まずは、利用できるメディアや記録フォーマットが幅広いという点だ。AX300では、DVD-RとDVD-RAMの2種類のメディアに記録が可能だが、DVDレコーダーでは利用できるメディアが制限されることが多い。PCの場合は、現在主流のDVD±R/RWドライブやすべてのメディアへの書き込みをサポートするDVDスーパーマルチドライブ搭載型を選択できるなど、圧倒的に幅広いメディアを利用できる。
映像の記録フォーマットについては、レコーダーではDVDビデオとDVD-VR形式での書き込みを採用した機種が多いが、DVD MovieWriterでは、これに加えてDVD+VR形式での書き込みもサポートしている。DVD+VRでは、DVDビデオ形式との互換性を保ったまま追記・編集が可能なため、ほとんどのDVDドライブやプレーヤーで再生できるというメリットがある。
また、「DVDメニューつき書き込み」を選択した場合は、 DVD MovieWriterでCMなどの不要な部分のカット編集やDVDメニューの作成が可能となる(「DVD直接書き込み」でも「戻る」ボタンで作業を遡れる)。DVDレコーダーでは、GOP(一定の数の画像)単位でのカット編集となる場合が多いが、 オーサリングソフトでは、さらに細かいフレーム単位での編集が可能だ。DVD MovieWriterのカット編集では、プレビューをみながら1フレームごとに映像の「送り・戻し」ができるほかタイムライムラインに数値を入力しての移動にも対応。始点と終点を指定していくだけの簡単な操作で、複数箇所をトリミングまたは削除できる。
ただし、フレーム単位で編集した映像の場合、再エンコード処理に時間がかかるということもふまえておきたい。これを避けたい場合は、一旦HDDへダビングしたデータを「SmartVision/PLAYER」でカット編集すれば、こちらは簡易的なものなので、エンコードにさほど時間をかけずに済む。
さらに、多彩なDVDメニューを作成できるのも、PCでのオーサリングのメリットだ。AX300では、DVD-Rに書き込む場合のみ、簡単なメニュー作成機能があるが、オーサリングソフトでは背景画像やデザインのテンプレートも豊富で、タイトルや番組名を入力したり、フォントや色を変更することもできる。また、PCに保存された映像を追加することもできるなど、自由度の高いDVDの作成が可能だ。
なお、DVDに直接書き込む場合は、こうした手順で「Ulead DVD MovieWriter」を利用することになるが、一旦HDDに録画映像をダビングしてからDVDを作成する場合は、使用ソフトが制限されることもない。
ただし、その場合は、「AX連携ツール」でMPEG変換してコピーする必要がある点に注意したい。AX300で録画した一本のデータは、拡張子が「.svi」のインデックスファイルと複数に分割された映像データ「.m2p」ファイルなどで構成されている。
「SmartVision/PLAYER」や「AX連携ツール」での通常コピーでは、この形式のままでそれぞれの保存ファイルに記録される。このままの状態では、オーサリングの際に面倒なので、「AX連携ツール」のMPEG変換で、一つのMPEGファイルとして書き出しておいたほうが作業しやすいのだ。
MPEG変換といっても、m2pファイルの場合は再エンコードするわけではないので、通常のダビングとほぼ同等の時間で作業は完了する。あとは、使い慣れた映像編集ソフトやオーサリングソフトで、自由に編集・加工が可能だ。
以上のように、AX300とPCを連動してDVDを作成するメリットは多くあるが、かならずしも毎回こうした使い方をするべきであるとは限らない。手っ取り早くDVDを作成したいといった場合は、AX300での高速ダビングがもっとも簡単かつ、すばやくおこなえるのだ。
複数のドラマを話数ごとにタイトルやメニューを付けて永久保存版を作りたいなら、PCでメニュー付き編集をする方法が有効だろう。また、例えば2時間ものの映画をDVD1枚にとりあえず保存しようということであれば、メニュー操作は不要なので、AX300単体でどんどんDVDに落としていくほうが手間がかからない。作成するDVDの用途に合わせて最適な方法を選ぶのがお薦めだ。
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