ディパーテッド「これからは携帯で連絡する」Mobile&Movie 第244回

» 2007年01月26日 18時18分 公開
[本田亜友子,ITmedia]
作品名ディパーテッド(The Departed)
監督マーティン・スコセッシ
制作年・製作国2006年アメリカ作品


 今回ご紹介するのは、香港映画『インファナル・アフェア』を、ハリウッドがリメイクした『ディパーテッド』。『インファナル・アフェア』同様、警察のスパイとマフィアのスパイは、携帯電話で内部情報を送り合います。アメリカの携帯電話らしい、マニアックな使い方も見どころです。

 ボストンの裏社会を牛耳るコステロ(ジャック・ニコルソン)は、周到かつ残虐な手口で勢力を伸ばし続けていました。コリン(マット・デイモン)には幼い頃から接近し、コステロの息子同然の扱いをして育て上げました。それというのも、コリンにエリートコースを歩ませ、警察の幹部にさせるため。コリンはコステロの狙い通り、州警察の幹部候補として潜り込むことに成功しました。

 一方、ビリー(レオナルド・ディカプリオ)は犯罪者の家系と決別するため、自分の意志で警察官を目指すことに。しかし、優秀だったビリーは警察学校で、マフィアへの潜入捜査を極秘に命じられます。マフィアのボス・コステロを逮捕するためには、内部の情報を伝える潜入捜査官が必要。警察学校の生徒なら、まだマフィアに顔も知られておらず、コストロの一味に紛れ込めるかもしれないと。すぐに警察学校を退学し、悪の道へおちて行くふりをするビリー。コステロの組織に潜り込むため、ビリーは血気盛んなワルを街で演じます。本当は誰よりも、正義を愛する心を持っていたのに……。

 そんな努力が報われて、晴れてコステロの組織の一員となったビリー。州警察はさっそく、ビリーにコステロの武器売買の情報を入手するよう要請。上官に強く命じられて、盗聴器を持って、コステロに会いに行くビリーでしたが、用心深いコステロはなかなかビリーを信用しようとしません。さりげなくコステロの前から席を外すビリー。そして、携帯電話で州警察に連絡を入れます。

 「これからは携帯で連絡する。危なくて、盗聴器なんてつけられるか!」

 こうして、コステロの情報は携帯電話で警察へと伝えることになったのです。また、疑い深いコステロもビリーを少しずつ認めるようになり、連絡用にと携帯電話を手渡したのでした。こうしてビリーは、マフィアの連絡用と潜入捜査用、2つの携帯を使うことになりました。

 警察に潜り込んでいるコリンもまた、携帯電話で情報をコステロに流していました。コリンはロムカードを入れ替えて、マフィアとの連絡用と携帯電話を使い分け。

 「父さん、昇進したよ」

 コリンのやり方は、父親宛てに電話していると見せかけて、暗号で警察の捜査状況を伝えるというもの。

 「急用が入った。夕食はいらない」

 というのは、警察が大がかりな捜査をするので、武器の取引などは避けろという意味。電話がかけられない状況の中、メールで連絡したのです。ビリーがいくら警察にコステロの武器取引の情報を流しても、事前に知っていたかのように警察の包囲網をくぐり抜けてしまうコステロ。警察もまた、内部にマフィアのスパイがいることに気づきます。

 警察の内部、そしてマフィアの組織内でも、スパイ探しが始まり、さらに緊張を強いられていくビリーとコリン。果たして、2人の運命は!? ビリーとコリンを直接対決させたのも、携帯電話がきっかけでした。

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