東芝製0.85インチHDDなど、超小型HDDの最新モデルが登場2004 International CES

» 2004年01月10日 21時23分 公開
[平澤寿康,ITmedia]

 HDD内蔵型携帯MP3プレーヤーの市場拡大、デジタルカメラの高画素化によるメモリカード大容量化のニーズ増などにより、小型HDDの需要がかなりの勢いで拡大している。2004 International CESでは様々なメーカーが多機能な携帯電話やPDA、小型のデジタルビデオムービーなどを続々と発表しており、最新デジタル家電機器でも大容量のストレージデバイスが不可欠となる。

 フラッシュメモリを利用した1Gバイト超のカードもいくつか登場してきているが、まだまだ価格面で手を出しづらい。しかし、1インチクラスの超小型HDDであれば、フラッシュメモリよりも安価に大容量化を実現できる。そのため、超小型HDDは様々なデジタル家電機器での採用が進んでくるものと思われる。そういった需要を背景に、1インチクラスの超小型HDDも大容量化の競争に突入し、各メーカーとも2Gバイト超の大容量モデルをCESに合わせて続々と発表してきた。そこで、CESで見つけた超小型HDDをいくつか紹介していこう。

東芝、直径0.85インチの超小型HDDを発表

 マイクロドライブなどのコンパクトフラッシュサイズに内蔵されるHDDは直径が1インチのものだが、今回東芝から発表された超小型HDDは、1インチを0.15インチ下回る直径0.85インチというさらに小型のものだ。しかも、容量は2Gバイトと4Gバイトの2モデルが発表され、容量面でも1インチHDDに負けていない。

photo 東芝が発表した0.85インチの超小型HDD。2Gバイトモデルと4Gバイトモデルが計画されている

 もちろん、直径が小さくなった分だけ、ユニットサイズも小さくなっている。今回公開されたプロトタイプは、縦が32ミリ、横が24ミリと、表面積はSDメモリーカードと同じサイズとなっている。面積的には、HDD内蔵型SDカードを実現することも可能だ。

photo サイズは32×24ミリとSDメモリーカードとほぼ同じ。小型デジタルデバイスでの利用が見込まれる

 ただし、厚さは2Gバイトモデルが3.3ミリ、4Gバイトモデルが5ミリとなっており、SDカードの規格である2.1ミリには納められない。今後、コンパクトフラッシュ Type IIのような、厚さ5ミリ程度のSDカードの規格が策定されれば、HDD内蔵型SDカードも登場する可能性がある。もちろん、コンパクトフラッシュにはまったく問題なく納められるため、まずはコンパクトフラッシュ型の製品として登場してくることになるだろう。

photo 1.8インチHDD内蔵のPCカード型HDDとの比較。とにかく強烈に小さいという印象だ

 重量は2Gバイトモデル、4Gバイトモデルともに10グラムを切る程度で、非常に軽量。また、ディスク回転数は3600rpmとされている(データ転送速度は未発表)。この0.85インチHDDは、デジタルカメラや携帯MP3プレーヤー向けのストレージデバイスとしてはもちろんのこと、PDAや携帯電話などに採用されることが見込まれているようだ。製品の出荷時期だが、サンプル出荷が今年夏頃、本格的な量産出荷は今年秋頃を予定しているそうだ。

photo 携帯MP3プレーヤーやデジタルカメラはもちろん、PDA、携帯電話などでの採用も目指している

Corniceは2Gバイトの1インチHDDを発表

 Digital Networks North Americaの「Rio Nitrus」(日本ではRio Japanから発売)などに採用されている、1.5Gバイトの容量を持つ1インチHDDを開発している米国のHDDメーカーCornice。そのCorniceが、今回CESに合わせて容量2Gバイトの1インチHDDを発表した。

photo Cornice製で容量2Gバイトの1インチHDD「2.0GB Cornice Storage Element」。従来の1.5Gバイトモデルより高速化も実現

 今回発表されたのは「2.0GB Cornice Strage Element」。ユニットサイズは、42.8(縦)×36.4(横)×5(厚さ)ミリと、従来の容量1.5Gバイトのモデルとまったく同じで、重さは14.5グラム。データ転送速度が4.5Mバイト/秒だ。1.5Gバイトモデルのデータ転送速度は4Mバイト/秒なので、容量増だけでなくデータ転送速度の向上も実現されているわけだ。

photo 2.0GB Cornice SEはすでに出荷済みで、Philipsの携帯MP3プレーヤーなどでの採用が決定しているそうだ

 Corniceの1インチHDDは製品組み込み用の形態を取っており、主に携帯MP3プレーヤーで採用されている。今回発表された2Gバイトモデルも同様で、すでに出荷が開始されており、Corniceのブースでは搭載製品と思われるPhilips製の携帯MP3プレーヤーも同時に展示されていた。2Gバイトモデルは、出荷価格が70ドル(年間10万個ロット時)と安価な点も特徴となっており、今後、小型携帯MP3プレーヤーをはじめ、様々なデジタルデバイスでの採用を期待しているようだ。

日立GST、GS Magicstorは発表済みの製品を展示

 1インチHDDの先行メーカーである日立グローバルストレージテクノロジーズは、すでに1インチHDD内蔵コンパクトフラッシュであるマイクロドライブの2Gバイトモデルと4Gバイトモデルを出荷済みで、会場でも4Gバイトのマイクロドライブを展示していた。

photo 日立グローバルストレージテクノロジーズは、4Gバイトのマイクロドライブを展示。大容量モデルの発表はなかった

 また、中国の新興HDDメーカーであるGS Magicstorも、すでに4.4Gバイトと4.8Gバイトの1インチHDDを発表済みで、会場でもコンパクトフラッシュタイプの4.8Gバイトモデルを展示していた。

photo 中国GS Magicstorは現時点で1インチHDDの最大容量を誇る4.8Gバイトモデルを展示。すでに発表済みの製品だ
photo 4.4Gバイトモデルでは接続インターフェイスがUSB 2.0の製品も展示されていた

 両社とも今回のCESに合わせたより大容量のモデルに関する発表は行われなかったが、1インチクラスの超小型HDDの分野において容量の面で先の2社を先行しており、当然より大容量なモデルを近い将来発表してくることは間違いないだろう。

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