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» 2006年01月13日 16時44分 UPDATE

料金・端末が半年間無料──「ここまでやる」香港の新規参入

加熱する香港の携帯各社の競争。シェア最下位の事業者が過激ともいえる料金体系を打ち出し、業界を驚かせている。

[山根康宏,ITmedia]

 香港のシェア最下位の事業者が「過激」ともいえる料金体系を打ち出して、業界を驚かせている。香港の固定電話事業者PCCWは、傘下の携帯キャリアSundayの3G回線を利用した新3Gサービスを発表、さらに半年間の無料キャンペーンを打ち出した。

 新サービスの名称はPCCW Mobile。半年間の無料期間中、毎月音声通話6000分(うち同一ネットワーク内3000分)、SMS/MMS/テレビ電話は無制限(同一ネットワーク内)、特定のストリーミングビデオコンテンツも無制限など、使い放題の感覚で利用できる。そのうえ、基本料金も半年間無料だ。

 キャンペーンには、香港住民1人あたり1回線のみ申し込みが可能。またMNP(番号ポータビリティー)を利用しほかの事業者から移行した場合は、利用できる無料音声通話が毎月1万分(うち同一ネットワーク内5000分)に増量される。フルに利用すれば、毎月1万分=約167時間が基本料金内で利用できる。

 利用する3G端末も、半年間無料で提供される。半年後、引き続き有料契約で利用する場合はそのまま無料。契約を解除した場合も端末を返却すれば、端末代金を支払う必要はない。料金のみならず“端末も完全に無料で提供される”わけだ。無料提供される端末は「PCCW Platinum U636」、中国HuaWei製のエントリーモデル。すでに台湾などで発売されているGSM3バンド+W-CDMAのデュアルモード端末だ。

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固定最大手の「シェア最下位からの挑戦」

 PCCWは、香港で最大手の固定電話事業者。昨年、香港で加入者数ベースでシェア最下位のSundayを買収した。固定大手が携帯に新規参入したというと、どこか日本のソフトバンクを思わせるところがある。

 PCCWは以前、傘下に携帯キャリアCSLを保有していたが、本業の業績悪化により手放した経緯がある。その後PCCWはブロードバンドや無線LANなど事業多角化戦略が成功。しかし固定電話のシェアが70%を切るなど、本業で苦戦が続いている。総合通信企業を目指す同社は携帯電話事業に「再参入」した格好だ。

 とはいえ、Sundayのユーザー数は伸び悩んでいる。そこで同社がとった戦略は、大胆な安売りとブランド名の変更だった。加入者ベースで携帯電話普及率100%を超えている香港で新規加入者を獲得することは難しい。そのため期間限定の思い切ったキャンペーンにより、他キャリアからの移行や「とりあえず契約」による加入者増を期待している。またSundayという従来の名称を利用せず「PCCW Mobile」と別ブランド名にすることで、ユーザーに“新しいサービス”という印象を植えつける狙いもある。

 同社の常務取締役アレックス・アリーナ氏は「当社はシェアNo.1を目指す」としており、今回のキャンペーンが本気でほかの事業者からユーザーを奪う大胆なキャンペーンであることを明言している。半年間の無料キャンペーン後の料金体系は現時点で不明だが「業界標準より低価格にする」(同氏)とのことだ。2G(GSM)市場では今でも料金引き下げが続く香港の携帯電話市場だが、3Gでも低料金競争が勃発する可能性が高い。

 地元では、ライバル各社が「無謀だ」とのコメントを発表した。急激なユーザー増に、サービスが追いつかないのではとの見方もある。だがライバルは不安をぬぐいさることができない。というのもPCCWは2年前にブロードバンドテレビ放送事業でも同様の「料金も設備も無料」のキャンペーンを行い、短期間で新規加入社者を集めるとともに、老舗事業者からユーザーを奪った前例があるのだ。携帯電話市場でも同様のことが起きるのではないか――と各社は戦々恐々としている。

 PCCWのキャンペーンは、携帯電話事業で新たに加入者を獲得するにはこれくらいのことが必要、という一例かもしれない。成功するのか、今後の動向が注目される。

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