「定額制」「生活アシスト」「国際サービス」で一歩先行くドコモに──ドコモの中村社長

» 2007年07月19日 02時31分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
Photo ドコモの中村維夫社長

 「3月末までに、ポートインとポートアウトの差でドコモの契約者の1%にあたる60万の顧客を失った。番号ポータビリティに対応するいろいろなことをやってきたが、結果は厳しかった」──。ワイヤレスジャパン2007の基調講演に登場したNTTドコモの中村社長は、2006年10月に始まった番号ポータビリティを、こう振り返った。

 料金面では、パケ・ホーダイやパケ・ホーダイフルといった定額プランを用意し、FOMAのエリアについてもユーザーからWebサイトを通じて直接電波状態の良くない場所を申告してもらい、それに対応するといった取り組みを行ってきたが良い結果にはつながらなかった。

 中村氏は「この状況を速く脱しなければならない」といい、「エリア」「料金」「端末」「サービス」のすべてに渡ってドコモブランドの総合力強化を急ぐ考えだ。「“一歩先行くドコモ”をアピールしながら、サービスの向上を図る」(中村氏)

他キャリアに移った理由の多くは「ネットワークのつながりにくさ」と「料金」

 ドコモの調査によると、ユーザーが他キャリアに移った主な理由は「ネットワークのつながりにくさ」と「料金が高いというイメージ」が圧倒的に多かったという。料金については「ファミリー割引」や「2カ月くりこし」などを導入しており「ソフトバンクの980円にはかなわないものの、auに比べると遜色ない料金になっている」と説明。また、つながりにくさを解消する取り組みとしては、9000億を投資して昨年1年で基地局を約1.5倍増設したことを挙げた。

 一方、他キャリアからドコモに移ってきたユーザーは「ネットワークのつながりやすさ」「ファミリー割引」「端末デザインのよさ」を、理由として挙げているという。

Photo 番号ポータビリティの推移(左)と番号ポータビリティに向けた施策(中)、番号ポータビリティでドコモにポートインした人とポートアウトした人の主な理由(右)

“一歩先行く”ための3つの取り組み

 中村氏は、これからの携帯サービスは「パーソナル化」と「ユビキタス・シームレス化」の2つがポイントになると予測し、当面は「定額制」「生活アシスト」「国際サービス」の3分野に注力すると説明する。

Photo 当面の主要な取り組み分野となる「定額制」「生活アシスト」「国際サービス」(左)。生活アシストのイメージ(中)とドコモのクレジットビジネスの推移(右)

 「料金を心配することなく、安心して使ってもらえるようにするために重要」(中村氏)とする定額制は、すでに導入しているパケ・ホーダイが1000万契約を突破するなど好調に推移。10月にはHIGH-SPEED端末(HSDPA対応端末)を利用した64kbpsパケット通信を4200円の定額で提供する予定で(4月27日の記事参照)、定額プランの幅が広がる。中村氏は、携帯関連の定額ビジネスのさらなる拡大を目指すとし、トラフィックを検証中であるとも付け加えた。

 生活をアシストするツールとしての利便性を高めるためには、おサイフケータイを使った決済やワンセグ、ナビサービスについて、今まで以上に身近なものとして使いこなしてもらえるような取り組みを行うとし、「朝起きてから夜寝るまでを、ケータイ1台で完結できる生活を実現させたい」とした。

 国際ローミングは、欧州やアジアでW-CDMAを採用する国が増えていることから3Gローミングのエリアが拡大し、それがドコモの強みになると中村氏。アジア・太平洋エリアでは、国際ローミングや法人向けサービスを充実させるために9の国や地域と「CONEXUS MOBILE ALLIANCE」を結成し、日本からの渡航者の約半数をカバーした。冬モデルの「905i」シリーズは全端末にGSMを搭載する予定で(2月8日の記事参照)、音声通話が153、iモードメールが101の国や地域で使えるようになるという。

Photo CONEXUS MOBILE ALLIANCEのメンバー(左)と国際ローミング利用者の推移(右)

携帯をハブに、新たな価値を提供

 中村氏は今の携帯業界について、「iPhoneの登場や、MVNOの参入など、予想もつかないプレーヤーが参入してくる時代」だと指摘。誰が競争相手になるのか分からない中で勝つためには、先進性と独創性をもって新しいことに果敢にチャレンジすることが重要だと話す。「携帯をハブとして、新たな価値の創造に取り組む必要がある」(中村氏)。

Photo 新たな価値創造に向けたドコモの取り組み


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