インタビュー
» 2005年10月25日 23時57分 UPDATE

見た目も中身も“音楽プレーヤーらしさ”を追求──「803T」が生まれるまで (1/2)

音楽プレーヤーのようなスタイルを全面に押し出したボーダフォンの「803T」。「開くと3G携帯、閉じれば音楽プレーヤー」というコンセプトは、端末の隅々にまで行き渡っている。

[房野麻子,ITmedia]

 これまでも音楽携帯と銘打った端末が各種登場しているが、“見るからにコンパクトオーディオプレーヤー”というスタイルの「803T」(9月7日の記事参照)は異色の存在だ。ここまで思い切った形の音楽携帯を開発した意図はどこにあるのか。その背景や開発プロセスについて、東芝 モバイル国内営業第2部で主務を務める東懐子氏に聞いた。

 「“東芝が考える音楽ケータイらしい音楽ケータイ”とは何なのかを突き詰めるところから開発をスタートさせた。“いかに携帯で音楽をいかに簡単に楽しんでもらえるか”を念頭に、まずは背面のデザインを検討した。端末を閉じた状態での、音楽携帯らしいデザインや使い勝手の実現を目指した」と、東氏は背面デザインの意図について説明する。

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横長のモノクロディスプレイの下に音楽操作用のボタンを備える「803T」。最も持ちやすいといわれる47ミリの幅にこだわり、コンパクトさを重視した。本体デザインはポップで若々しい印象。店頭に並んだときのことを想定して、カラーリングも音楽ケータイらしさを考えた配色だという

 いわゆる音楽携帯と呼ばれる端末は、auの「W31S」(3月14日の記事参照)や「W31SA」(1月20日の記事参照)、ドコモの「MUSIC PORTER X」(10月3日の記事参照)もそうであるようにスライドスタイルが主流になりつつある。大きな液晶画面で曲名などを確認でき、各種操作もフロントキーで素早く行えるなど、音楽プレーヤー機能の操作性には定評がある。スライドスタイルの採用は候補に挙がらなかったのだろうか。

 「東芝のポリシーとして、クラムシェル(折り畳み)の使い勝手をなくさないということがある。携帯の基本機能であるメールやWeb、テンキーを使う操作は非常に重要で、今の時点ではクラムシェルの使い勝手が一番完成度が高いと考えている」(東氏)

 あくまでもメール、Web、電話、ゲームといった機能を今までと同じ使い勝手で利用できることを前提に、音楽機能を入れ込むといったスタンスだ。そこで生まれたのが“開いた状態では使い慣れた普通のケータイ、閉じた時にプレーヤー”──というコンセプトだ。

“音楽ケータイらしい”操作性とは

 大きな横長のモノクロ液晶、再生や巻き戻し表示のある一体型の操作キー。ここまで音楽プレーヤーらしいデザインであるだけに、操作性も“音楽プレーヤーらしさ”にこだわった。

 「今回のモデルを企画するにあたって、音楽プレーヤーを利用するユーザーがどんな機能を求めているかを調査した。リモコンでも操作できる再生・停止・巻き戻し・早送りとボリューム調節という基本的な操作のほかに、シリコンオーディオプレーヤーを使っているユーザーは、音楽を聴いている最中にリピートモードを切り替えたり、選曲したりする──ということが分かった。ユーザーインタフェースを決めるにあたって、基本の再生操作にシリコンオーディオプレーヤーの特徴である選曲モードを組み込み、背面のミュージックコンソールで選曲できるようにした」(東氏)

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本体を閉じた状態で、背面キーの上を長押しすると音楽プレーヤーモードが起動する


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上下でメニューを選択し、左右で進む/戻るという、デジタル機器ではベーシックなユーザーインタフェースが採用されている。モノクロ液晶なので、バックライトが消えても表示を確認できる。「ボタンの数は複数にすることもできたのだが、デザイン性を重視して、すっきりとシンプルな一体型キーにした」(東氏)

 ケータイの機能と音楽プレーヤー機能との一体感も重視した部分だ。今までのケータイの音楽プレーヤーは、閉じた状態では起動できないものが多く、音楽携帯といわれるものでも、メール作成やWeb閲覧の最中にプレーヤーを操作をするには、メールやWebをいったん終了する必要があった。

 「本体を開いてほかの操作をしていても、閉じたら音楽プレーヤーをすぐ起動できるようになっている。これまでの音楽携帯はほかの機能が優先され、音楽プレーヤーはあくまでバックグラウンドで動くという構造だが、803Tは閉じるといつでもプレーヤーがフォアグラウンドに戻ってくるイメージ」(東氏)

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