昔のWindows PCには、本体ストレージを出荷状態に戻すための「リカバリーディスク」が付いてくることが多かった。DVDスーパーマルチドライブやBlu-ray Discドライブの普及で、リカバリーディスクを自分で作るタイプのモデルが増えたが、最近はリカバリーディスクの作成アプリがインストールされていないPCも珍しくない。
では、内蔵ストレージ(HDD/SSD)を換装した場合など、Windows 10/11をプリインストールするPCのリカバリーディスク(メディア)が必要になった場合、どうやって作るのだろうか……?
この記事は、Windows 10またはWindows 11をプリインストールしているメーカー製PCを使っていることを前提としています。
答えはシンプルで、多くのPCメーカーは、Windows PCのリカバリーメディアをWindows標準の「回復ドライブ」アプリから作成するように案内している。
その名の通り、回復ドライブアプリは、Windows PCが正常に起動できなくなってしまった場合に使う「回復ドライブ」というUSBメモリを作成するために用意されている。回復ドライブの本来的な役割は、以下の通りだ。
この回復ドライブを作成する際に、オプションで「システムファイル」を一緒に書き込むと、追加で以下のファイルが格納される。
これにより、回復ドライブをリカバリーメディア代わりに利用できるという寸法である。この方法は作成時点において適用済みのWindows Updateのデータも反映されるので、「リカバリー後にWindows Updateで延々と待たされる」という問題からも解放される(ただし、その効果を最大化するには定期的に回復ドライブを作り直す必要もある)。
では、回復ドライブを作成するにはどうすればいいのか。簡単に順を追って説明していく。
回復ドライブはUSBメモリに作成される。必要な容量は以下の通りとなる。
先述の通り、リカバリーメディアとして利用するにはシステムファイルを一緒に書き込む必要がある。標準ではシステムファイルを一緒に書き込む設定となっているが、念のため「システム ファイルを回復ドライブにバックアップします。」のチェックが入っているかどうかを確認してほしい。
なお、システムイメージを含む場合に必要なUSBメモリの容量は、機種や構成によって異なる。「Microsoft Office」など、プリインストールアプリが多いほど必要容量は大きくなりがちだが、最近のPCはおおむね「32GB以上」が相場だ。
どのくらいの容量が必要かは、回復ドライブアプリのウィザードを進めると出てくる。それを参考にしてUSB 3.2 Gen 1以上での接続に対応するUSBメモリを調達することをお勧めする。読み書きの速度面から、安価なUSB 2.0接続のUSBメモリは使わない方がよい(余計に時間がかかる)。
USBメモリを用意できたら、回復ドライブアプリからリカバリーメディアを作成する。この作業はモデルによって所要時間に大きな差があり、長い場合は1〜2時間程度かかるので、時間にゆとりがある際に行うことをお勧めしたい。
手順は以下の通りだ。
システムファイルを含む回復ドライブ(=リカバリーメディア)の作成は、最新のアップデートデータやプリインストールアプリに関するデータも保存するために時間を要する。長いと2時間程度かかることもあるので気を付けよう作成したリカバリーメディアは大切に保管しておこう。回復ドライブアプリで作る場合は、その性質から少なくとも1年に1回は回復ドライブを作り直したい。
……のだが、いざという時にリカバリーメディアで起動する方法を知らないのはマズい。そこで作成後、リカバリーメディアでPCを起動できるか確認してみよう。
リカバリーメディア(USBメモリ)でPCを起動する方法は、メーカーやモデルによって異なる。ユーザーガイド(マニュアル)やサポートサイトを参照して、方法をチェックしておこう。
例えばレノボ・ジャパンの「ThinkPad」の場合は、電源投入(または再起動)後にLenovoロゴが出てきたタイミングでF12キーを押すと、起動に使うメディアを選択するメニューが表示される。そのメニューからリカバリーメディアを選んで起動するようにしよう。
起動メディアを変更するメニューの出し方は、メーカーやモデルによって異なるので事前にチェックする必要がある。リカバリーメディアを差し込んだ状態で(再)起動し、それがメニューに出ていること確認してからEnterキーを入力(あるいはマウスでクリック)して起動してみよう
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