Chrome OSは、Starter以外のWindows 7の各エディションにとって必ずしも脅威にはならない。そう考えれば、Microsoftは今後1年間、Starterエディションを改良し、Chrome OSがリリースされるまでに同OSへの競争力を高めておくべきだ。もちろんそれは、Microsoftの最も簡素なOSバージョンに含まれなかった(多くの)機能の一部を入れ直すことを意味する。
Chrome OSに関しては、まだはっきりしない重要な部分が幾つかある。その1つが、ソフトウェアがどのような形で同OSに統合されるのかということだ。現時点では、ユーザーがアクセスできるWebアプリケーションが何種類か用意されるとされているが、オンラインで徐々に普及しつつある高機能型のソフトウェアはどうなのだろうか。Microsoftが本気でChrome OSをやっつけたいのであれば、ユーザーが求めるソフトウェアを利用できるプラットフォームを提供する必要がある。それは、サードパーティー開発者との緊密な関係を通じてのみ可能だ。Microsoftは直ちにその作業に取り掛かる必要がある。
Chrome OSを打ち負かすためのMicrosoft戦略におけるもう1つの重要な要素が、各種オンラインサービスの改善だ。Bingは魅力的な機能を備えた素晴らしい検索エンジンだ。Bing MapsはGoogle Mapsよりも優れているように思える。Microsoftは今後もオンラインサービスを改善し、より多くのユーザーをGoogleから奪う必要がある。それは、Chrome OSのオンライン分野へのインパクトを抑制することにもなる。
Microsoftは金を持っている。それもたくさんの金だ。同社はその資金力に物を言わせて、GoogleがChrome OSで実現しようとしているものよりも優れたOSを開発すべきだ。この取り組みに貢献する企業を買収するのにも、その資金を活用すべきだ。
GoogleがChrome OSに関して取り上げると予想される主要なテーマの1つにセキュリティがある。同社は間違いなく、Chrome OSがWindowsよりもセキュアである理由を吹聴するだろう。このため、Microsoftは今後1年間、自社のプラットフォームのセキュリティの改善に真剣に取り組む必要がある。そうすれば、同社を悩ませ続けてきたセキュリティ問題を、GoogleがChrome OSの宣伝に利用できなくなるだろう。
最後に、Microsoftは「Windows 8」で将来に備える必要がある。Windows 7が10月に店頭に並んだばかりではあるが、Chrome OSは将来を見据えている。Microsoftは、クラウドコンピューティングを基盤とする将来のコンピューティングに向けた計画を立て、Windows 8がこのトレンドに合致するようにしなければならない。それと同時に、従来のコンピューティング方式にとどまりたいユーザー(特に企業ユーザー)のことも忘れてはならない。そうすれば、Microsoftはこの部分の市場をカバーできるだろう。それはGoogleにとっては困ることだ。
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