きょうは、「3Dゲームも任せておけ」のキューブ型ベアボーン「EX915」のパフォーマンスに迫ってみたベアボーン(1/2 ページ)

» 2004年07月22日 08時02分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 日本のユーザーにはマザーボードベンダーとして馴染み深いAOpen。マニュアルの日本語化にいち早く取り組み、トリッキーなチューニングを可能にするBIOSメニューを設けるなど、初心者からパワーユーザーまで幅広いユーザーを意識した機能が広く支持を集めている。もちろん、マザー以外にもグラフィックスカードや、光学ドライブなど多種多様なラインアップを取り揃えた老舗の総合PCパーツベンダーでもある。

 しかし、スタッフの証言によると、意外なことにお膝元である台湾では、パーツベンダーとしてよりも、ベアボーンベンダーとしての知名度のほうが「はるかに」高いそうだ。その「有力ベアボーンベンダー」のAOpenから、いち早くIntel 915G搭載マザーを組み込んだキューブ型ベアボーンキット「XC cube EX915」が登場した。

 EX915は「ゲームユーザーを意識したキューブ型」とAOpenはアピールしているが、そこにはIntel 915Gに内蔵されたインテルの新世代グラフィックスコア「Intel GMA 900」の存在が大きく貢献している。

 そこで、今回のレビューでは、ベアボーンキットレビューでいつも着目する「パーツの組み込みやすさ」や「マザーボードの実力」に加えて、Intel GMA 900のグラフィックス性能にも注目して評価してみたい。

 EX915の筐体デザインは、従来からAOpenのキューブ型ベアボーンラインアップにある「XC cube Sporty」と共通のもの。Rのかかったパネルの一面に細かい穴があけられたメッシュデザインのフロントには、5インチ、3.5インチ用ドライブのオープンベイがそれぞれ一つずつ用意されている。

 正面下部には各種インタフェースが用意されているが、USB 2.0×2にスピーカー出力、マイク入力のほか、IEEE 1394コネクタが4ピンと6ピンが一つずつ、そしてS/PID出力も用意されるなど、かなり充実している。

 

デザインはXC cube Sportyと共通。フロントにIEEE 1394を4ピン、6ピン用意するなど充実したインタフェースが特徴

 オープンベイは先ほど述べたように、5インチと3.5インチがそれぞれ一つずつ。このほか筐体内部には3.5インチ用のシャドウベイが一つ用意されている。一般的な組み合わせを考えると、5インチのオープンベイに光ディスクドライブ、3.5インチにFDDが収まり、HDDは3.5インチシャドウベイに一台だけ、という構成になる。

 もちろん、3.5インチベイはオープンもシャドウもHDDを搭載し、FDDはUSB接続のドライブを必要なときに接続する、というのもありだろう(5インチベイを光ディスクの代わりにリムーバブルユニット&HDDにしてもかまわないが、ゲームマシンで使うにしてもビデオキャプチャーマシンとして使うにしても光ディスクドライブはIDEで接続されていたほうが何かと便利ではないかと、個人的には思う)。

 電源ユニットはAOpenブランドの「FSP275-60C」が搭載されている。出力は275ワット。PCI Express対応マザー搭載ということで、24ピンの電源ユニットであるが、内蔵デバイス用に用意されている電源コネクタは、大型が三つに小型のコネクタが一つとちょっと少なめ。

 筐体にあるオープン/シャドウベイの数を考えると、たしかにこれで十分ではあるが、光ディスクドライブとHDDを2台積んだユーザーが、ハイエンドグラフィックスカードに手を出そうとしたときに、電源コネクタが足りなくなる可能性はなきにしもあらず、である。

 なお、用意されている電源コネクタは標準的な4ピンコネクタのみ。ただし、Serial ATA対応デバイスのために、パッケージにはSerial ATAデバイス対応電源コネクタへの変換ケーブルが同梱されている。

製品には従来のIDEケーブルも用意されている。ケーブルに用意されているデバイス用コネクタは1基のみ。マザー上のIDEコネクタも一つなので、EX915で使える内蔵IDEデバイスは一つだけということになる

 EX915に搭載されているマザーボードは、先ほど述べたように「UX915G」というXC cube専用のもので、microATXの規格と比べると、やや細長い。今のところマザー単体製品としてはラインアップに上がっていない。AOpenではIntel 915 G搭載のmicroATXマザーとして「i915Gm」を用意しているが、UX915Gとi915Gmとでは仕様がかなり異なっている。

ドライブベイを取り去った状態。マザーボードのほとんどがクリアになって作業はすこぶるしやすい

 どちらもサポートするメモリはPC3200のみだが、搭載するスロットの数はi915Gmの4本にたいしてUX915Gは2本。また、拡張スロットの数もUX915GはPCI Express X16が一つにPCIが一つとi915Gmより少ない。その分、IEEE 1394やS/PIFをサポートするなど、インタフェースを重視した仕様になっている。

 CPUクーラーにはインテルのリテールパッケージに同梱されているものではなく、銅製のフィンを高く積層したヒートシンクに静音タイプのファンを横向きに組み合わせた、オリジナルの大型ユニットを搭載している。

 フィンにはヒートパイプが内蔵されており、CPUに面したパネルに伝わった熱を効率よくフィン全体に拡散できるように工夫されている。AOpenは、Pentium 4 560(駆動クロック3.60GHz)までこのクーラーで対応できると説明している。

EX915に同梱されているAOpenオリジナルクーラーユニット

 AOpenに確認したところ、EX915自身も現時点でPentium 4 560までの正式サポートを認めており、設計的には将来登場するだろう実クロック4GHzのPentium 4まで対応できるとコメントしている。

 クーラーユニットのファンは負荷にあわせて回転数を制御する機能をサポートしている。フル動作のときは5000rpmを超える速度でその騒音はかなりのものになるが、アイドリング時やWebブラウジング、オフィスアプリなどを使用しているときの回転数は1000〜1800rpmまで下がり、ファンの音はほとんど気にならなくなる。

 なお、インテルのWebサイトにあるUX915Gのスペック表では「Serial ATA RAID」と、ICH6Rを思わせる記述があるが、エーオープンジャパンによると、EX915搭載のUX915GはRAIDをサポートしないノーマルのICH6が搭載されていると、説明している。

ドライブベイを搭載してフル装備状態になったEX915の内部。キューブ型ベアボーンの常として、組み込むデバイスの順番は注意して作業すべし

 EX915はベアボーンキットなので、組み込むCPUやメモリ容量、(もしユーザーが望むならば)搭載するグラフィックスカードによって、そのパフォーマンスは大きく変化する。しかし、ここでは、UX915GとIntel GMA 900の実力を見るために、いつものベンチマークテストで使用しているPentium 4 540(実クロック3.20GHz)にPC3200/512Mバイト×2chを組み合わせて、定番ベンチマークで測定してみた。

PCMark04 Video Compression

Sandra2004「CPU Arithmetic Benchmark」

Sandra 2004「MemoryBandwidth」「Cache&Memory Benchmark」

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