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» 2010年06月10日 22時14分 UPDATE

Xperiaを分解、基板はスッキリした北欧風デザイン

人気のソニー・エリクソン製Androidスマートフォン「Xperia」の内部はどうなっているのか――。EE Times Japanが“Tear Down”記事を掲載している。

[柏尾南壮(フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ),EE Times Japan]

この記事は、EE Times Japanから転載しています。


Photo 図1 ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズのスマートフォン「XPERIA」
Androidを搭載しているが、それを感じさせないグラフィカルユーザーインターフェイスを備える

 2010年4月1日、NTTドコモはソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズのスマートフォン「XPERIA」(図1)を発売した。テレビ番組でも取り上げられ、同社ならではの洗練された本体デザインと効果的な演出は多くの人の関心をひいた。「スマートフォン」という言葉よりも「新感覚エンタテインメントマシン」や「XPERIA」という言葉がカタログや店頭に並んでいたのは印象的だ。

 米Google社のオペレーティングシステム(OS)である「Android」を搭載したスマートフォンなのだが、発売前からソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズが出していた広告からは、XPERIAがAndroidを搭載しているということがあまり強く感じられなかった。一般消費者からすると、単純に「見た目が良いスマートフォン」に見えたかもしれない。

 発売前の演出が功を奏したのか、発売当初から人気は上々だった。予約受付開始早々、予約枠がすべて埋まってしまった販売店が続出したが、何とか1台入手し、試用の後、分解した。


2Mバイトの写真も スムーズにアップロード

 XPERIAはAndroidを搭載するほかのスマートフォンと同様、すべての機能を利用するにはGoogle社が無料で発行するアカウントが必要だ。このアカウントで、Google社のメールサービス「Gmail」や、スケジュール管理サービス「Google Calendar」にアクセスするのだ。主要な機能をスマートフォン本体ではなく、インターネット上のサーバとの連携で実現している。そこで気になるのはデータ通信速度である。インターネット上のサーバと通信しながら機能を提供するということは、通信速度が機能の使いやすさを大きく左右するからだ。

 XPERIAは最大54Mビット/秒の無線LANに加え、3G通信網のデータ通信にも対応している。3G通信のデータ通信速度は下りが最大7.2Mビット/秒、上りが最大2.0Mビット/秒だ。実際に使ってみるまでは、下りに比べて上りが遅いところが気になった。だが、XPERIAが搭載する810万画素のCMOSカメラで撮影した写真を1枚(およそ2Mバイト)インターネット上のサーバにアップロードしてみたところ、予想していたよりもスムーズに実行できた。XPERIAを活用する上で、通信速度が問題になることは少ないだろう。

稼働時間に貢献する近接センサー

 スマートフォンに共通する課題の1つとして、2次電池による稼働時間が短いという点が挙げられる。Androidを搭載して1年程前に発売されたNTTドコモの「HT-03A」の待ち受け時間は最大140時間だ。一方、XPERIAの待ち受け時間は最大300時間である。これは国内の一般的な携帯電話機に近い時間であり、実使用時は数日間であれば無充電でも問題ないと思われる。

 XPERIAには消費電力を節約する工夫が幾つか盛り込んである。その中でも目を引くのがディスプレイの上部にある近接センサーだ(図2)。センサーが物体に近づくとディスプレイとタッチパネルの電源がオフになる。ユーザが電話をかけている間に、耳などがタッチパネルに触れて誤動作しないようにする効果もある。

Photo 図2 ディスプレイ上部にある近接センサー右側の大きな黒い点が近接センサー。ここに物体(顔)が近づくと、ディスプレイとタッチパネルへの電源供給が切れる

 この近接センサーは、ポケットなどに収納したときにも働く。XPERIA本体の厚さはわずか13.1mm。シャツの胸ポケットにも難なく滑り込ませられる。ポケットにほかのものが多少入っていてもXPERIAは入るだろう。ポケットに入れている間は、近接センサーが働き、ディスプレイとタッチパネルへの電力供給が止まり、消費電力を節約できる。

快適に操作できるタッチパネル

 タッチパネルの動作方式は2種類に分けられる。ガラスと指先の間の静電容量を検知することで動作する「静電容量方式」と、銀行のATMなどに多く採用されている物理的な圧力を感知して接触を認識することで動作する「抵抗膜方式」だ。

 携帯電話機では前者の「静電容量方式」が多く、XPERIAも同じ方式を使う。タッチパネルを搭載するスマートフォンは、文字などを入力する際、ディスプレイに表示されたキーボード(物理的なキーボードに対し、「ソフトウエアキーボード」と呼ばれる)に触れて使うことが多い。XPERIAもこの方式を採用している。

 ソフトウエアキーボードでは、画面に表示されたキーやアイコンに触れたときにきちんと認識するかどうかが肝心だ。それに加えて、認識したことをユーザーにはっきり知らせているか、さらには隣のキーをタッチしたと誤認識しないかという点が重要になる。これは、タッチパネルのハードウエア性能だけでは実現できない。ハードウエアの性能だけでなく、ハードウエアを制御するソフトウエアのアルゴリズムの良し悪しがタッチパネルに能力を決める。

 実際にメール入力画面で文字入力機能を利用してみた。XPERIAを縦に構えてメール入力画面を呼び出すと、画面上方にメール本文を表示するエリアが現れ、画面下にQWERTYキーが表示される。およそ50mm幅のディスプレイは決して広くない。当然ここに表示されるソフトウエアキーボードの1つ1つのキーはごく小さい。

 しかし文字を入力してみると、小さいキーボードにもかかわらずタッチした文字をしっかり認識してくれるのには驚いた。タッチした文字は一瞬大きく表示されるので、視線をメール本文とキー表示部の間で往復させる必要がない。かなり早いテンポで入力しても、ストレスを感じなかった。

 スムーズな文字入力は、タッチパネルを主たるユーザーインターフェイスとするスマートフォンが超えなくてはならないハードルだ。XPERIAは見事にクリアしている。文字をしっかり認識するだけでなく、アイコンなどのタッチも的確に認識する。

 液晶ディスプレイは、VA(Vertical Alignment)方式のものを搭載している。VA方式の液晶ディスプレイは指で押すと画面表示がにじむ。指で押してもにじみにくいIPS(In-Plane Switching)方式の液晶ディスプレイは、VA方式の液晶ディスプレイよりも部品コストが高い。

 ノートPCのように、ディスプレイ表面に柔らかい保護フィルムしか付いていない場合、VA方式とIPS方式の差は大きく感じられるが、XPERIAは強化ガラスでディスプレイを保護しており、タッチパネルを操作している時も画面がにじむことはほとんどなかった。かなり強い力をかけると、VA方式の特有のにじみが発生するが、普通の使い方ならば表示がにじむことはないだろう。

 →分解した基板の写真など、続きはこちらから。

Photo XPERIAのメイン基板のディスプレイ側の面

Profile

タイ生まれのタイ育ちで自称「Made in Thailand」の柏尾南壮(かしお みなたけ)氏は、1994年10月、フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズを設立し、法人格は有していないが、フリーならではのフットワークの軽さで文系から理工系まで広い範囲の業務をこなす。顧客の多くは海外企業である。文系の代表作は1999年までに制作された劇場版「ルパン三世」各作品の英訳。主力の理工系では、携帯電話機の分解調査や分析、移動体通信を利用したビジネスモデルの研究に携わる。


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