「代理店の端末値引き」「最安値を強調する広告」 モバイル市場の公正競争で残る問題点ワイヤレスジャパン 2018

» 2018年06月04日 11時00分 公開
[房野麻子ITmedia]

 ワイヤレスジャパン 2018の「携帯電話販売代理店向けビジネスセミナー」に、野村総合研究所 コンサルティング事業本部 パートナーの北 俊一氏が登壇し、「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」でまとめられた報告書のポイントを解説した。

北俊一 野村総合研究所 コンサルティング事業本部 パートナー 北俊一氏

 「サブブランドつぶし」とささやかれた検討会だが、北氏は「ドコモのMVNOばかり増えたことが原因」と解説。KDDIとソフトバンクは、MVNOに対抗するためにY!mobileとUQ mobileでユーザーの流出を防いだ。しかし「そのやり方に対してMVNOから疑義が出ることになった。この疑義は晴れていない」(北氏)。親会社からサブブランドへの優遇、いわゆる「ミルク補給」があるのではという疑義については今後も注視される。

 Y!mobileはソフトバンクと同じ電波を使っているのに、安い料金で利用できる。これについては「不当廉売ではないかということで、どちらかというと独禁法に関わる問題」(北氏)。これも引き続き検証されるが、より難易度が高い問題だと語った。

北俊一 “ミルク補給”の有無や不当廉売については、引き続き検証される

 北氏が「最大の問題」と指摘したのが、端末販売の適正化だ。キャリアによる端末補助については総務省がチェックするが、「代理店さんが勝手に安くすることについては、今のガイドラインや法律でコントロールできない。ここは独禁法による規制しかない」とし、総務省と公取委がしっかり連携することが重要だと語った。公取委が代理店の「提供に要する費用を著しく下回る価格」を定義できないなら、「電気通信事業法の改正、あるいは韓国型総量規制に移行する」(北氏)のがよいという。

北俊一 長年検討されてきた端末価格の適正化には、総務所と公取委の連携が重要と指摘

 さらに北氏が懸念しているのが、最安値だけを強調する「有利誤認的な広告」だ。

北俊一 CMを規制してほしいというショップスタッフからのメールが紹介された

 「UQ mobileもY!mobileも、MVNOよりもつながる価値を価格としてお客さんに提示しなくてはいけないのに、MVNOと同じだけ安いといっている。最安値で契約するには多くの条件があり、これは有利誤認。ショップスタッフにとっても大きなストレス。業界の自浄作用を期待して見てきたが、無理なようだ」と北氏は語り、総務省や消費者庁に厳しい対応を望んだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月15日 更新
  1. 専用充電器はもう不要? 中韓スマホから国内勢まで巻き込む「USB PPS」急速充電の新常識 (2026年07月14日)
  2. 誤爆で「ワインが20本も届いちゃう」 押せば注文できる“Amazon Dash Button ”とは何だったのか (2026年07月11日)
  3. 日本のテスラで解禁された対話型AI「Grok」を試してみた 従来のカーナビを圧倒する異次元の利便性 (2026年07月13日)
  4. LINEの新「プレミアムブロック」で完全な“絶縁”が可能に? 従来のブロック機能との決定的な違い (2026年07月15日)
  5. スマホは本当に会話を「盗聴」して広告を出しているのか? 専門調査と最新事例から考える (2026年07月13日)
  6. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  7. なぜ「ドコモ銀行」じゃない? 「ドコモSMTBネット銀行」の名称に隠された通信と金融の“パワーバランス” (2026年07月15日)
  8. 4キャリアのネット銀行、メイン利用率は35.8% 契約キャリアとの結び付きが強い結果に MMDが調査 (2026年07月13日)
  9. スマホをタッチせずに改札もレジも通過 日本で広がる「UWBタッチレス決済」最前線 (2026年07月10日)
  10. 「不要な広告」に追跡されないために私がしている3つのこと (2017年02月16日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー