きょうは学生さんにカスタマイズPCの何たるかを教えてみた。イメージストーリー

» 2004年12月20日 00時00分 公開
[ITmedia]

きょうは学生さんにカスタマイズPCの何たるかを教えてみた。

阿也ちゃん悩む

 細田阿也20歳。サッカー大好きな大学生。悩む。

何かを悩む20歳

 何を深刻に悩んでいるかというと、友だちから「これいいよー、使ってごらん」と教えてもらってダウンロードしたMP3プレイヤーが動かないのである。

「え〜ん、なんで動かないのよぅ」

 困ったときは人に頼るに限る。若い女子の特権である。携帯でどこぞへコールする阿也ちゃん。

どこぞへ電話ちゅう

阿也 「し、師匠様、ヘルプ〜〜!」

師匠 「な、なんだ、いきなり?」

 原稿に詰まって呻吟している最中にかかってきた電話。出てみると、それは妹の親友の阿也ちゃんだ。彼女には“パソコンとかにチョー詳しいヒト”と認識されているらしく「師匠」と呼ばれている。PCのことなら何でも分かると思っていて、何かあるとすぐ電話をかけてくるのはいい(ちょいと嬉しい)のだが、彼女が使っているのはMacである。

 自慢ではないが、私はMacについては電源の入れ方くらいしか知らない。まあ、そんなことはおくびにも出さずに、いつも自信たっぷりに解答してあげているのだが……。

 職場の人の目を気にしつつ、こそこそと事情を聞いてみると、どうもMacでWindows用のソフトを実行させようとしたらしい。それは動かないのは当たり前だ。それくらいはわかる。しかし無碍に「そのソフトはWindows用ですから。残念!」と言って斬り捨てるのも可哀想である。どうして使えないか、その理由を懇々と説明する私(原稿はいいのか?)。

 すると阿也ちゃん「バイト代も出たことだし、Windowsマシン、買っちゃおうかなあ。友だちがWindowsのヒトばっかりなんで、話が今ひとつ通じないんですよぅ」と言い出す。

 それはそうだろう、いまやMacのシェアは消費税より低いかもしれない。乗り換えるのは私も賛成だ。相談に乗ってあげるにしてもWindowsマシンのほうが何かと便利である。「そんなら買っちゃえば」。わりと無責任にそう言ってみた。

 欲しいのなら、自分でどこぞのできあいPCでも買うだろう……という予想は甘かった。阿也ちゃん「じゃあ、どれがいいかお勧めを教えに来てくださいよぅ。今すぐ。じゃあ待ってまーす」といって切れてしまった。

 待ってくれ、オレは原稿にあたまを悩ませている最中なんだ。だいたい、社会人をなんと心得ているのか。仕事中に抜け出せるはずもないじゃないか……とブツブツ言いつつ「ちょっと打ち合わせに行ってきまーす」とそそくさと外出する私であった。

予算内でハイスペックを望むなら

阿也 「お忙しいところ、わざわざすいません」

師匠 「…それをいうか」

 軽く抗議をしておいて、おもむろに印刷した資料を取り出す。

師匠 「普通に考えればノートPCが無難なところだろう。Macもあることだし、2台目ならタイプが違うもののほうがいいんでないか?」

阿也 「そうですねぇ……DVDやTVも見られて、大きな画面のノートがいいかなぁ。できればTV録画もしたいんです」

 印刷してきた資料からノートPCのものをピックアップしつつ、何気なく「で、予算は?」と聞いてみる。ものを買う以上、予算のことは最初に押さえておかねば。

阿也 「えーと、アルバイトのお金が15万円くらいあるんで、それで収まれば嬉しいかなーと」

師匠 「そ、それはちとキツイかなぁ。ノートは諦めよう」

阿也 「えーーー、なんでぇ?!」

 ぎゃーぎゃーと騒ぐ阿也ちゃんに説教する。

師匠 「その予算で高性能なノートPCを買うのは無理ってもんだ。廉価なモデルならばないこともないけど、DVD見られなくてもいいの? 録画できないよ。画面小さいかもしれないよ。阿也ちゃんの目的には合わないと思うよ」

阿也 「しょぼーん」

師匠 「まぁ気を落とすな。省スペースのデスクトップタイプにすれば、いまのMacと設置スペースも変わらないし、わりといいスペックで揃えることも可能だと思うな。デスクトップ用の液晶モニタならノートのに比べて広い画面で見られるしね」

阿也 「今使っているMacもデスクトップだし、そう考えれば問題ないかなぁ」

 この前向きな姿勢が好ましい。

「15万円でフルスペックのノートPCはキビシイよ」と説教する師匠

師匠 「じゃあ、液晶モニタは17インチくらいにするとして、次に本体のスペックにいってみよう。どんなスペックが望みか……といってもわからないだろうから、どんなことをしたいのかを聞かせてくれい」

阿也 「えーと、さっき言ったようにDVDでしょう。あと、留守中にサッカー番組を録画してDVDにコレクションしたり、ゲームもしたいかなぁ……」

師匠 「ふむすむ。予算に制約があるから、この条件にピッタリ合うような出来合いのPCは難しいかもしれんね。とりあえず安めの省スペースPCをベースに、CTOでカスタマイズしてみるか」

阿也 「CTO? それにすると安いの?」

師匠 「CTOってのは、カスタマイズ可能なPCの買い方……っていうのかな? CTOだから安いというわけでもないのだけど、必要のない機能を選ばなければその分安くなるし、買う人も目利きが多いからプライスパフォーマンスがいいんだよ」

阿也 「プライスパフォーマンスがいいの、サンセー(笑)」

師匠 「んじゃCTOで。次は、どこのメーカーにするか……か」

 仕事柄、いま日本で売られているPCのメーカーと主な機種のスペックくらいはすべて覚えている。『一番のキーポイントはCPU? メモリ? グラフィックスカード? いや違うな、やっぱりDVDとTV録画を軸に考えるべきだろう』。該当する機種を求めてデータが頭を駆けめぐる。

 『まてまて。サッカー命の阿也ちゃんだけど、サッカー中継の録画中に別の番組を見たくなることもあるはず。とすると、TVチューナが付いた液晶モニタとの組み合わせがいいな。となると……』。

師匠 「HPのマシンなんかいいんじゃないかな」

阿也 「HPってプリンタ屋さん? Macに繋いで使ってるけど」

師匠 「プリンタも作ってるけど、PCでも有名なんだよ。とくに今回の要望にはぴったり合っていると思うんだが」

 脳内でピックアップされたのは、HPの「Business Desktop dx6100 ST」シリーズ。省スペース型の本体に17インチのTVチューナ付きワイド液晶を組み合わせたモデルがあり、阿也ちゃんの要求にけっこう近いハズだ。

阿也 「どのへんがいいんですか?」

師匠 「シャープ製の液晶ディスプレイを選べるところかな。とくにTVチューナ付きのものだと、PCの電源を入れなくてもTVが見られるし、ピクチャ・イン・ピクチャ機能も付いているんでPCとTVとの切り換えが簡単だよ。他にもELSAっていう、ちょいと小粋なメーカー製のTVキャプチャカードが選べたりするのも個人的にはマルだ」

阿也 「パソコンに小粋って……。師匠、意味不明〜(笑)」

師匠 「茶々いれないの。ということで、HPのサイトに繋いで見積もりしてみよう」

オンラインでさくさくとカスタマイズ可能だ

阿也 「ひょぉ〜Webから簡単に見積もりできるんですね」

師匠 「君は原始人か。いまどきのパソコンはネット選んでネットで買うものだ」

阿也 「うそばっかー。慶ちゃん(注:私の妹)から聞いていますよぉ 毎週アキバに行ってるって」

師匠 「あ、あ、あれは仕事で仕方なく行っているだけだっ」

 くだらない会話を楽しみつつ、スコスコと注文内容を決めていく。ベースとなるのは、省スペース型の本体「dx6100ST/CT」にシャープ製の17インチ液晶モニタを組み合わせた「dx6100 ST/CT カスタムメイドTVモデル モニタセット」である。

 カスタマイズができるといっても、ベースユニットがCPU:Pentium 4 520(2.8GHz)、メモリ:512Mバイト、HDD:160Gバイト、8倍速のDVD+R/+RWドライブ、ELSAのTVキャプチャカード付きというスペックなので、いじるところはあまりない。

 阿也ちゃんはゲームもやりたいらしいのでCPUを若干速めのPentium 4 530(3GHz)にし、さらにDVD視聴のために液晶モニタをTVチューナ付きのワイドタイプ(同じくシャープ製)に変更した。

 グラフィックス機能についてはどうしようか迷ったのだが、予算の都合もあるのでチップセット内蔵のもので様子を見ることにした。いざとなればマザーボードがPCI Express対応なので、あとでグラフィックカードを増設するという道が残されている。

 ここまでカスタマイズして表示された見積り金額は17万2000円(消費税、配送料別途)となった。15万円の予算からは2万円少々のオーバーだ。

師匠 「うーむ。2万円オーバーしちゃったよ。どうする?」

阿也 「ど、ど、ど、どーすると言われましても。師匠が出してくれるとか? てへっ」

師匠 「そんなうまい話があるわけない。ま、これだけの高スペックのセットが17万円ちょいで買えるのだから申し分ないと思うよ。2万円くらいバイトに励めばすぐできる。さあ注文ボタンを押して」

阿也 「なんだか怖いなあ。外国メーカーだから注文してから半年後に船で到着したり?」

師匠 「HPは日本で作ってるのでありえん。さあボタンを」

阿也 「ホントに大丈夫? 着いたその日に壊れたりしない?」

師匠 「3年保証付きだし、さっきも言ったように日本で組み立ててるんだから高品質。それにHPは企業向けのコンピュータシステムも作ってるメーカーだから、品質管理には人一倍うるさいんだよ。さ、押して」

阿也 「ホントにホントに平気?」

師匠 「いいから押すっ」

カスタマイズ内容が決まったら、あとは注文ボタンを押すだけ

 やれやれ。なんとか予算に近い価格で希望に沿ったマシンにすることができた。ベースとなるモデルに修正を加えるCTO方式は、選択が素早くできるので時間がかからないのもいい。

 ちなみに、HPのPCは日本で組み立てられているので、注文から5営業日での納品と、発注時における納品日の事前確定を実現している。あとは確定した納品日を楽しみに待つのみだ。

師匠 「じゃあ、そういうことで。組み立てくらいは自分でもできるよね?」

阿也 「うん。がんばってみる」

 けなげな阿也ちゃんの言葉をあとに、会社に戻る私であった。ああ、原稿はどうしよう……。

いよいよ到着

「こんにちはー、配達でーす」という声とともに到着した、HPの「dx6100ST/CT」と液晶モニタ。玄関に駆け寄って受け取る阿也ちゃん。だ、大丈夫か?

本体はコンパクトなので、液晶ディスプレイと同じような大きさの箱に収まる

 気合いで自分の部屋へ持ち込んで、箱を開ける。液晶ディスプレイは17インチワイドながら、Macの載っていた台にちょうど収まる大きさだ。本体はとりあえず、台の横に設置してみた。ディスプレイの下にも置けないことはなさそうだ。

思わずニタニタ笑ってしまうのは、パソコン好きでなくても同じか?

 Macと違ってディスプレイにケーブルを接続しないといけないので、少し手間取ったものの、阿也ちゃん自力でマニュアルを読みこなし、なんとか設置完了だ。デジカメで写したクリスマスツリーの写真を表示させて、「速い速い〜」とご満悦。

 紆余曲折はあったものの、なかなかいいお買い物をした阿也ちゃんでした。

望み通りのスペックを手に入れてニッコリ


Model:細田阿也(オスカープロモーション


Text:粕川 満


Photo:三橋秀行



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