3月3日、三菱電機が携帯電話端末事業からの撤退を発表した。同社は1983年から電電公社に自動車電話を納入した実績があり、NTT移動通信網時代からNTTドコモ時代まで、パナソニック モバイルコミュニケーションズ、NEC、富士通と並んでドコモの主力端末を開発してきたメーカーだ。しかし、端末機能の高度化に伴う開発費の高騰や開発プロセスの複雑化など、さまざまな要因から、端末事業の業績が悪化し、改善の見通しが立たなくなったという。
今回は、そんな三菱電機が放ったエポックメイキングな端末の1つ、ドコモ向けの「D505i」を取り上げたい。
ムーバのハイエンド端末D505iは、三菱電機が開発し、505iシリーズの先陣を切って発売された製品。カメラユニットに63万画素のスーパーCCDハニカムを採用しており、信号処理によって123万画素相当(960×1280ピクセル)の写真が撮影できる点が特徴だ。“世界初のメガピクセルカメラ搭載ケータイ”という触れ込みで登場したが、J-フォンが1日早く100万画素カメラを備えたシャープ製端末「J-SH53」を限定販売したことから、世界初の座を奪われてしまったという経緯がある。
D505iは、カメラの形状も少々変わっていた。ヒンジ部にカメラユニットを備えており、端末を開くとインカメラ、閉じるとアウトカメラとして使えたのだ。
ただカメラユニットは自由に向きが変えられるわけではないため、写真を撮るときは基本的に端末を閉じて、サブディスプレイをファインダーにする必要がある。端末を開くと自分撮りしかできないので、当時としては高解像度だったQVGAディスプレイをファインダーとして活用できないという問題があった。閉じた状態では細かな設定の変更などができないため、設定を変更する場合は一度端末を開く必要があるなど、使い勝手の面ではもう少し改善の余地はあったわけだが、端末を閉じると直感的にカメラとして使える、というコンセプトは面白かった。
また外部メモリとしてメモリースティックDuoスロットを備えていたのも興味深い。今や外部メモリといえばmicroSD一色だが、当時はminiSDが主流だったとはいえ、まだ一部にメモリースティックDuo対応機が存在していた。当時はまだ外部メモリが一般的ではなかったため、“試供品”として小容量のメディアも付属しており、D505iには16MバイトのメモリースティックDuoが同梱されていた。
では早速中身を見てみよう。
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