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» 2006年01月25日 00時00分 UPDATE

こだわりのHDDケータイ「W41T」開発者インタビュー (1/2)

「W41T」は、国内では初めてのHDD搭載機ということもあって、いくつもの困難を乗り越えて製品化された端末だ。商品企画を担当された兵頭正邦氏と東條正勝氏に話を聞いた。

[園部修,ITmedia]

 1月19日、KDDIはau LISTEN MOBILE SERVICE(LISMO)の開始に合わせて、同サービスに対応した新機種7モデルを発表した(1月19日の記事参照)。なかでも4GバイトのHDDを搭載した「W41T」は、ポータブルオーディオプレーヤーの機能を完全に内包した、新サービスの恩恵をフルに受けられる携帯電話として注目される。この製品の商品企画を担当したのが兵頭正邦氏と東條正勝氏だ。兵頭氏は技術の立場から、東條氏は営業の立場から企画に携わった。

Photo W41Tの商品企画を担当した東芝の兵頭正邦氏(右)と東條正勝氏(左)

一筋縄ではいかなかったHDDの搭載

 兵頭氏は、「4Gバイトという容量を実現するために、HDDの搭載は不可欠だった」という。NAND型フラッシュメモリに比べて、HDDにはまだ圧倒的なコストメリットがあり、同じ容量を搭載するのにかかるHDDの価格はメモリの数分の1だという。「1GバイトのSDメモリカードを4枚(4Gバイト分)買ったら、それだけで端末が2台買えるくらいの値段になってしまう」(東條氏)ことを考えると、iPod nanoのような特殊な例はあるものの、現状ではHDDの搭載も意義のあることだったといえる。「しかも、自社で携帯電話に搭載できるような小型HDDの技術を持っていたことがとても大きかった」(東條氏)と話した。

 HDDについては、発表会場で聞いた情報を元にした記事(1月19日の記事参照)があるが、もう少し詳しく話を聞けたので補足しておきたい。

 まず、最大の懸案だったHDDの耐衝撃性について、HDDになるべくアクセスしないようにする仕組みを用意して対処している点は以前にも紹介したとおり。ただ、バッファメモリに先読みするデータは「音楽データでおよそ3曲分」(東條氏)が正確な数字だ。基本的に音楽はバッファメモリから再生するようにしているという。HDDへの書き込みについても、比較的容量の大きなバッファを活用し、まずバッファに書き込んでからまとめてHDDへ書き込んでいる。

 ただ問題は動画の撮影と再生で、こればかりはバッファメモリを活用しても限界がある。QVGAの15fpsで撮影されるEZムービーは1分間のデータが最大約3Mバイトにもなるため、あまり長時間のバッファリングはできない。「動画の録画や再生を行っているときだけは、細心の注意を払ってほしい」(東條氏)

 このほか、HDDを内蔵している位置がちょうど通話用マイクの裏側にあたるため、動画の撮影時にマイクがHDDのアクセス音を拾ってしまうという問題があった。そのため、動画撮影時のみ利用するマイクを端末右側面のヒンジ側に用意してある。

 また、HDDを搭載するにあたり、ノイズ対策にも腐心した。携帯電話の内部には、CPUやアンテナなど、高周波な信号や電波を出す部品がたくさんある。これらはすべてノイズ源となるため、「単純に既存のHDDを内部に組み込むだけではなく、万全のノイズ対策を施してある」と兵頭氏は話した。

発熱も少なく耐衝撃性の高い0.85インチHDD

 HDDの実装方法は、下の写真にもあるとおりだ。0.85インチHDDをゲル状の衝撃吸収材で包み、その外側をシールドケースで覆ったうえで、ボディーに内蔵している。このシールドケースは金属製で、これにより放熱も行う仕組み。ただし、PCで利用されているHDDのように常時回転しているものではないため、HDD本体からの発熱はあまり多くない。

Photo 0.85インチHDDは、全体を衝撃吸収材で覆われ、さらに外側を金属製のシールドケースで保護している。位置はちょうどHDDロゴの下だ。図面は東芝のW41T詳細カタログより抜粋
Photo W41Tと0.85インチHDD、「MK4001MTD」を並べてみた。HDDがいかに小さいかがよくわかる
Photo MK4001MTDは、内蔵されているプラッタ(ディスク)が100円玉よりも小さい。正式なコメントは得られなかったが、インタフェースにはSDIOを採用しているようだ
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