOne」ショウにおいて、Nokiaのパーティ・コーホーネンCTO(最高技術責任者)がJSR 232を披露する。ソフトウェア開発キットの内容と配布スケジュールも併せて発表されるという。

 最初のドラフト規格は約1カ月後に完成する見込み。最終規格のリリースは年末を目標としている。同規格を実装した製品が登場するのは、それから6〜9カ月後になりそうだ。

業界の反応は?

 すべてが順調に進んでいるわけではない。既にJSR 232は、予定より1年も遅れている。これは主として、関連する業界各社がそのメリットを理解するのに時間がかかったことが原因だ。

 「彼らは、ソフトウェアを携帯電話に焼き込んで出荷すればそれで終わり、という固定観念を抱いていた。われわれは大々的に教育を実施する必要があった」(ボストロム氏)

 また規格開発グループは、作業の各段階において、関係する標準化団体であるOpen Systems Gateway Initiativeと調整を図る必要があったという。

 英国のハルにあるButler Groupで上席リサーチアナリストを務めるマーク・ブローワー氏によると、JSR 232は携帯電話事業者と企業の両方に大きなメリットをもたらす可能性があるが、成功するかどうかは、デベロッパーの支持をどれだけ集められるかにかかっているという。

 「まだ非常に初期の段階だ。ようやく滑走路の端に位置したところであり、これから離陸するかどうか見極める必要がある」とブローワー氏は話す。

 新規格の成功に期待している携帯電話ユーザーもいる。英国Gartnerの主席アナリスト、ダレン・シドール氏は最近、Hellomagazine.comのサービスを利用した。このサービスは、Javaプログラムを使用してセレブ関連のニュースや画像を携帯電話に配信するというもの。

 利用初日のコンテンツはきちんと配信されたようだったが、同氏はその後、更新されたコンテンツをダウンロードすることができなかった。結局、同氏の携帯電話のGPRS(General Packet Radio Service)の設定を変更する必要があることが分かったという。携帯電話事業者に問い合わせるのも面倒だったので、同氏はサービスをキャンセルした。

 「きちんとしたサービスでありながら、最初のハードルを越えられないという典型的なケースだ」と同氏は話す。

 こういった問題も、JSR 232の登場で解消されるものと期待される。

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