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» 2008年09月16日 02時00分 UPDATE

MCPCモバイルソリューションフェア 2008:モバイル活用で迅速な警備活動を実現――綜合警備保障の「隊員指令システム」

「ALSOK」として知られる警備会社の綜合警備保障が、ケータイとカーナビを連携させた隊員指令システムを導入した。その目的と導入後の効果について、同社の担当者が講演した。

[平賀洋一,ITmedia]
photo 綜合警備保障 開発技術部 課長代理の板橋秀之氏

 綜合警備保障は、9月5日に行われたMCPCモバイルソリューションフェア 2008で「隊員指令システム〜業界No.1 警備サービスの確立へ〜」と題した講演を行った。同社が取り組んだ携帯電話による業務効率の改善事例は、MCPCアワード2008でグランプリ、総務大臣賞、モバイルビジネス賞の各賞を受賞した。

 ALSOKブランドで知られる綜合警備保障の業務は、主に個人宅を対象にした機械警備、ビジネスビルへのガードマン派遣といった常駐警備、現金輸送などの警備輸送という3つを柱にしている。

 中でも売上げの半分以上を占めるのが機械警備だ。機械警備は、ユーザー宅に設置された警備用センサーや通報装置からの緊急発生信号を指揮センターが受け、現場に一番近い隊員を出動させるサービス。隊員がユーザー宅の異常を確認し、必要によって警察や消防、救急への連絡を行う。

photophotophoto 機械警備サービスと課題(写真=左、中)、導入したシステムの概要(写真=右)

 綜合警備保障 開発技術部 課長代理の板橋秀之氏は、「2007年に認知された侵入犯罪は約24万件で、数分に1回のペースで発生したことになる。中でも、家庭を対象にした凶悪な強盗事件は10年前の約2倍、コンビニを対象にしたものは約4倍に増えている」と、治安が悪化する現状を紹介。携帯電話を活用した、緊急時の迅速な対応体制の確立と、業務改善が必要だったと振り返った。

 「警備業法が警備会社に求めている即応体制基準は25分。従来からALSOKは、警報受信から20分以内の現場到着を実現しており、法が定めた基準は十分クリアしている。しかし、ユーザーの生命財産を守るためには、速いほうがいい。即応体制を充実させ業務効率を改善し、そしてセキュリティ面の向上を目指して、新しいシステムの導入に踏み切った」(板橋氏)

photophotophoto 隊員指令システムでは、Bluetoothを利用したシームレスなGPS利用や、担当エリアを超えた応援体制、機動性の向上やナレッジの共有化が可能となった

 綜合警備保障が現在利用しているシステムは、指揮センターにある基幹サーバとモバイルサーバ、隊員が利用するGPS機能付き携帯電話とカーナビを組み合わせたものだ。GPSケータイとカーナビはBluetooth機能を搭載しており、ワイヤレスで相互連携が行える。

 従来は音声のみの情報伝達が中心だったため、どの隊員が現場に一番近いのか確認するまで時間がかかっていた。現在は隊員1人1人がGPSケータイを所持しており、その位置を常に指揮センターが把握している。ユーザー宅から緊急信号が発報されると、指揮センターにある基幹サーバとモバイルサーバが連動し、ほぼ1分以内にユーザー宅に一番近い隊員に出動命令が自動送信されるという。

 指示を受けた隊員は、ケータイからBluetooth経由で目的地情報をカーナビにセットし、最短ルートでユーザー宅へ向かう。車両を降りてからのナビもケータイが行うため、入り組んだ敷地でも迅速に駆けつけることができるという。当然ながら、現場からの音声連絡にもケータイを利用している。

 「従来は、担当エリア内で一番近い隊員をユーザー宅に急行させていた。そのため、直線距離で一番近い隊員であっても担当エリアが違っていれば指示を出さなかった。現在は地図上で最も近くにいる隊員が駆けつけるようになっている。カーナビとケータイナビをシームレスに活用することで、担当エリア外の土地や建物でも迅速に行動できるようになった」(板橋氏)

 新システム導入後の効果は大きく、指令時間で1分、出動準備時間で1分30秒、計2分30秒の短縮を実現した。また隊員の増援など、追加で出動命令を下すまでの時間も約3分短縮され、侵入犯の確保や火災の初期消火などが2倍に増えているという。

photophotophoto 新システムは全国で2500台が稼働しており、4500人の隊員が利用する。導入により、出動指令から現場到着までの時間が短くなったほか、コストの大幅な削減を実現した

 このシステムのもう1つの特徴が、隊員の行動管理や安全管理にも応用できる点だ。平時に隊員がいる位置が分かるだけでなく、緊急時の対応指示/移動/現場到着という出動時の進ちょく状況を確認できる。また、万が一隊員が事件・事故に巻き込まれても、状況把握が迅速に行えるという。こうしたリアルタイム性が認められたため、今後は安全な移動を提供する警備輸送にも応用される見通しだ。

 板橋氏は「現在のシステムが行っていることは決して新しいことではなく、連絡や現在地の把握など1つの1つは以前から実現していた」と話す。ただし、利用する機器は車両無線や業務無線、ポケットベル、PDAなど多種多様に渡っていたため、「それらを使うための教育やマニュアル管理、なにより持ち歩く隊員の負担が大きかった」という。使用する機材が集約化されたため、通信費やリファレンスの簡素化、ナレッジの集約化が可能になった。

 このシステムは、働く隊員のワークスタイルにも変化を与えている。隊員間の連絡網が、指揮センターからの指示を待つスター型から、相互に連絡するメッシュ型に変わり、担当エリアをまたいだ横のコミュニケーションも見られるという。さらに、以前に比べてセキュリティ面でも向上していると板橋氏は説明する。

 「ケータイとカーナビには直近で利用する情報しか残らず、蓄積情報が最小限に抑えられている。対応が終われば、ケータイ内の情報は消え、紛失盗難時もリモートで消去することが可能だ。従来の紙ベースの情報管理に比べ、ケータイであればシンプルで一元的に管理できる」(板橋氏)

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