万が一の備えに! Windows PCのリカバリーメディアを用意する方法【Windows 10/11編】(1/2 ページ)

» 2023年08月12日 13時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 昔のWindows PCには、本体ストレージを出荷状態に戻すための「リカバリーディスク」が付いてくることが多かった。DVDスーパーマルチドライブやBlu-ray Discドライブの普及で、リカバリーディスクを自分で作るタイプのモデルが増えたが、最近はリカバリーディスクの作成アプリがインストールされていないPCも珍しくない。

 では、内蔵ストレージ(HDD/SSD)を換装した場合など、Windows 10/11をプリインストールするPCのリカバリーディスク(メディア)が必要になった場合、どうやって作るのだろうか……?

おことわり

 この記事は、Windows 10またはWindows 11をプリインストールしているメーカー製PCを使っていることを前提としています。


答え:「回復ドライブ」アプリでリカバリーメディアを作る

 答えはシンプルで、多くのPCメーカーは、Windows PCのリカバリーメディアをWindows標準の「回復ドライブ」アプリから作成するように案内している。

 その名の通り、回復ドライブアプリは、Windows PCが正常に起動できなくなってしまった場合に使う「回復ドライブ」というUSBメモリを作成するために用意されている。回復ドライブの本来的な役割は、以下の通りだ。

  • Windowsが正常に起動できなくなった場合の各種診断
  • Windowsの起動に必要なファイルの書き戻し

 この回復ドライブを作成する際に、オプションで「システムファイル」を一緒に書き込むと、追加で以下のファイルが格納される。

  • 当該PC用の各種デバイスドライバー
  • 当該PC(メーカー)指定のプリインストールアプリ/設定

 これにより、回復ドライブをリカバリーメディア代わりに利用できるという寸法である。この方法は作成時点において適用済みのWindows Updateのデータも反映されるので、「リカバリー後にWindows Updateで延々と待たされる」という問題からも解放される(ただし、その効果を最大化するには定期的に回復ドライブを作り直す必要もある)。

回復ドライブアプリ 最近のWindows PCは独自のリカバリーメディア作成アプリではなく、「回復ドライブ」アプリでリカバリーディスクを作成するモデルが多い

「回復ドライブ」の作り方

 では、回復ドライブを作成するにはどうすればいいのか。簡単に順を追って説明していく。

ステップ1:空のUSBメモリを用意する

 回復ドライブはUSBメモリに作成される。必要な容量は以下の通りとなる。

  • システムイメージを含まない場合:2GB以上
  • システムイメージを含む場合:16〜64GB以上

 先述の通り、リカバリーメディアとして利用するにはシステムファイルを一緒に書き込む必要がある。標準ではシステムファイルを一緒に書き込む設定となっているが、念のため「システム ファイルを回復ドライブにバックアップします。」のチェックが入っているかどうかを確認してほしい。

 なお、システムイメージを含む場合に必要なUSBメモリの容量は、機種や構成によって異なる。「Microsoft Office」など、プリインストールアプリが多いほど必要容量は大きくなりがちだが、最近のPCはおおむね「32GB以上」が相場だ。

 どのくらいの容量が必要かは、回復ドライブアプリのウィザードを進めると出てくる。それを参考にしてUSB 3.2 Gen 1以上での接続に対応するUSBメモリを調達することをお勧めする。読み書きの速度面から、安価なUSB 2.0接続のUSBメモリは使わない方がよい(余計に時間がかかる)。

回復ドライブ 回復ドライブアプリの初期画面で「システム ファイルを回復ドライブにバックアップします。」のチェックが入っていないと、リカバリーメディアとして利用できないので注意が必要だ
回復ドライブ 必要なUSBメモリの空き容量は、回復ドライブアプリの第2ステップに表示される
USBメモリ 今回は、自宅の掃除中に発掘された新品のUSB 3.2 Gen 1(USB 3.0)接続の32GB USBメモリを利用した

ステップ2:回復ドライブを作成する

 USBメモリを用意できたら、回復ドライブアプリからリカバリーメディアを作成する。この作業はモデルによって所要時間に大きな差があり、長い場合は1〜2時間程度かかるので、時間にゆとりがある際に行うことをお勧めしたい。

 手順は以下の通りだ。

  1. リカバリーメディアを作るPCにUSBメモリを差し込む
  2. スタートメニューから「回復ドライブ」を検索して起動
  3. 「システム ファイルを回復ドライブにバックアップします。」にチェックが入っていたら「次へ」をクリック(しばらく待つ)
  4. 作成先のUSBメモリを選択して「次へ」をクリック
  5. 最終の注意が出てきたら「作成」をクリック(30分〜2時間ほど待つ)
  6. 「回復ドライブの準備ができました」と出たら完了
USBメモリ システムファイルを含む回復ドライブ(=リカバリーメディア)の作成は、最新のアップデートデータやプリインストールアプリに関するデータも保存するために時間を要する。長いと2時間程度かかることもあるので気を付けよう

ステップ3:リカバリーメディアで起動できるかチェック

 作成したリカバリーメディアは大切に保管しておこう。回復ドライブアプリで作る場合は、その性質から少なくとも1年に1回は回復ドライブを作り直したい

 ……のだが、いざという時にリカバリーメディアで起動する方法を知らないのはマズい。そこで作成後、リカバリーメディアでPCを起動できるか確認してみよう。

 リカバリーメディア(USBメモリ)でPCを起動する方法は、メーカーやモデルによって異なる。ユーザーガイド(マニュアル)やサポートサイトを参照して、方法をチェックしておこう。

 例えばレノボ・ジャパンの「ThinkPad」の場合は、電源投入(または再起動)後にLenovoロゴが出てきたタイミングでF12キーを押すと、起動に使うメディアを選択するメニューが表示される。そのメニューからリカバリーメディアを選んで起動するようにしよう。

起動メニュー 起動メディアを変更するメニューの出し方は、メーカーやモデルによって異なるので事前にチェックする必要がある。リカバリーメディアを差し込んだ状態で(再)起動し、それがメニューに出ていること確認してからEnterキーを入力(あるいはマウスでクリック)して起動してみよう
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー