手のひらサイズの“魔法の世界”は、こうして生まれた――ディズニー・モバイルの今とこれから(1/2 ページ)

» 2008年05月02日 17時16分 公開
[田中聡(至楽社),ITmedia]

 3月1日、ソフトバンクモバイルとの協業によるウォルト・ディズニー・ジャパンの携帯電話事業「ディズニー・モバイル」がスタートした。ディズニー・モバイルは、7年にわたるコンテンツプロバイダとしてのノウハウや実績を生かし、「毎日を楽しく生きたい、20〜30代の女性」をコアターゲットとしてサービスを展開している。

 サービスに対応する端末としては、ソフトバンクモバイルのシャープ製端末「820SH/821SH」をベースとした「DM001SH」が用意され、料金プランや無線ネットワーク、ショップ、アフターサービスなどの基本的なサービスも、ソフトバンクモバイルに準じたものを利用可能。他キャリアにはない、ディズニー・モバイルならではのメリットは以下の6つの点だ。

  1. ディズニーのオリジナルデザインを採用した端末
  2. ディズニードメイン「@disney.ne.jp」を採用したメールサービス
  3. ポータルサイト「Yahoo!ケータイ」をディズニー仕様にカスタマイズした「Disney Web」の提供
  4. ディズニー・モバイル限定コンテンツの提供
  5. 22のディズニー公式サイトを情報料無料で提供
  6. ディズニー関連商品や特典を対象とした「ディズニー・マジックポイント・クラブ」の提供

 MVNOという形で携帯電話市場に参入したディズニー・モバイルは、どのようなコンセプトとこだわりのもとに端末やサービスを開発し、どのようなビジョンで今後展開する計画なのか。

“さり気ないディズニー”を意識した第1号機「DM001SH」

 ディズニー・モバイルの記念すべき第1号機「DM001SH」には、ディズニー色を前面に打ち出すのではなく、そのテイストをさり気なく取り入れたデザインが採用されている。

Photo DM001SHの外観。カラーはShiny Silver、Glitter Gold、Sparkle Pinkの3色展開

 端末のデザインは、数多くの調査やディスカッションを重ねて選ばれた。「当初はミッキーの絵が貼ってあるものも考えましたが、ビジネスシーンやプライベートでさりげなく使えて、飽きが来ないデザインを採用しました。サプライズ感を出したかったので、最初は『こんなのできるの?』というようなデザインもたくさんありました。しかし、量産化を考えると難しかったですね。“さり気ないディズニー”というのは基本路線としてあったので、ビジネスシーンでも使ってもらえるよう気を配りました」(同社)

Photo 本体を開くと、センターキーにミッキーのシルエットが表示される(左)。表面にはミッキーのシルエットがあしらわれている(右)

すみからすみまでディズニー尽くし――プリセットコンテンツ

 ディズニーはコンテンツプロバイダとして公式サイトを7年間運営してきた実績があり、総コンテンツ数は約90、登録会員数は約350万にのぼる。ディズニー・モバイルのユーザーは、ディズニーが提供する22の公式サイトを情報料無料で利用できるほか、ユーザー限定で提供されるオリジナルコンテンツも楽しめる。コンテンツプロバイダという形では実現できなかったサービスや端末を提供できるのも、ディズニー・モバイルの特徴の1つ。20〜30代の女性に絞った、ディズニー・モバイルだけのコンテンツも数多用意している。

 端末の第1号機として登場した「DM001SH」には、多彩なディズニーコンテンツが内蔵され、“ディズニーケータイ”と呼ぶにふさわしい、充実した内容となっている。

Photo 待受画面やメニュー画面、メール送受信画面や電池アイコンなどをカスタマイズできる「きせかえアレンジ」(カスタムスクリーン)は、「Secret Garden」「Minnie Art」「Reflection」「Vintage」の4種類をプリセットする

 DM001SHのメインテーマは、初期状態で設定されている「Secret Garden」だ。これは、ミッキーとミニーが秘密の花園に迷い込んで冒険をするという設定で、2人が白いシルエットで登場するのが特徴だ。

 さらに、Secret Gardenの「物語性」を伝えるための約2分間のQVGAサイズのオリジナルムービーも内蔵され、ちょっとしたショートムービーとして楽しめる(着信設定はできない)。ムービーのバックに流れる曲も、この作品のためのオリジナルだ。

Photo 「Secret Garden」で繰り広げられる物語を描いたショートムービー。「2分間、QVGAサイズのムービーはプリインストール素材だからこそ提供できました」(同社)

 着信メロディは、有名なディズニー音楽の中から11曲がプリセットされている。着うたは、映画「アラジン」のテーマ曲として知られる「A Whole New World」や、この3月に公開されたばかりの映画「魔法にかけられて」のテーマ曲「That's How You Know」など、なじみのあるコンテンツを内蔵した。ヒラリー・ダフがディズニー・モバイルのCMで歌っている「ミッキーマウス・マーチ」は、Disney Webからダウンロード可能だ。

 内蔵アプリのゲームは、「メテオス」のディズニーバージョン「Disneyメテオス」と、脳トレ系ゲーム「Disney's Brain Pop」を搭載。「20代から30代の女性が遊ぶゲームは落ちゲーのパズルが多いので、隙間時間に楽しんでもらえるゲームを入れました。『Disneyメテオス』は、通常のメテオスよりもかなり簡単にしています」(同社)

Photo 内蔵ゲームの「Disneyメテオス」(左、左中)と「Disney's Brain Pop」(右中、右)

 メールについては、「@disney.ne.jp」のディズニードメインを用いたアドレスを取得できるのが大きな魅力だ。「20〜30代の女性はメールの利用頻度が高いので、ドメインがディズニーになるのはとても好評です」(同社)。このほか、ディズニー・モバイルのユーザー同士で送受信できる「Disney絵文字」、ディズニー・モバイル以外のキャリアにも送れる「マイ絵文字」、ディズニーキャラクターが登場するテンプレートを内蔵した「デコレメール」を利用できる。

Photo Disney絵文字(左)とマイ絵文字(右)

 Disney絵文字は、他社ケータイの表示仕様に変換されるが、マイ絵文字は他社ケータイでも表示可能だ。このマイ絵文字は71種類を内蔵するほか、Disney Webに毎月20個の新たな絵文字が追加され、無料でダウンロードできる。

 また、バッテリーアイコンやアンテナアイコンをはじめとする各種アイコンもディズニー用にカスタマイズされ、その数は約760にものぼる。サブディスプレイの点灯時にはミッキーのシルエットが現れ、着信やメール受信時にもサブディスプレイにミッキーのアイコンが表示されるなど、すぐには気がつかない細かい部分までディズニーテイストが盛り込まれている。

 「UI(ユーザーインタフェース)のテーマからゲームまで、すべてリサーチを行い、上位に挙がってきたものを採用しました。今後は、より深い階層までカスタマイズしていきたいですね」(同社)

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