菅政権肝いりの「キャリアメール持ち運び」、どこまでニーズがあるのか?(3/3 ページ)

» 2021年07月26日 06時00分 公開
[佐野正弘ITmedia]
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果たしてどこまでニーズがあるのか?

 総務省、そして菅政権が強い期待を抱いているキャリアメールの持ち運びだが、実際どの程度ニーズがあるのかは判断しにくい。総務省のアンケートでは一定の利用があるとされているが、それはあくまで5000人の意見にすぎず、一方で持ち運びが「必要ない」という声も少なからず聞かれ、キャリアメールの持ち運びを競争政策の目玉の1つに据えることには疑問を抱く向きも多いようだ。

 ただ一方で、3キャリアのオンライン専用プランのサービス開始直前に、多くのWebサービスが、オンライン専用プランへの移行でキャリアメールが使えなくなり、トラブル発生の可能性があるとして注意喚起していたことも記憶に新しい。このことは、利用頻度が減っていてもキャリアメールが実際は何らかの形で使用されており、存在感が大きいことを示したともいえる。

 また最近ではドコモがahamoに有料での店頭サポートを追加するなど、オンライン専用プランを若い世代以外にも拡大しようとしているのではないか? という動きも見られ、そうなれば今後、キャリアメールの持ち運びニーズが高まる可能性も考えられる。それだけに、キャリアメールの持ち運びがどこまで利用されるのか? というのはふたを開けてみないと分からないというのが筆者の見方である。

 ただ先の事業者間協議によると、変更元管理方式では「IMAP対応メーラーを具備している」ことが必須条件とされているが、特に古いフィーチャーフォンの利用者がそうした条件を理解し、端末を買い替えて設定までこなせるのか? という点には疑問が残る。また移転元のキャリアメールは、移転先からしてみれば他社サービスなので、それを移転先のキャリアショップがどこまで面倒を見るべきなのかという点も、報告書を見る限りは明確になっていない。周辺環境の整備にまで議論が及んでいない状態で、開始を急ぐ必要があるのか? という点には疑問がある――というのが正直なところだ。

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