無線LANで新ビジネスを――NEDO、横浜で公開実証実験

» 2006年01月12日 16時30分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 独立行政法人の新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)は1月12日、無線LAN関連技術の公開実証実験を、横浜市で実施した。ユーザーの居場所や属性に応じてPDAに最適な情報を提供するシステムや、無線LAN網と3G携帯網をまたいだハンドオーバー技術などを展示。事前募集した一般ユーザーなどに体験してもらい、無線LANビジネスの可能性を探る。

 NEDOと電子情報技術産業協会(JEITA)、NEC、富士通、日立製作所が、無線LANの普及を目指して2003年度から行っている「無線LANスポット開発プロジェクト」の一環。ビジネスモデルの検討や実証実験、ミドルウェアAPIの公開などを行ってきており、今年度で終了する。成果は今後の無線LANビジネスにつなげていく。

 日立は、無線LANスポット間や無線LAN−携帯電話網間でシームレスにハンドオーバーできる技術を開発した。NECは、面倒な設定不要でセキュアにユーザー認証する技術を、富士通は、スポットに入り次第最適なサービスを選択・実行する技術などを開発した。今回の実験では、これらの技術を活用し、無線LANスポットの周辺情報をPDAに送信して店舗に誘導するサービスなどを構築した。

photo 駐車場「Times」のスポットと通信中。駐車場周辺のレストラン情報や天気情報が見られる。レストランは、あらかじめ登録してあるユーザーの好みに合わせた情報を表示する
photo ネット経由で買い物した際の認証画面。氏名や住所など個人情報と、どういう場合にどこまで情報を開示するかといった条件は専用の別サーバに保存してあり、店舗からのリクエストに応じて必要な情報だけを送信する。いちいち入力しなくてすむ上、過剰な情報が送られていないかチェックできる
photo 4つのPDAで画像を共有するシステム。同じ地図を表示させ、地図上に現在地を書き込めば、今どこにいるかを伝えることができる
photo NECのロボット「PaPeRo」をエージェントとし、会話形式で情報提供するデモ。例えばPaPeRoと「イタリア料理を食べたい」などと話した「カーナビに移動」と言うと、データが無線LAN経由でカーナビに転送され、カーナビ画面中にPaPeRoを表示。カーナビでイタリア料理店を探してくれる
photo 家庭内LANに接続したHDDレコーダーからユーザーの好みに合った映像を呼び出し、特定のディスプレイに表示するデモ。操作はすべて無線LAN対応携帯電話から行い、ユーザーの属性も携帯に登録してある

 「無線LANビジネスの解はまだ見えない」――NEDOの無線LANスポットWG主査で、東京大学大学院情報理工学系研究科の江崎浩教授は話す。江崎教授によると、無線LAN本格普及の壁の1つがインフラ整備。通信キャリアだけでなく、サービス事業者や店舗経営者、ビル管理会社などが無線LANインフラに積極投資できる環境作りが重要とし、今回の開発成果を、各社が無線LAN導入に踏み切るきっかけになればと話した。

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