“安価なおサイフケータイ対応サービス”を可能にするソリューション IC CARD WORLD 2007(1/3 ページ)

» 2007年03月12日 14時03分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 おサイフケータイ登場以来、おサイフケータイ向けサービスを提供してきたのは、全国にチェーン店を持つ規模の大きな企業が中心だった。しかし、ユーザーが便利さを実感できるほど普及するには、規模の大小を問わずどんな店舗でもおサイフケータイが利用できるようになる必要がある。単に電子マネーで決済ができるだけでなく、おサイフケータイならではのサービスを提供するのは、町の小さなお店には難しいのだろうか。

 3キャリアの携帯に対応したおサイフケータイ用アプリを開発し、オーダーメイドのサービスを提供しようと思うと、現状、2000万円程度必要と言われる。店舗がおサイフケータイを使ったサービスを提供したいと考えても、現実にはコストの面で難しいことが多かったのだ。また、サーバを導入し、携帯サイトを立ち上げ、アプリを配布し……といった運営を行うには、携帯事業に対する知識やスキルが不可欠になる。

 しかし、“かざせる場所”を簡単に作れるような、コスト、スキル両面で手頃なソリューションが少しずつ増えてきている。ここでは「IC CARD WORLD 2007」で展示されていた、従来に比べて安価・容易におサイフケータイ対応サービスを導入できるソリューションを紹介する。

専用端末は無料、成功報酬型の「pittmo(ピットモ)」

 エーゼットの「pittmo(ピットモ)」は、クーポンや来店ポイント、店舗情報などの情報をおサイフケータイに配信するサービスだ。最大の特徴は「店舗が無料で端末を設置できる」という点にある。

 エーゼットはピットモを導入する店舗に対して、端末を無料で提供する(別途端末ごとに、端末保守料が月額7000円〜1万円程度必要)。店舗は顧客がピットモを利用した回数に応じてエーゼットに対して支払いを行う。顧客がピットモ端末におサイフケータイをかざした回数に応じて30円〜100円の利用料を支払う、という成功報酬型のシステムだ。

 “携帯を端末にかざすと、店舗の情報やクーポンが入ってくる”というユーザーの利用イメージは、ドコモの「トルカ」やauの「auケータイクーポン」に近いが、ピットモでは専用のアプリが必要になる代わり、おサイフケータイ以外の端末でも利用できる。ドコモ端末向けにはiアプリを提供しており、auやソフトバンクの端末にはWebアプリで対応している。

photo ピットモの専用端末。店舗に設置し、右下の「Pi」と書いてあるところがFeliCaのリーダー/ライターになっている
photo iアプリ版ピットモの画面。ピットモでは、日付が関連する情報(クーポンなど)をカレンダーに表示できる

 この手のサービスでは必ず問題になるのが、「初めてサービスを使う時、どうやって専用アプリをユーザーにインストールさせるか」。ピットモでは、専用アプリを携帯端末にインストールするための誘導にも気を遣っている。ピットモ用アプリがインストールされていない携帯をピットモ端末にかざすと、三者間通信機能によって、iアプリ/WebアプリをダウンロードできるURLが携帯に送られる。またおサイフケータイではない場合は、QRコードを携帯のカメラで読み取ってURLを取得するなどの方法でアプリをインストールできる。

 店舗からピットモアプリをインストールした携帯に対して、端末に直接携帯をかざしたとき以外に情報を送ることも可能だ(メール配信に近いイメージ)。この場合、ユーザーはアプリの更新情報として店舗からの情報を受け取るため、ユーザー側は自分の個人情報(メールアドレス等)を店舗に送ることなく店舗の情報を得ることができ、店舗はユーザーの個人情報を管理しなくてもよいというメリットがある。

ピットモアプリをインストールしていない携帯を端末にかざした場合、画面に表示されるQRコードを携帯で読み込むことにより、携帯にアプリをダウンロードできるURLを送ることができる
配布しているQRコード付きシール。このシールを配布して携帯に貼ってもらい、シールをかざすと端末側がQRコードを読み取るという仕組みも用意
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