「クリアキーがない」を克服したSIMPURE Nの操作体系NECに聞く「SIMPURE N」(後編)(1/2 ページ)

» 2006年04月25日 00時01分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 NEC製の「SIMPURE N」は、国際ローミングに対応している以外は基本的にシンプルなつくりだ。カメラは流行のメガピクセルカメラではなく、有効画素数31万画素のCMOSを搭載。ディスプレイもQVGAには対応せず、176×220ピクセルとなっている。ただし、モバイルターミナル事業部商品企画部マネージャーの山田義昭氏は、「通話とメールはしやすいように配慮している」と強調する。

 「NECに聞く『SIMPURE N』」後編では、SIMPURE Nのソフトウェアと操作性について見ていく。

「クリアキーがない」中でのソフトウェア開発

 SIMPURE Nのソフトウェアを担当したのは、モバイルターミナル事業部商品開発部 主任の池田敏治氏だ。開発にあたってまず悩まされたのは、ハードウェアとして「クリアキー」を備えていないということだった。端末を開いたところを見れば一目瞭然だが、ほかの機種と比べてクリアキーの段が1つ少ない。

同じくNEC製のデザインケータイ「N702iD」と並べたところ(右がSIMPURE N)。SIMPURE Nの方はクリアキーがない分、テンキーの配列が一段少ない

 もちろん、クリアキーをそぎ落としたことで外見がシンプルになり、スタイリッシュさが演出される。一方で“戻る”の操作をクリアキーで行えなくなり、池田氏としてはソフトウェアの作りこみに頭を悩まされることになる。

 「従来の端末でクリアキーに割り当てられていた機能を、ソフトキーに対応させる必要がある。(1つ上の階層に)『戻る』にしても、右ソフトキーに集中させることで使いにくくならないようにした」(池田氏)

Photo 右ソフトキーに「戻る」が割り当てられている

 もちろん、そもそも操作体系の中から不要な機能を減らす、という作業も必要になる。キー操作が少なくて済むなら、ハードウェアとして搭載するキーが少なくても問題ない。「どの機能を削ればいいのか、という判断に時間をとられた」

 池田氏の努力の跡が明確に分かるのが、メニュー画面から「サービス」を開いた画面だ。SIMPURE Nのサービス画面には、項目が8個しか表示されていない。これがNECのハイエンドモデルである「N902i」になると、15項目が表示されている。「項目が少なければ、機能一覧が1ページで収まる。よく使われるものを、限定して並べている。ドコモ側から要求されている機能、必要事項などもあるので、ドコモと相談しながら(機能を)減らしていった」

Photo 「サービス」を開いたところ。8項目が、1画面に収まっている

サクサク感は「PDC並」

 機能を削ることは、シンプルさを演出する以外にもう1つのメリットをもたらす。「動作が軽くなる」のだ。池田氏はSIMPURE Nの動作は、キビキビした動きでユーザーに好まれていた“PDC端末並”だと胸をはる。「PDC感覚でサクサク動く。これはやはり処理が軽いからだ」

 池田氏は、SIMPURE Nではマルチタスクの機能も「思いきって切った」と振り返る。ただし、削除するばかりでなく逆に追加した機能もある。

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