“電波の交通整理”をするコグニティブ無線通信技術とは?――KDDIワイヤレスジャパン2007

» 2007年07月18日 16時44分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
photophoto コグニティブ無線基地局(左)と空電センサ(左)

 KDDIとKDDI研究所は、周囲の電波状況を常時検知し、無線通信を随時最適な方式に切り替えられるコグニティブ無線通信技術をワイヤレスジャパン2007に出展した。

 この技術は、無線による通信・通話が多く行われて電波が込み合い、通信品質が低下したり、通信が行えなくなることを防ぐもの。出展されたコグニティブ無線基地局のシステムには、無線チャンネルとしてEV-DO REV.AやモバイルWiMAX(IEEE 802.16e)、無線LAN(IEEE 802.11j/.11a/.11g)を搭載。電波の混み具合を周波数と時間、空間(方向)ごとに検知する空電センサと組み合わせることで、通信が集中しても余裕のある無線チャンネルと無線システムへ自動で振り分け、その品質を保つ。

 状況に合わせてデータリンク層の通信方式が最適なものに切り替わるが、IP層との間に仮想MAC層を置くことで、ユーザーは端末側切り替え作業を意識せずに通信を続けることができる。また、従来の無線方式を組み合わせることで新しい通信方法を実現できるのも特徴だ。

 KDDIはコグニティブ無線を活用する実験として、移動可能な車載コグニティブ基地局によるメッシュネットワークと基幹ネットワーク基地局間の通信を行っている。災害発生時や大規模イベントの開催時など、通信が集中する局面で無線情報通信を維持するだけでなく、効率的でスケーラブルな無線ネットワークの管理とトラフィック制御を目指すという。


 コグニティブ無線技術は、無線通信で使われる周波数帯の交通整理を行う側面もある。「従来の基地局は、立地条件や電波干渉を考慮した綿密な置局設計が必要。先日も新潟・長野で大きな自信が発生したが、災害発生時に基地局がトラブルを起こしたからといって、好き勝手に臨時の基地局を置くことはできない。空いている周波数と時間、空間を使って通信を行うコグニティブ無線技術であれば、これまでより自由な置局が可能になる」(説明員)という。

 また、慢性的に通信が込み合っている都市部に導入し、電波資源の枯渇に対応することも検討しているという。

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