キヤノンの小型インクジェットプリンタ「SELPHY DS700」を試す(1/2 ページ)

» 2004年12月29日 15時28分 公開
[林利明(リアクション),ITmedia]

 キヤノンの「SELPHY DS700」(以下、DS700)は、L判フォト印刷やはがき印刷に特化した小型のインクジェットプリンタだ。SELPHYシリーズの製品としては、唯一のインクジェット方式となる。

画像 インクジェット方式を採用する「SELPHY DS700」

 使用するインクカートリッジは、CMY一体のカラーカートリッジ「BCI-16」のみだ。3色印刷となり、ブラックはCMY混合で表現する。2004年12月時点では、BCI-16はDS700専用と考えてよい。アルバム保存で約100年の耐候性をうたっている。

画像 DS700専用の「BCI-16」

 DS700はダイレクト印刷を基本とする(PC接続も可能)。その手段は、メモリカードスロット、デジカメ直結のPictBridge(およびキヤノン独自のBubble Jet Direct)、赤外線通信だ。

 メモリカードスロットにはほとんどのメディアを直接セットできるが、miniSDカードとメモリースティックDuo/Pro Duoはアダプタ経由となる。また、xDピクチャーカードにもアダプタが必要だ。

 赤外線通信は「プリントビーム」と呼ばれ、カメラ付き携帯電話で撮った画像を、赤外線のワイヤレス通信で印刷する機能だ。

画像 正面に配置されているメモリカードスロット。左側はPictBridge用のUSBポート。その上が赤外線ポート

 給排紙は前面で、用紙の印刷面を上にして給紙するのも分かりやすい。印刷時は用紙をいったん後方まで搬送するため、本体背面から用紙が飛び出る。使用時には全体で約40センチ強の奥行きが必要だ。

 気になるランニングコストは、用紙込み(スーパーフォトペーパー)の公称値で約26円。店頭デジカメDPEはだいたい35円なので、DS700で印刷したほうが安上がりだ。本体価格まで含めるとなかなかペイできないが、DPEに出す手間と受け取りに行く手間が省けるし、ホームDPE環境の楽しさと快適さを考えれば、コストパフォーマンスは十分だ。

画像 上面のカバーを開けると、インクカートリッジの装着場所が出現する。上面カバーをオープンした姿は、まるで家庭用ゲーム機さながらだ

テレビに映し出すメニュー画面と付属リモコンの操作性は上々

 DS700には液晶モニタは存在せず、ユーザーインタフェースがテレビ出力のメニュー画面のみなので、メモリカードスロットからのダイレクト印刷の場合は、テレビと接続しないとほとんどの機能が使えない。ただし本体のボタンで、すべての画像を1枚ずつ印刷することは可能だ。バッテリー駆動にも対応していないので、リビング設置が前提と考えたほうがよいだろう。もちろん、電源とモニタ画面を確保できる場所なら、持ち運んで使うことも不可能ではない。

画像 接続後表示されるメニュー画面

 テレビのメニュー画面は、付属のリモコンで操作する。メニュー構成はの通りだが、大きな文字とアイコンで見やすい画面だ。リモコンは4方向ボタンとOKボタンのほか、メニューボタンやキャンセルボタン、戻るボタンなどがあるので操作性がよい。メモリカードに大量の画像があるときは、日付で範囲指定できるサーチ機能が便利だ。

画像 本体に付属するリモコン
表■メニュー構成一覧
メインメニューサブメニュー/機能
フォトギャラリー画像を1枚ずつ見ながら印刷(枚数指定可能)
スライドショーの実行
DPEショップ画像を9コマずつ表示しながら、印刷画像と印刷枚数を個別に指定。最後に一括印刷
フォトアトリエレイアウト印刷・1枚の用紙に画像を2/4/8コマ配置
・絵はがき(用紙の上半分に画像を印刷)
・フチあり/なしを選択可能
シール紙印刷・2/4/9/16面シール
・フリーカットシール用紙(4パターン)
すべての写真を印刷
インデックス印刷
DPOF印刷
ツールボックス印刷ヘッドのクリーニングや位置調整など

 印刷設定の項目は、用紙サイズと用紙種類、日付印刷とフチなし印刷の有無だ。自動補正機能の「オートフォトパーフェクト(APP)」、「VIVIDフォト」、「ノイズ除去」も設定できる。印刷品質(印刷解像度)は固定で、1200×600dpiとなる。DS700自体の最大印刷解像度は4800×1200dpiだが、このモードで印刷するにはPCと接続して、プリンタドライバの「印刷品質」-「カスタム」-「品位1」を選択する必要がある。ダイレクト印刷の解像度は、プリンタドライバの印刷品質でいうと「標準」に相当するようだが、印刷密度や粒状感は「品位1」と見比べてもほとんど判別できない。

画質は高いがシャドウは苦手

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