開発陣に聞く「JOJO L-02K」(ACT1):テーマは「ジョジョニケーション」 ジョジョスマホで働いた“引力”とは(2/2 ページ)

» 2018年03月14日 06時00分 公開
[田中聡ITmedia]
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“ジョジョタブレット”も検討した

JOJO L-02K スマートフォン以外のデバイスも検討したという津田氏。「ジョジョタブレット」や「ジョジョウォッチ」登場の可能性もあった

―― タブレットもアリだと思うのですが、そもそも、またスマホで出そうと思ったのはなぜですか?

津田氏 最初から「ジョジョスマホ2」をやろうとは思っていなくて、完全にフラットな状態で検討しました。「スマートフォンじゃないセカンドデバイス」にすると、もっと振り切った面白いデバイスができるのか? とか。スマートウォッチなど、スマートフォンの次を模索するデバイスも出ていたので、有形無形のところも含めて、かなり鹿島と議論しました。

鹿島氏 僕の熱い思いとしては、スマートフォンと別の機器を持ち歩く2台持ちは、一般市場ではメジャーではないなと。これだけ前作でもこだわって中身のコンテンツを入れているんですけど、常に使ってこそ価値があるというか、体験をお客さまに伝えたいという思いからすると、常に持って歩いてほしいんですよね。そうなると、タブレットだと、コミュニケーションを中心にする上でやりづらいという思いもあり、やるんだったらスマートフォンだよね、と意見させてもらいました。

津田氏 ジョジョの奇妙な冒険は、通常のエンターテインメント作品と比べると、ファッション的なアイコンとしてファンの方は認識していて、身に付けたい、持ち歩きたい、見せたい、そんな「アイデンティティーを表現したい」という心理もあるよねと。そうすると、スマートフォンが一番マッチするかなと考えました。

 当然、スマートフォンでやり残したこともたくさんあって、アイデアは湯水のごとく出てきて、そこを形にしたいという思いもあります。じゃあ、究極のジョジョスマホを作るとどうなるのか? を考え始めたのが1年半ほど前ですね。

JOJO L-02K JOJO L-02Kの製品サイト。3月14日時点で、まだ事前予約は「可」能だ

ジョジョを介したコミュニケーションを実現させたい

―― 「コミュニケーション」がコンセプトという話もうかがいましたが、前回と今回でコンセプトは変わってきたのでしょうか。

鹿島氏 前回は、できること自体が僕もすごくうれしかったので、やりたいことをひたすら並べたという感じでした。世界観を伝えたいという思いが強くて、幅広いアイデアを入れたつもりではあるんですけど、今回は何か1つ軸を打ち立てた上で設計した方がいいと思い、ビジュアルも含めて、前回と差分が出るように組み立てました。

津田氏 あまり人様にお見せできるようなものではないんですけど、初期の検討資料があります。その中で「ジョジョニケーション」という造語を作りました。

鹿島氏 「ジョジョベラー」(※2013年に発売された画集「JOJOVELLER」)や「ジョジョニウム」(※ジョジョ第1部〜第3部の愛蔵版コミックス「Jojonium」)とか、ジョジョ自体がこういう造語で展開していたこともあったので。

津田氏 ジョジョを介したコミュニケーションは、よくご存じない方からすると、「こいつら何すっとんきょうなことを言っているんだ」という感じになりますが、私と鹿島の間ではすごく自然なこと。私は関西支社に勤務していて、鹿島とは接点がなかったんですけど、こちらに転勤になったのが、前回のL-06D JOJOが出る少し前でした。そこで他のメンバーに引き合わされました。「おまえは会った方がいい」と。

―― 「スタンド使いは引かれ合う」(※スタンド使い同士が運命的に出会う法則を指した言葉)ですね。

津田氏 まさにそういった引力が働きました。ジョジョという共通項を通じて接点を持てますし、何気ない会話もジョジョのキーワードがちりばめられたような内容に自然となっていきました。そういった行為そのものをジョジョニケーションと定義して、それをもっと盛り上げられる端末を出せないかと。

 端末を持った方がジョジョファン同士、よりつなぎ合えるというか、盛り上がれるものを提供できると、価値があるんじゃないかと。

 「単純に次のジョジョスマホをやりましょう」とはならなくて、ジョジョの奇妙な冒険が、これだけコンサバを知らないというか、常に攻めの姿勢でクリエイティブなことをされている作品、作家さんなので。「同じことを2回やるだけだと意味がない」と集英社さんにも言われました。新しいトライをできないと意味がないという共通認識のもと、検討を進めて、どんどん新しい機能や使い方を考えていきました。

―― ハードルは、集英社さんに理解してもらい、その次が社内だったのでしょうか。

鹿島氏 並行してやっていましたね。「スマートフォンとして新しいことができないか」も求められていました。こういう端末をやらせてもらうにあたって、いいアイデアを提示できれば、やりがいも増えます。いろいろなメンバーとディスカッションをしながら具体化していきました。

 まさに「擬音モード」は、その中から生まれた機能の1つです。

→T0 BE CONTINUED...

(次回は、擬音モードをはじめとするコンテンツ、背面の描き下ろしイラストや、新しい見せ方にこだわったという壁紙に迫ります)

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