インタビュー
» 2013年01月16日 19時52分 UPDATE

開発陣に聞く「HONEY BEE 5」:新型HONEY BEEが追求した2台目端末としての“最適解” (1/2)

女子高生を中心に根強い人気を集めるPHSの「HONEY BEE」シリーズ。2012年11月に発売された最新モデルは、HONEY BEEというブランドを見直すことから開発がスタートしたという。

[房野麻子,ITmedia]

 PHSのHONEY BEEは2008年に初代が登場し、2012年11月に発売された「HONEY BEE 5 WX07K」が第5世代目となる。バリエーションの1つとして折りたたみ型の「HONEY BEE BOX」もあったが、ほかはすべてストレートボディに2インチのディスプレイを搭載し、元気いっぱいのポップなカラーをまとっていたのが特徴だ。

photo 「HONEY BEE 5 WX07K」。ツートーンカラーのボディは全8色

 しかし新たなHONEY BEE端末の開発にあたり、京セラでは「HONEY BEEというブランド自体を今後どう構築していくのか」という点に立ち返って再考し、従来のサイズが適切なのかというところから検討して開発を進めたという。

 その結果、新しいPHSのHONEY BEE 5は、ディスプレイのサイズやボディの横幅は従来モデルとほぼと同じだが、電話としての使いやすさやキーの押しやすさを考慮して、縦に少し長いスティック形状のボディとなった。また、2色のカラーを組み合わせた斬新なツートーンカラーのボディも特徴的だ。機能面では防水やBluetoothに対応するなど、これまでのモデルにはない点も打ち出している。

photophotophoto 京セラの横田氏、西本氏、長尾氏

 ブランドの再考を経て、PHSのHONEY BEEはどのように進化したのだろうか。開発を担当した京セラ 通信機器関連事業本部 マーケティング部の横田希氏、同デザインセンターの西本圭太氏と長尾友美氏に話を聞いた。

ユーザーの趣味嗜好や“1台目の端末”が変わった

――(聞き手:ITmedia) HONEY BEE 5は従来のシリーズとかなりテイストが違っていますが、どのような変化があったのでしょうか。

横田氏 HONEY BEEといえばハチのキャラクターを前面に出したカワイイPHSですが、初代はカタログにもハチのキャラクターはそれほど出ていません。HONEY BEE 2でたくさん出始め、HONEY BEE 3になると大きく扱われるようになり、ハチのキャラクターの世界観をしっかりと出していく形になりました。HONEY BEE 4も至る所にハチが登場し、キャラクター化してブランドを強くアピールしています。

photophoto 歴代HONEY BEE
photo ソフトバンクモバイルから1月下旬に発売予定の「HONEY BEE 201K」

 今回は、スマートフォンの「HONEY BEE 201K」とともに原点に立ち返って取り組みましたが、HONEY BEE 5ではパンフレットにもハチはちょっと出てくるだけで、ワンポイント的に見せるようにしています。ハチのおしりをモチーフに使ってはいますが、前のように大々的には使っていません。ハチの世界観を踏襲していないわけではありませんが、キャラクターをたくさん使わなくても世界観はしっかり表現できるだろうと考えました。

 端末のユーザーインタフェースも変え、待受画面やメニューにはハチが出てきません。端末のカラーバリエーションによっては背景がドット柄で、この中にハチのおしりがあったり、定時になると鳩時計のような感じで出てきたりという演出はありますが、あくまで控えめにしています。

photophotophoto HONEY BEE 5のUI。ハチのキャラクターは控えめに登場
photophoto ハチを登場させないポップなデザインも用意している

―― 新モデルではボディが防水対応になり、Bluetoothもサポートしています。デザインだけでなく機能面でも変化が見られますね。

横田氏 “2台目端末”としての位置付けは変わりませんが、今の2台目端末にはどんな機能が必要なのかを調査しました。女性の要望として多かったのが防水機能。また、同じ2台目端末でも、初期の頃は、1台目はフィーチャーフォンを前提にし、その2台目端末として仕様を決め込んでいました。今は、1台目はスマートフォンを持たれる方が多く、2台目端末としての役割が変わってきています。

 スマホと一緒に持って便利な機能を搭載しようということで、今回はBluetoothを搭載しました。スマートフォンにかかってきた電話の着信をHONEY BEE 5で取れるほか、「お知らせシェア」を利用してスマートフォンに届いたメールの通知をこの新機種でも受け取れます。メールはGmailのほか、HONEY BEE 101K/201Kと組み合わせた場合はソフトバンクモバイルのキャリアメールも着信通知に対応しています。他社のキャリアメールに関しても今後検討していきます。現時点ではGmailをよく使われる方は便利です。

photo Bluetoothでスマホのメール着信などを通知する「お知らせシェア」

 またPHSのプラットフォームも変わりました。詳しくは申し上げられませんが、新しい世代のプラットフォームになったことでBluetoothに対応できたほか、CPUも性能が上がり、データフォルダの容量が70Mバイトから100Mバイトにアップしています。キーイルミネーションも今回搭載しましたので楽しんでいただけると思います。

防水仕様ながら横幅は42ミリをキープ

―― HONEY BEE 5は斬新なカラーバリエーションが印象的ですが、まず端末のデザインコンセプトについて教えてください。

長尾氏 前モデルからサイズもすべて見直すことになり、メインターゲットである女子高生にとって本当に合うサイズ感を再考しました。彼女達のカバンの中に入っているものとして「in her pouch」というコンセプトを立て、女子高生のカバンの中にリアルに入っているものを聞いてみました。すると、リップグロスやサプリメント、ペン、スティックタイプの歯ブラシなど、細長い形状のものが好まれていることがわかりました。

 このコンセプトに行き着くまでに、さまざまなサイズ感のデザインを提案してリサーチしています。ペンタイプのかなり細長い奇抜な端末や、ガムのように小さくてポケットにすぐ入るようなもの、風船のようなツルッとした表面でタッチ操作するものなど、いろんなアイデアでリサーチを繰り返しました。そして、最終的に少し細長いペンタイプが適切なサイズという結論になりました。

横田氏 我々はもっとコンパクトなものがいいかなと思っていましたが、彼女達に聞くと「足りない」という。何が足りないのかというと、どうも電話機としての長さが足りないらしいのです。今回調査して一番好評だったのが、従来から少し伸ばしたタイプでした。少し長い方が耳から口まで届き、電話としての安心感があるようです。

―― 縦に長くなっているわけですね。

長尾氏 幅は42ミリで従来モデルと変わりませんが、サイドに大きなラウンドを付けた楕円のトラック形状を採用して、持ちやすさとかわいらしさにこだわりました。前モデルから幅を広げずにこの形を実現するにはかなり苦労しましたが、技術担当者と最後まで検討を重ね、この形を実現できました。

横田氏 断面を楕円にするとパッキンなど防水用のパーツを貼り付けるスペースが少なくなり、防水性を持たせるときに手間が増えます。また、発話キーをやや斜めにして配置していますが、こうしたイレギュラーな部分があると、防水仕様にする際に苦労します。

―― ボディが長くなりましたが、ディスプレイサイズは2インチで変わっていませんね。

photophoto 断面が楕円形のボディ。上面と底面のデザインも手は抜かれていない
photophoto 左右の側面ともすっきりとしている

長尾氏 長くなった分、キーエリアを広く取っています。操作性を高めるためにキー自体のサイズも大きくしたので、押しやすさも向上していると思います。

 また内部の部品構成もすべて見直しました。これまではサイドにあった充電端子やロックキーを端末の上面と底面に移しました。端末ロックは上面のキーを長押しします。底面のキャップを開けると充電端子があり、端子が側面からなくなったことで、ケーブルを接続してもすっきり使えます。また以前のイヤフォン端子は平型コネクタでしたが、今回はMicro USB端子に差して使う変換アダプタを同梱しています。

―― 外部メモリには非対応ですね。

横田氏 側面をすっきりさせたいという意図もあり、外部メモリスロットの搭載は見送りました。端子類を上下に集約するよう、設計にもがんばってもらった結果です。このデザインが評価され、2012年のグッドデザイン賞をいただきました。

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