Intelの照準はパラレルプロセッシングに――IDF基調講演

» 2004年09月08日 08時09分 公開
[IDG Japan]
IDG

 IntelとPC業界は、クライアントコンピュータの設計・構築・マーケティングにおける重大な変化にさらされようとしている――。米サンフランシスコで開催のFall Intel Developer Forum(IDF)でポール・オッテリーニ社長兼COOが開幕基調講演に立ち、このような展望を披露した。

 オッテリーニ氏はこの日の講演で、メガヘルツ時代の終焉を正式に宣言。Intelは過去2年の間に、クロックスピードの恒久的な高速化を基本とした従来のマーケティング戦略から離れ、新しい機能と技術で性能強化を図るプランへと徐々にシフトしている。

 Intelは今後の製品でパラレルプロセッシングに照準を当てると同氏は説明。これにはマルチコアプロセッサ、仮想化技術、ハイパースレッディング技術の継続が含まれるという。

 アナリストは希望的観測として、Intelが2005年のデュアルコアプロセッサ導入計画についてさらに詳しい情報を公開すると予想していた。しかしオッテリーニ氏はこれに乗らず、この新しいプロセッサのコードネームさえ公表を避けた。ただ、2005年中にデスクトップ、サーバ、ノートPC向けのデュアルコアチップを導入すると強調、進展の大部分は2006年になると述べている。

 Intelは約束どおり、デュアルコアプロセッサのデモを実施。SGI製のItanium 2サーバで、Intelが以前公表したデュアルコアのItanium 2プロセッサ「Montecito」を使って気象モデリングアプリケーションを実行してみせた。Montecitoは2005年に登場予定。

 デュアルコアプロセッサへの移行はノートPCとサーバ用プロセッサの方がずっと速く進むだろうとオッテリーニ氏。この両分野では、Intelが2006年に出荷するうちの75%以上がデュアルコアになっている見通し。一方、同じ時期にデスクトップ用プロセッサでは、デュアルコアは半分以下にとどまる見通しだとしている。

 一方でIntelは、引き続きプロセッサの新機能提供を続ける方針だ。既にハイパースレッディングと64ビット拡張機能は提供済み。将来的に仮想化とセキュリティ機能をチップに組み込む計画だ。オッテリーニ氏が行ったデジタルオフィスPCのデモでは、Intelの仮想化技術「Vanderpool」を使って一つのチップで別々のアプリケーションとOSを実行して見せた。

 VanderpoolとLaGrandeはIntelのデジタル権利管理技術のコードネーム。同社製品に組み込まれるのは、MicrosoftのLonghornリリース以降になる。Longhornは次世代版のWindowsで、9月7日現在では2006年にリリース予定となっている。

 オッテリーニ氏は無線ブロードバンド技術のWiMaxについても口にした。Intelの考えでは、この技術は、固定型のブロードバンド回線サービスが行き届かない地域にもブロードバンドインターネットを届ける一助になる。携帯電話が固定電話の普及に与えたのと同じような影響を、WiMaxがブロードバンドの普及に与える可能性があるとオッテリーニ氏は語った。

 オッテリーニ氏の講演では、同社が最近見舞われている問題には触れなかったが、パット・ゲルシンガーCTOは、Intelにとって「苦しい時」だと認めている。同社は今年、複数製品の遅れと製造問題に見舞われ、先日は第3四半期(7〜9月期)の売り上げが目標に届かない見通しだと明らかにした(9月3日の記事参照)。

 講演後の質疑応答でオッテリーニ氏は、今年Intelのプランニングは振るわなかったと説明。今後の製品計画は個別の製品よりも、デジタルホームといったプラットフォームを中心としたものになる予定だ。

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