Googleは2月23日、3社のネット企業が同社を欧州委員会に提訴したことを明らかにした。Googleの検索結果で3社のWebサイトが低い順位を付けられ、Googleは公正な競争を尊重していないというのが提訴の理由だ。
欧州連合(EU)の独禁法当局である欧州委員会は、英国の価格比較サイトFoundem、フランスの法律関連検索エンジンejustice.fr、Microsoft傘下の製品購入サイトCiao from Bingから訴状を受け取った。
欧州委員会では、これらの訴えに関してGoogleに対する正式な調査はまだ開始していないとしているが、Googleは申し立てを否認し、このうち少なくとも2件については、検索分野のライバルであるMicrosoftがけしかけた可能性があるとしている。
Googleによると、ejustice.frとFoundemでは、Googleの検索アルゴリズムが両社のサイトをGoogleの検索結果で低い順位にしていると主張しているという。両社は特定分野向けの検索エンジンであり、Googleと直接競合するからという理由を両社は挙げている。Foundemは、Microsoftも出資しているICOMPのメンバーとなっている。ICOMPは欧州でGoogleに対抗するロビー活動を行う組織だ。
Microsoftは2008年、古くからのGoogleのAdSenseパートナーだったCiaoを買収し、Ciao from Bingという社名に変更した。Googleによると、この買収後間もなく、自社の標準的な契約条件に関する苦情が寄せられ始めたという。
つまり「今回の訴えの背後にはMicrosoftの存在がある」とGoogleは示唆しているのだ。
Googleの競争担当主席弁護士ジュリア・ホルツ氏は、Webサイトにとっての検索結果順位の重要性を認めながらも、検索は完ぺきなものではなく、「解くのが非常に難しいコンピュータ科学の問題」だとしている。
ホルツ氏によると、Googleのアルゴリズムは、人々が有用だと見なす可能性が高いものから順位付けすることを目指しており、Moneysupermarket.com、Opodo、Expediaなど多くの特定分野向け検索エンジンは、Googleの検索結果で上位にランキングされることが多いという。
「申し立ての内容はそれぞれのケースで若干異なっているが、結局、彼らが提起しているのは、Googleが競争を阻害したり、ユーザーやパートナーの利益を損なったりするようなことをしているのかという問題だ」とホルツ氏は説明する。「だがそのような事実はない。当社はいつも人々の懸念に注意深く耳を傾けるとともに、ユーザーの利益を最優先にし、市場で公明正大に競争するために努力している。当社のビジネス手法はこういった姿勢を反映したものだと考えている」
Googleは今後、3社の申し立てに関する意見と追加情報を提供する方針だ。
英調査会社Collins Stewartでは、1月22日にGoogleへの投資判断を「中立」に格下げした理由の1つに今回の提訴を挙げている。
「取締当局による監視の強化は、われわれが1月にGoogleを格下げしたマイナーな理由の1つだった。検索市場におけるGoogleの支配的地位ゆえに、当局の監視はさらに頻繁に表面化するようになるだろう」とCollins Stewartは指摘する。
Googleが欧州で摩擦を引き起こしたのは今回が初めてではない。スイスはGoogle Mapsの「Street View」機能をめぐって同社を提訴している。またGoogleは2008年、欧州連合の批判を受け、データ保存期間を従来の半分の9カ月に短縮した。
また2月24日には、イタリアの裁判所でGoogleの2人のマネジャーと元幹部がプライバシー違反で有罪判決を受けた。これは、2006年にGoogle Videoに投稿された動画に関連した事件で、この動画には障がいを持ったクラスメートをほかの生徒がいじめる様子が撮影されていた。
企業向け情報を集約した「ITmedia エンタープライズ」も併せてチェック
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.
Special
PR