RAID0構築でパフォーマンスアップ(3/3 ページ)

» 2004年03月11日 15時02分 公開
[富永ジュン,ITmedia]
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手順11

ドライバのロードが終わると再度ドライバ選択メニューに戻るので、「Enter」キーを押してWindowsのインストールを続けよう

手順12

Windowsのインストール中に数度このようなハードウェアのインストール確認画面が表示されることがある。「はい」をクリックしてインストールを続けよう。あとは通常のWindowsインストール手順と一緒だ

ベンチマーク編

 無事Windowsのインストールが終了したら、どの程度パフォーマンスがアップしているかが気になるところだろう。今回構築したRAID0ドライブと通常のUltra ATA/133のシングル構成の両方でベンチマークを計測して、どの程度のパフォーマンス向上が得られるのかを比較してみた。

 何回かユーザによる入力箇所があるため厳密な比較にはならないのだが、Windows XPのインストールにかかった時間はRAID0が12分、Ultra ATA/133が19分と明らかに短縮された。なお、ベンチマークに利用した環境は以下の通りだ。

  ベンチマーク環境
CPU Pentium 4/3.2GHz (FSB800MHz, HTオン)
メモリ CFD DD4333K-S256/H(PC3200) 256Mバイト×2(DDR400設定)
HDD Maxtor DiamondMax Plus 9 6Y200P0(200Gバイト) ATA133
ビデオ ASUSTeK V9480/TVD (GeForce4 Ti 4800SE)
OS Windows XP Professional+SP1(NTFS,英語版)
ディスプレイドライバ ForceWare v53.03
チップセットドライバ 5.1.1.1002
BIOSバージョン P14

FDBENCH 1.01

 一般的に入手できるフリーのベンチマークソフトとして「FDBENCH」を利用した。設定はデフォルトのままで、スコア表記のみ「MByte/Sec」に変更した。

 スコアを見てみると、すべての項目でRAID0(下図)がUltra ATA/133(上図)を大きく上回っている。特に「Write」項目で2倍以上、「Random Write」でもほぼ2倍近いスコア上昇が見られ、特に書き込み処理を行う場合に大きくパフォーマンスが伸びているのがうかがえる。また、書き込みほどスコア上昇は大きくないものの、「Read」、「Random Read」も共にスコアが約1.7倍になっている。

PCMark2002

実験内容 RAID0 Normal
CPU score 7891 7900
Memory score 8215 8111
HDD score 2362 1377
Hard Disk - Cached file write 65.8 Mバイト/秒 38.3 Mバイト/秒
Hard Disk - Uncached file write 90.8 Mバイト/秒 48.7 Mバイト/秒
Hard Disk - Cached file read 71.8 Mバイト/秒 42.8 Mバイト/秒
Hard Disk - Unched file read 98.2 Mバイト/秒 50.9 Mバイト/秒
Hard Disk - File copy 31.6 Mバイト/秒 20.7 Mバイト/秒

 PCMark2002では、CPU、メモリ、HDDの3つの項目に分けてベンチマーク結果が表示される。CPU、メモリの2項目ではほぼ同じスコアになっているが、「HDD score」でRAID0がUltra ATA/133を大きく引き離している。

 「HDD score」内の各テスト結果を細かく見てみると、キャッシュがきいている状態では読み/書き共に約1.7倍程度、キャッシュなしでは約1.9倍のスコア上昇が見られ、特にキャッシュがきかない状態でのパフォーマンス向上が大きいことがわかる。最近では8Mバイトキャッシュを備えたHDD製品も登場しているが、安価に入手できる2Mバイトキャッシュ製品でもRAID0を構築すれば大きなパフォーマンスアップが期待できるのは嬉しいところだろう。

SYSMark 2004

実験内容 RAID0 Normal
SYSmark2004 Rating 182 175
Internet Content Creation    
Overall 205 201
3D Creation 193 193
2D Creation 255 244
Web Publication 175 173
Office Productivity    
Overall 162 152
Communication 143 122
Document Creation 175 173
Data Analysis 170 168

 最後に実行したのが「SYSMark 2004」だ。SYSMark 2004はHDDの性能を測るためのベンチマークテストではなく、「Adobe Photoshop 7.01」や「Microsoft Office 2002」といった複数の市販アプリケーションを利用して決められたタスクを自動実行し、処理にかかった時間を元にスコアを決定するベンチマークソフトだ。

 ウェブクリエイターが3D動画を使ったウェブサイトを作成する作業をシミュレートした「Internet Content Creation」と一般的なオフィスワーカーが行うプレゼンテーションスライド作成などのデスクワーク作業を想定した「Office Productivity」の2つのシナリオが用意されている。総実行時間が2時間以上に及ぶ大変負荷の高いベンチマークテストだが、実際のユーザの使用状況により近い環境を作り出せるため、このベンチマークの結果が実際の体感速度の向上率と見てもよいだろう。

 スコアを見てみると大きな伸びを示しているのが、「Office Productivity」内の「Communication」だ。このグループでは、ウイルススキャンを実行しながら「Outlook」で受信したメールをチェックやスケジューラーのアップデートなどを行う、といったHDDへの負荷が高い作業が行われている。一方、「Internet Content Creation」内の「3D Creation」のようにウェブページを作成しながら3Dレンダリングを行うような、HDDへのアクセスをあまり行わない作業ではRAID0、Ultra ATA/133共にまったく同じスコアが出ている。

 結論としては、RAID0の採用はCPUやマザーボードといった根本的なパフォーマンスアップ法ではないため、すべての処理において体感速度の向上が得られるというわけではない。しかし、頻繁にHDDのデータを読み書きする作業においては、十分体感できるほどの速度向上が得られる。

 RAID0構築は、すでにCPUやマザーボードで最高のスペックのものを入手しているがさらに最速を目指したいハードコアユーザだけでなく、コストパフォーマンスに優れたパワーアップ術を模索しているユーザにも積極的にオススメできるだろう。なぜならOS起動中はHDDへのアクセスが頻繁に行われているため、システム起動や終了速度、フォルダを開くといった基本的な作業が改善されるからだ。CPUやマザーボードの換装ほどポピュラーな方法ではないものの、手持ちのマシンのパフォーマンスに不満を感じたら、ぜひRAIDの構築に挑戦してほしい。

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