W-CDMA市場に参戦する中国メーカーPT/Wireless&Networks Comm China 2005

» 2005年10月25日 22時09分 公開
[山根康宏,ITmedia]

 昨年はまだテストモデルだった中国メーカー製のW-CDMA端末だが、今年下半期から少しずつ市場に製品が登場し始めている。年内には複数機種が市場に投入される予定。2005年は“中国メーカーがW-CDMA市場に参入した年”といえるだろう。

 北京で開催された「PT/Wireless&Networks Comm China 2005」会場で(10月21日の記事参照)、多数展示されていた各メーカーのW-CDMA端末を紹介しよう。なお各機種は海外市場向けのため、いずれもW-CDMAとGSM/GPRS(2バンドまたは3バンド)のデュアルモードに対応している。

イタリア向けなど6機種を展示するAMOI

 AMOI(夏新)ブースでは新機種6種が展示されていた。このうちいくつかの機種はすでに発売が決まっているとのこと。各機種ともメインディスプレイは26万色、176×220ピクセルのTFT液晶を採用している。

 「H801」は伊TIMから販売される折り畳み式端末。外部ディスプレイは1インチ3色有機ELだ。130万画素の回転式CMOSカメラをヒンジ部分に搭載している。内蔵メモリは8Mバイト、外部メモリとしてTransFlash互換の小型SDカード「microSD」を採用した。Bluetoothも備えた、同社のハイスペック端末といえる。現在台湾で発売されている「H80」「N5000」(7月21日の記事参照)とほぼ同スペックとのこと。

H801。TIMのロゴが入った同社向け専用端末

 「H810」「H812」「H820」は基本スペックは同等で、外観のデザインを作り分けたモデル。約6万5000色、96×96ピクセルと大型のSTN液晶を備えている。閉じたままでも操作可能な音楽再生用のキーが並んでおり、メディアプレーヤー端末として利用しやすいよう設計したとのこと。130万画素のカメラはこちらもヒンジ部分に搭載されている。台湾、イタリア、イギリス等で年内に発売開始予定。

左からH810、H812、H820。ボディーデザイン以外のスペックは同等

 ストレート型は「H830」と「H650」の2機種を展示。どちらもアンテナ内蔵ですっきりした外観だ。H830はH810などと基本スペックは同等。カメラは背面が130万画素、前面のテレビ電話用が11万画素となっている。またH650はカメラを背面30万画素にしたシンプル機能モデル。端末外観もスタイリッシュに仕上がっている。H830には台湾で3Gサービス開始予定の通信事業者Viboの待受画面が表示されており、年内に台湾で発売予定とのこと。

左はH830。台湾キーボード搭載で台湾での発売が決まっている。右はH650

Huaweiはフランス、香港向け端末を展示

 Huaweiブースには5種類のW-CDMA端末が展示されていた。同社が最も力を入れて展示していたのが仏SFR向けの「U526」。最大の特徴はカラフルなボディーカラーで、7色のラインアップは「ここまで揃えたW-CDMA端末は他社にはないだろう」(同社担当員)とのことだ。サイズも一般的なW-CDMA端末よりひと回り小さい。その分カメラは30万画素(前面/背面のデュアル)だが、アクセサリ感覚で気軽に購入する端末という位置付けなのだろう。なお外部メモリとしてminiSDカードが利用できる。SFRから年内発売予定。

小さなボディーとカラフルな筐体が楽しいU526はフランスで発売予定

 オーソドックスなスタイルの「U636」は2.4インチの26万画素QVGA液晶とBluetoothを備えた同社のハイエンド端末。カメラは130万画素、内部メモリ22Mバイト、外部メモリはSDカード。同社がシンガポールで発売中の「U626」(7月21日の記事参照)のカメラなどの機能強化版となる。年内に香港などで発売予定。

QVGA画面に130万画素カメラ、Bluetooth対応とかなりのスペック

 このほかPCカード型端末も展示されていた。「E600」はすでに香港Sundayなどから発売されているW-CDMA/GPRS対応端末。「E612」はE600の機能アップ版で、発売時期は未定。またHSDPA/W-CDMA/GPRSに対応した「E620」も参考出品されていた。

左からE600、E612、E620。E600はすでに発売中。E620はHSDPA対応

ZTEはOEM品を展示

 ZTEは3つの新機種を展示。同社は自社ブランドではなく「キャリアやメーカーの相手先ブランドとしてヨーロッパを中心に発売予定」(同社説明員)とのこと。「F861」と「F868」は130万画素カメラ、128Mバイト内蔵メモリを備えた折り畳み式端末。一方「M320」はPCカード型端末だ。ショーケースに入った状態での展示だったため、実機の動作確認はできなかった。いずれも年内または来年早々に販売開始予定。

左からF8680、F861、M320

UT Starcom、Lenovoも参考出品

 UT StarcomとLenovoもW-CDMA端末を参考出品していた。UT Starcomの「GW206」はサイズ114×47×22ミリの小型ストレート端末。ディスプレイは1.8インチ約6万5000色、解像度は128×160ピクセル。カメラは背面に30万画素を備える。低価格のローエンド端末という位置付けで、中国内での発売も考えているとのこと。一方Lenovoの「W950」はコンセプトモデルでショーケースに入っての展示。現時点では130万画素カメラ搭載、各種メディアファイル再生対応など、大ざっぱなスペックしか判明していない。両者とも発売時期は未定。

(左)UT StarcomのGW206(右)LenovoのW950

 中国メーカー製のW-CDMA端末は、まだ標準的な機能を備えたミドルレンジのものが多い。しかしHuaWeiのU636のように、QVGA液晶/130万画素カメラを備えた見劣りしないスペックの端末も出てきている。各メーカーの今後の展開に注目したいところだ。

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