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» 2012年01月25日 07時00分 UPDATE

ビッグデータが生んだ“新型ペットボトル”――JR東日本WBが新商品を開発

JR東日本WBが3月に発売するペットボトル飲料の特徴は、新開発の「落ちないキャップ」。同社の自販機4500台で収集したビッグデータを活用して開発したという。

[本宮学,ITmedia]
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 JR駅構内の飲料水ビジネスを手掛けるJR東日本ウォータービジネス(JR東日本WB)は1月24日、ペットボトル入り飲料水「フロムアクア」をリニューアルし、3月6日に発売すると発表した。同社の自動販売機4500台で収集した大量のPOSデータを基に新開発した「落ちないキャップ」を採用したのが特徴で、東京郊外に住む女性をメインターゲットとして拡販していくという。

 落ちないキャップは、キャップ下部のリングとキャップ本体をバンドでつなぎ、キャップを開けた状態で手を離しても落ちないようにしたもの。同社によると「フロムアクアは移動中に飲まれている場合が多い」という解析結果を基に、「キャップをなくす心配なく片手で飲めるペットボトル飲料」をコンセプトに開発したという。

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 同社は2009年、駅構内の自販機にSuica決済端末「VT-10」の導入を始め、同時に販売データの収集・解析を開始。2011年には解析効率の向上を目指して富士通ビー・エス・シーのオンメモリデータベース「Oh-Pa 1/3」を導入し、(1)単品別の販売時間帯・箇所、(2)単品別のリピート率、(3)購入者の性別年代、郵便番号(Suicaポイントクラブ会員データから算出、個人情報は含まない)――など、年間約2億レコード(100Gバイト相当)のデータを解析してきた。その結果、フロムアクアは東京23区外の朝の時間帯で特に多く買われていることが明らかになったという。

 このデータに基づき、同社は「東京郊外から都心に通勤している人が移動中にフロムアクアを飲んでいる場合が多い」という仮説を立案。これを裏付けるために実施したインターネット調査では、駅構内でミネラルウォーターを購入する人のうち7割強が、乗車前や乗換前に購入していることが判明した。

 そこで同社は同商品のターゲットを「駅構内でミネラルウォーターを購入して移動中に飲む人」とし、商品コンセプトを「持ち歩きたくなる水」と再設定した。さらに、同調査で約7割の人が「ペットボトルのキャップを落としたことがある」と回答したことから、落ちないキャップの開発に至ったとしている。

photophoto 商品コンセプト(写真=左)、フロムアクアの購買者属性(写真=右)

 リニューアルに伴い、ボトルのデザインも一新した。フロムアクアの購買層は同社の他商品と比べて女性の比率がやや高かったことから、女性向けを意識したデザインになっているという。また発売に先立って、2月中旬からは東京近郊の約150駅で、女性の購買率が比較的高いという朝の時間帯を中心にプロモーション活動を実施する予定だ。

 同社は一連のリニューアル効果と販促効果で、2012年中に同商品100万ケースの出荷を見込む。

商談にもビッグデータを活用

photo 田村社長

 同社の自販機の多くは、複数のメーカーの商品と自社のオリジナル商品を組み合わせて販売する「ブランドミックス機」だ。メーカーにこだわらず売れ筋商品や新商品をそろえられるという特徴を生かし、2011年冬には販売データの解析に基づく商品の拡充も実施している。

 同社によると、リンゴジュースなどの果汁入り飲料水は、夕方以降に男性が購入する割合が高かったという。そこで同社は女性ユーザーをさらに獲得するため、特に甘味の高い“おやつ飲料”を飲料メーカーに提案した。同社の田村修社長によると、拡充を提案した280ミリリットルサイズのペットボトル飲料はもともとメーカーで取りそろえがなかったものの、解析したデータを添えて提案することで、商品の拡充を実現できたという。

 田村社長は「データの解析によって商談のあり方も変わった。従来は飲料メーカー側からの提案を当社が受ける場合が多かったが、データを基にこちらから商品の拡充を提案できるようになった。今後もデータ解析を実施し、効果的な販売活動につなげていきたい」と話している。

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