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» 2005年07月26日 23時55分 UPDATE

W-CDMAとソフトバンク無線LANでハンドオーバーに成功

外では3G携帯電話。自宅では無線LANでADSLにつながりIP電話に。そんなサービスを実現できる技術の実験に、エリクソンが成功した。

[斎藤健二,ITmedia]

 エリクソンとソフトバンクグループの携帯事業会社BBモバイルは7月26日、3Gネットワーク(W-CDMA)と無線LAN(IEEE802.11)の間で、音声と映像のハンドオーバー実験に成功したと発表した。

 BBモバイルが実験している1.7GHz帯を使ったW-CDMAネットワークと、ソフトバンクBBが提供中のADSLサービスに接続された無線LANとの間で、音声とビデオセッションを同時に別のネットワークに切り替える(ハンドオーバーする)というもの。

項目 W-CDMA 無線LAN ハンドオーバー
音声 回線交換 VoIP 呼転送/B2B UA
ビデオ パケット通信/IP ビデオ/IP モバイルIP(MIP)
eri1.jpg デモの構成図。無線LANおよびADSL部分は、既存のシステムをそのまま利用できる。W-CDMAネットワーク側はIMSの採用とIMSへのソフトウェア追加が必要。また端末はW-CDMAと無線LANのデュアルモードに対応する必要がある

 当初W-CDMAで、音声およびビデオセッションが接続されており、切り替えを行うと0.5〜1秒程度両方のネットワークを同時に利用し、その後W-CDMAを切断、無線LANのみの接続に切り替わる(make-brefore-breake)。実用化時は、無線LANのエリア内に入ったら無線LANに自動的に切り替わり、エリアを出たらW-CDMAにまた戻るといった動作を想定している。

eri2.jpg スーツケースとノートPCで1つの端末を構成している。スーツケース部分にW-CDMAの端末が収められており、無線LANの部分はノートPCを使う。W-CDMA端末部分は、1.7GHz帯への周波数コンバーターとSony Ericssonの「Z1010」からなっている。デモはBBモバイルがW-CDMAの実験を行っている埼玉県与野市で行われた(4月28日の記事参照)。ビル屋上にあるのが1.7GHz帯のW-CDMA基地局
eri3.jpg W-CDMAから無線LAN、また無線LANからW-CDMAへと、音声とビデオが途切れることなくハンドオーバーするのを体験できた。画面は中央が無線LANのトラフィック、下がW-CDMAのトラフィックを示す。途中で一瞬に重なりがありながら、トラフィックが移っているのが分かる

 ソフトバンクは、無線LAN機能を載せた携帯電話を使い、自宅に戻ったらADSLモデムに無線LANで接続してIP電話がかけられるといったサービスを想定してきた(7月22日の記事参照)。同社の1.7GHz帯W-CDMAのテストを行うベンダーの1社でもあるエリクソンの今回の実験成功により、こうしたサービスの技術的な実現可能性が高まった。

回線交換の音声とパケット交換のビデオを同時にハンドオーバー

 回線交換の音声とパケット交換のビデオセッションを、同時にハンドオーバーさせたことが今回の実験のポイントだ。回線交換の音声とVoIPの音声のハンドオーバーや、パケット交換ビデオとIPのビデオのハンドオーバーは、従来から実績があった。

 回線交換とパケット交換を混在させたサービスは3GPP Combinational Sercices(CSI)と呼ばれ、3GPPのRelease 6で標準化されたもの。回線交換とIMSを組み合わせて実現する。回線交換の音声とVoIPとのハンドオーバーはRelease 7で検討中であり、CSIのハンドオーバーはRelease 8に盛り込まれる可能性がある。

 3G携帯電話では、音声通話にもVoIPを使うオールIPのソリューションが話題に上がることが増えているが、「音声のパケット化を携帯でやると、品質や遅延の問題がある。今のところ、回線交換を使った方が品質も効率もいい」と日本エリクソンCTOの藤岡雅宣氏。

 エリクソンは、シナリオの1つとしてはオールIPを想定するが、2つ目のシナリオとして回線交換の音声を残したCSIも検討している。

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