WinFSなしでも「Longhornはなお魅力的」

» 2004年09月07日 14時57分 公開
[IDG Japan]
IDG

 期待の集まるMicrosoftの次世代Windows「Longhorn」は、統合ファイルシステムを切り離し、主要な技術の幾つかをWindows XP/Server 2003向けに提供することになるが、依然としてアップグレードするに値するリリースだとMicrosoftはうたっている。

 Microsoftのリードプロダクトマネジャー、グレッグ・サリバン氏は「Longhornを魅力的にする新たな特性や機能が多数ある」と話している。

 しかし、Longhornはもはや、Microsoftが宣伝していたような“ビッグバン”アップデートではない。「今回のアプローチは、大きく飛躍するものではないが、Longhornに向かって段階的に一歩一歩進んでいくやり方だと思う」とサリバン氏。

 詳細を明かすには時期尚早だが、LonghornはWindows Server 2003 SP1(Service Pack 1)のコードベースを基盤にするため、パフォーマンスが向上し、安定性は高まり、もっとセキュアなOSになるはずだと同氏。Microsoftはまた、デスクトップデプロイメント・管理・診断の支援ツールを組み込み、問題を簡単に検出・修正できるようにするという。

 まだ表からは見えない改良点を別にしても、Longhornではユーザーインタフェースを刷新し、デスクトップ検索機能を強化していると同氏。「2006年に私のマシンでLonghornを、あなたのマシンでAvalonとIndigoを入れたXPを走らせているとしたら、あなたは私のマシンを見て、欲しくなるだろう」と同氏。

 AvalonとIndigoは、それぞれグラフィックスと通信用のサブシステムで、MicrosoftがLonghorn用に開発したものだ。Microsoftは現在、Windows XP/Server 2003でもAvalonとIndigoをサポートするとしている。この取り組みの一環として、MicrosoftはLonghornのWinFXアプリケーションプログラミングモデルのサポートをWindows XP/Server 2003にも追加する。

 Gartner上級副社長兼フェローのデビッド・スミス氏は「Microsoftは、すぐにはアップグレードしないユーザーに向けて、より速やかに技術を定着させようとしている」と指摘する。

 Longhorn技術のサポートをWindows XP/Server 2003に追加する開発者は、Longhornシステムだけではなく、ずっと大規模なインストールベースに向けてLonghorn技術を利用できるだろう。

 土木建築企業LLI Technologiesの上級ソフト開発者、デイブ・バーク氏は「これは賢いやり方だ」と評価する。「表示・通信のサブシステムは恐らく、Longhornを大きく宣伝することはないが、漸進的な技術革新が起きている現実世界の開発者にとって、歓迎すべきニュースだ」(バーク氏)

 Longhornは2006年に出荷されるが、WinFSは抜きだ。WinFSではSQL Serverの技術を利用して、コンピュータや企業ネットワーク上にある関連ファイル・文書・メールメッセージを簡単に発見できるようになるとされていた。Microsoftは現在、Longhornのリリース後にアップデートとしてWinFSを提供する計画だ。

 LonghornとWinFSを分けたことで、MicrosoftはWinFSと深いつながりを持つ新プログラミングレイヤーのMBF(Microsoft Business Framework)のリリースを再度遅らせることになった。MBFには、アプリケーションの作成に使う複数の基本レベルのコードをOSに組み込み、開発者が容易にWindows用ビジネスアプリケーションを作成できるようにする狙いがある。

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