デスクトップに匹敵するハイエンドスペックが詰め込まれたA4モバイル──「dynabook SS LX/L10」東芝 新型dynabook SSシリーズ(2/2 ページ)

» 2005年01月19日 17時00分 公開
[平澤寿康,ITmedia]
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 dynabook SS LX/L10の安全性に対する取り組みはこれだけに留まらない。搭載HDDに蓄積されているデータを保護するために、RAID機能を実現しているのである。

 dynabook SS LX/L10には、本体左側面に「ウルトラスリムベイ」と呼ばれる拡張ベイが用意され、標準ではDVDスーパーマルチドライブが装着されている。そのウルトラスリムベイに、「東芝RAID」オプションとして用意されているセカンドHDDを装着することによって、RAID 1(いわゆるミラーリング)が実現できるのである。

dynabook SS LX/L10にオプション設定されているセカンドHDD
dynabook SS LX/L10のウルトラスリムベイにセカンドHDDを装着することで、RAID 1機能を実現できる

 内蔵HDDにはシリアルATA対応ドライブが採用されており、さらにオプションのセカンドHDDもシリアルATA対応ドライブである。ウルトラスリムベイに、光学ドライブ用のパラレルATAインタフェースに加えてシリアルATAインタフェースも用意することで、RAID機能を利用可能にしているわけだ。

 もちろん、セカンドHDDは光学ドライブとの排他利用となるため、常にRAID機能が有効となっているわけではない。当然だが、光学ドライブを取り付けている場合にはRAID機能は利用できない。

 そこでdynabook SS LX/L10では、ウルトラスリムベイにセカンドHDDが取り付けられると、その時点でRAIDアレイの再構築を行う仕様となっている。それも、セカンドHDD取り付け時にポップアップメニューが開き、簡単なメニュー操作のみで実行可能だ。しかも、RAIDアレイの再構築はバックグラウンドで行われるため、その間に別の作業を進められる。RAID機能の利用に伴う煩わしさやデメリットはかなり少ないと言ってよいだろう。

 実際にdynabook SS LX/L10のRAID機能を利用して、RAIDアレイの再構築にどの程度の時間がかかるか計測してみたところ、約37分ほどで終了した(ドライブ容量60Gバイト)。また、再構築中にマシンをスタンバイさせたり、Windowsを終了させたりしてみたが、再起動後にきちんと再構築作業が再開された。これなら、RAID機能を利用していることすら気にならないはずだ。

 ちなみにこのRAID機能は、ソフトウェアによる制御となっている。そのソフトウェアは、東芝のサーバシステム向けソフトウェアRAIDシステム「MAGNIA ATA RAID」をベースにPC向けに開発したもの。つまり、サーバ向けRAIDシステムと同等の高信頼性を実現した本格的なRAID機能なのである。

セキュリティチップ搭載で高いセキュリティ性を実現

 安全性という部分としては、もう一つ特徴がある。それは、「TPM(Trusted Platform Module)」というセキュリティチップを搭載している点だ。

dynabook SS LX/L10に搭載されたセキュリティチップの「TPM」

 TPMには、プラットフォームの正当性を検証したり、データの暗号化や暗号化を行った場合の「カギ」を保存するといった機能が用意されている。この機能を利用することで、BIOSの改ざんや、HDDに蓄積されているデータのハッキング、マシン自体の盗難などから内部データを守る、高いセキュリティ性を実現できるのだ。

 またdynabook SS LX/L10には、TPMの暗号化機能を利用したデータ暗号化機能も用意されている。ハードディスク内に「パーソナルセキュアドライブ」という仮想ドライブを設けておけば、その仮想ドライブに保存されるデータは自動的に暗号化され、さらにカギはTPM内に保存されるため、たとえHDDを抜き出したとしても、パーソナルセキュアドライブ内のデータを復号化した状態で取り出すことは不可能となる。加えて、Windows XPの暗号化ファイルシステムであるEFS(Encrypting File System)とTPMとの連携により、さらに強固なセキュリティも実現できる。

 もっとも、dynabook SS LX/L10にはTPMを積極的に利用する独自のアプリケーションが用意されていないため、TPMを活用できる場面は、現時点ではそれほど多くないのも事実だ。とはいえ、TPMをサポートするソフトウェアが出揃ってくれば、それらを利用してすぐに高いセキュリティ性を実現できるわけで、そういった意味でdynabook SS LX/L10のセキュリティ性は、今後さらに進化していくことになるだろう。

携帯性とパフォーマンスのバランスが魅力

 dynabook SS LX/L10は、ハイエンドマシンに匹敵する基本スペックを搭載しつつ、22.8(最薄部)〜31.2(最厚部)ミリと1スピンドルの既存モデル「dynabook SS SX」よりも薄く、2キロを切る軽量ボディを実現した本格的なA4モバイルだ。

dynabook SS LX/L10の右側面(上)と左側面(下)。右側面にはウルトラスリムベイ(DVDスーパーマルチドライブを標準装備)とアナログRGB、左側面には1000BASE-T対応有線LAN、IEEE1394、PCカードスロット、SDカードスロットをそれぞれ装備する
背面にはUSB2.0×2とモデムを装備

 dynabook SS MX/M10の約7.5時間に比べると短いものの、dynabook SS LX/L10は標準バッテリパック使用時で約3.5時間(オプションの大容量バッテリパック使用時は約6.5時間)バッテリ駆動できる。さらに、RAID機能を利用することで、他のモバイルマシンには真似できないほど高いHDDデータの安全性も実現されている。

 特にビジネス用途では、HDDに蓄積されたデータが失われるというのはあってはならないことであり、本体の堅牢性とセキュリティ機能も含め、全体的なモバイル性のバランスは非常に高い。とりわけビジネス用途では、メインマシンとしてもモバイルマシンとしても安心して活用できる、一台二役のマシンと言ってよいだろう。

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