インタビュー
» 2008年12月18日 13時00分 UPDATE

開発陣に聞く「W65K」:見えないところにまで遊び心を──WIN最薄最軽量の防水端末「W65K」に込めた思い (1/2)

京セラ製のWIN端末としては初の防水モデル「W65K」は、au 2008年冬モデルの中で唯一の防水ケータイだ。一見すると防水端末には見えないボディに、ワンセグやおサイフケータイといった必須機能をコンパクトにまとめたW65Kの魅力について、京セラのW65K開発チームに話を聞いた。

[あるかでぃあ(K-MAX),ITmedia]

 auの2008年秋冬モデルの中で、唯一IPX5/IPX7相当の防水性能を備えた“お風呂ワンセグ”端末が京セラの「W65K」だ。防水WIN端末としては最薄・最軽量を実現したボディは、一見しただけでは防水端末には見えないほどコンパクト。さらに、ボディカラーごとに異なる背面デザインを施している点も目を引く。しかもこれは、京セラとしては初めて手がけた防水WIN端末だというのだから驚きだ。

 デザイン的な魅力があるのはもちろん、機能面でも基本をしっかり押さえた使いやすさを備えている。ワンセグやおサイフケータイ(EZ FeliCa)といった、普段使いに必須の機能はしっかり搭載。ワンセグは予約録画機能やバックグラウンド録画機能なども備え、番組のジャンルに合わせて画質を調整してくれるなど、上位機種にも引けを取らない使い勝手を実現した。さらに、待受画面でダイヤルキーの操作をすると、電話をかけるだけでなくメモの作成やインターネット検索ができる「すぐ文字」、ほかの機能と併用すると、画面上に進捗を表示できる「カウントダウンタイマー」など、独自の機能も用意している。

 この、一見カジュアルながらしっかりと作り込まれているW65Kに込めた思いを、移動体通信機器第一統括事業部 移動体第一技術部端末第3技術部 機構開発1課 責任者の大和田靖彦氏、通信機器関連事業本部 マーケティング部 マーケティング課 PM2係 責任者の若狭哲史氏と、通信機器関連事業本部 マーケティング部 商品戦略部 デザイン課 デザイン1係の光永直喜氏に聞いた。

PhotoPhoto 京セラ製の防水WIN端末「W65K」。ボディカラーはクレールホワイト、フルールピンク、リュクスシルバー

防水を実現しつつ、必要な機能はすべて用意した

── 今回、W65Kを開発するに当たって、もっとも重視したポイントはどこですか?

Photo 通信機器関連事業本部 マーケティング部 マーケティング課 PM2係 責任者の若狭哲史氏

若狭哲史氏(以下若狭氏) 一番こだわった部分は防水性能とサイズ感の両立です。ユーザーがケータイに何を求めているのか調査をした結果、最も重視されていたのは防水機能だったのですが、それに付随する要素としてサイズ感が非常に重要であることが分かりました。まずサイズ感に対する要望(大きすぎないこと、操作しやすいこと)が先にあり、その後に機能がフルに使えるかどうか、といった機能に対する要望がありました。

 今までの防水モデルは、サイズの小ささやボディの軽さを求めると、ワンセグのような当たり前の機能がない、といったことがありました。また一方で、すべての機能を搭載したモデルでは、今度は分厚かったり重かったりしました。京セラとしては、使い易いサイズ感で機能をキッチリと入れるということにこだわっていましたので、今回は防水を実現しつつ、しっかりとバランスのとれた端末に仕上げられたと思います。

── W65Kは、京セラとしては初めての防水端末だそうですね。おそらくいろいろな挑戦があったのだと思いますが、それでいてこのサイズ感やデザインが実現できた点には驚きました。

若狭氏 そうですね。W65Kは京セラでは初の防水端末になります。

Photo 移動体通信機器第一統括事業部 移動体第一技術部端末第3技術部 機構開発1課 責任者の大和田靖彦氏

大和田靖彦氏(以下大和田氏) auの防水端末には、「大きい」「厚い」というイメージが強いように思います。その中で京セラとしては、初めての挑戦ではあっても「え? これ防水ケータイなの?」とユーザーに思っていただけるような端末を作りたいという思いがありました。

 W65Kは、進化の系譜としては「W53K」の後継に位置づけられます。2006年にリリースした薄型WIN端末「W44K」があり、それが2007年に薄型のままワンセグが付いたW53Kとなって、それが今回さらに進化してFeliCaと防水機能が付いたW65Kになったわけです。実は私はW44Kのころからずっとこのシリーズの開発に携わっていて、“スリム端末の進化”の末に、今回の「スリムワンセグ防水」という領域にたどり着けたのはよかったと思います。ただ、ここまでのものに仕上げるのはなかなか大変でした。

 ボディは、単純に機能を積み上げていっただけではどうしても厚くなってしまいます。そこでディスプレイやバッテリーといったモジュール単位で小型・薄型のものを探し、薄くする工夫をしました。特にこの厚さを実現するのに大きな役割を果たしたのが、3.7ボルト 680mAhのバッテリーです。バッテリー容量が小さいと通話時間や待受時間、ワンセグの連続視聴時間などが短くなるのではないかと皆さんに不安視されますが、そこは通常のバッテリーと比べても遜色ないように、省電力化などの工夫により従来と同等の使用時間を達成しました。この点では、ハードウェアの設計の方に苦労を掛けました。

 防水の面でも、やはりIPX5とIPX7という規格は必ずクリアしなければいけないということで、社内的にもきちんとスペックを決め、今回のために水槽なども新たに用意してテストをしました。さまざまな利用シーンを想定し、落下試験や高温試験なども行っています。

── 116グラムという重量も、防水端末としては軽いですね。

若狭氏 W65Kの重量は、他社の薄型防水ケータイよりもさらに10グラム以上軽いです。携帯電話としてかなり使いやすく、バランスのいい重さになっているのではないかと思います。重さは防水ワンセグ端末の中で最も軽いと思います。

大和田氏 もともと京セラは、ストレート端末全盛の時代から端末の軽量化には実績があるメーカーです。開発チームの中でも当たり前というか、自然と軽量化するのが身に付いてしまっているんでしょうね。重量を測ったら116グラムしかなくて驚いたというエピソードもあります(笑)。

若狭氏 あまり極端に薄くはせずに、一定の使いやすい厚さを確保しつつ、そこにいろいろと機能を入れていこうというのがW44K以来のコンセプトなので、今回はきっちりとワンセグや防水というものを入れた中で、使いやすいサイズ感というものを実現できたと思います。

── W44Kが発売されたころに、開発者の方から「あまりに薄すぎるとそれはそれで使いにくい」といったお話を伺った事があります。今回も厚さは15ミリ台に収めたわけですが、防水端末で実現するというのは凄いですね。

大和田氏 ベストスリムゾーンですね(笑)。あまり薄すぎたり軽すぎたりしても、オモチャみたいな感覚だという方もいらっしゃいますし、“本当に使いやすいところ”を見極めるのは難しいんです。

若狭氏 防水である点をいかにユーザーにアピールするか、という点も悩んだポイントです。一番分かりやすい例は、店頭に展示するモックアップに防水であることを示すシールを貼ることなのですが、今回はそれに加えて、もう少し利用シーンをイメージしやすいように、プロモーション用のWebドラマを制作しました。それをCMや店頭で流す事で、分かりやすさやイメージのしやすさを意識しています。

 WebドラマはW65Kの3つのデザインに合わせた世界観で制作しています。例えばホワイトではキッチンで料理を作っている時に濡れた手で着信を受けてメールを見たり、シルバーでは雨の中で端末が濡れてしまうシーンがあったり、日常よくあるシーンの中で、ケータイをこういう風に使っても大丈夫なんだよというのが自然に伝わり、端末の魅力が引き出せるように配慮しました。

 魅力的な防水端末を作ろうとすると、どんどん防水端末に見えなくなっていくというジレンマもあります。今回は、その点はプロモーションによってカバーしています。

── “お風呂でワンセグ”というコンセプトもあるようですが、お風呂って案外ワンセグが入りにくかったりしますよね。そのあたりは何か工夫がありますか?

大和田氏 実はお風呂場というのは、ワンセグを視聴するのに適した場所とはいいにくいのが問題でした。マンションなどでは、建物の奥の方にあることも多く、窓があったりして電波が入りやすい環境であることはむしろ珍しいんです。でも、湯船に浸かりながら、ワンセグの電波を探して腕を上に挙げて探すようではダメだろうと考えました。ですから、一般的な家のお風呂で観る分には満足できる性能を出せるように、ホイップアンテナは3段まで伸ばせるようにして、ワンセグの感度がしっかり取れるようにしています。

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