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» 2005年09月12日 19時37分 公開

韓国携帯事情:韓国の携帯マナーは緩すぎ? 日本が厳しすぎ?

日本では、電車や劇場、病院などはもちろん喫茶店内などでも携帯電話は自粛モード。韓国では逆に、あまり公共の場での携帯の利用を気にしてこなかった。しかし、状況が徐々に変わりつつある。

[佐々木朋美,ITmedia]

 日本は電車内が最も静かな国の1つかもしれない。そしてその原因の一端は携帯電話にあるようだ。韓国では地下鉄内で携帯電話を利用している姿がよく見られる。日本では堂々と通話すると眉をひそめられてしまうが、韓国では気にとめる人はあまりいないようだ。

他人をあまり気にしない

 着信音やキーの操作音、ゲームの効果音に話し声……。韓国の地下鉄では、携帯電話によるさまざまな音が聞こえてくる。日本のように手で口元をふさいで話さずとも、周囲はあまり気する様子がない。これは韓国では日常的な風景で、誰もがそうした状況に慣れているようだ。

 「うるさく話す人や大きな着信音は気になりますが、それ以外は特に気に留めません。自分の会話が聞かれるのは抵抗がありますが、他の人の会話が聞こえてきても気になりません」とは会社員のKim Seokjun氏(仮名)だ。

 同氏は今年の夏休み、初めて東京を旅行した。その際電車に乗って感じたことは「東京の地下鉄は静か」だということ。「電車の中はある程度にぎやかなほうがいい。自分が通話している内容が聞こえないから」と言う同氏に、東京では基本的に電車の中で話してはいけないということを教えると「そうですか」と驚いていた。

 日本では電車や劇場、病院などはもちろん喫茶店内などでも携帯電話は自粛モードだ。名古屋市の地下鉄でPDC方式の携帯電話が利用できなくなったことは記憶に新しい(2004年4月6日の記事参照)。また携帯電話の状態を強制的に圏外状態にし周囲の通話をシャットアウトするグッズが売られるなど、携帯電話の自粛モードは広がっている。

 しかし韓国では公共の場でも電源を切る人は少ない。日本の電車内でよく耳にする「携帯電話のスイッチを切るか、マナーモードに」というお馴染みの放送も韓国では聞くことがない。さらに日本では論議となっている心臓のペースメーカーへの影響についてもあまり語られることがない。口元を隠さず通話することや、劇場や病院でも通話することが社会的に許容されていて習慣になっているため、気にする人が少ないということだ。

 それでは韓国ではどんなことがマナーになるのだろうか。先のKim Seokjun氏に、自分が守っているマナーについて聞いたところ「私は映画好きなので劇場では携帯電話の電源を切ります。マナーモードにして電話やメッセージを受ける人がいるけれど、暗闇で操作すると液晶の光がまぶしいし振動音が気になるので迷惑だと思います。それから混雑した電車内では口元をふさいで話したり、オフィスで個人的な電話を受ける際は外に出て話します」と語っている。

 マナーが全くないわけではないが、他人に対して日本ほど大きく気にしないというのが韓国ユーザの特徴のようだ。

地道な活動が徐々に効果をあげる

 マナーに関して、いくつか動きもある。KTFでは、モバイルとエチケットを合わせた「モチケット」キャンペーンを継続して行っている。

 同社ではモチケットで守るべき9カ条を挙げ、それを守るようテレビやラジオのCM、街頭ポスター、Webページを通じてPRしている。9カ条の内容は、地下鉄やバスなど公共の場、映画館や劇場、授業や会議中、医療機器周辺や飛行機内、運転中などは、状況を考慮してマナーモードにするか通話を控えるなどの対応を取るようにと呼びかけている。また携帯電話のカメラで人を撮影する際は、相手のプライバシーを侵害することはないか考慮すること、通話の際、まずは相手が通話可能か確認することなども含められている。

 また経済紙の「毎日経済」や情報通信倫理委員会、3キャリア、端末メーカーなどは、「Mclean」運動として、公共の場でのマナーを守るよう継続して活動を行っている。Webページで守るべきマナーについての解説や意見交換などを行うだけでなく、街頭でチラシを配って呼びかけるなどの運動も行ってきた。

 さらに6月からは「地下鉄 Mclean キャンペーン」として、ソウル市地下鉄公社と共に路線が交わる乗換駅でのキャンペーンを開始した。チラシを配るという地道な活動ではあるものの反応はおおむね良く、これを機に毎週1回ずつ乗換駅を中心としたキャンペーン活動を行うとしている。

 このキャンペーンで得られた大きな効果は「気づき」だ。これまで無関心もしくは心の奥底では気になっていたことが、キャンペーンを通して明らかになるようだ。少しずつではあるが、韓国ユーザの意識が変わってきている。

 先のKim Seokjun氏は「こんなキャンペーンがあるなんて知らなかったけれど、これからはもう少し気をつけたいです。でも電話がかかって来てしまったものは仕方ない。そこで受ける際、迷惑にならない程度に気を配りながら話せばいいのでは」と話した。


佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。

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