ソルダムのWiNDy Seventhブランドから発売される「SC-JU100」は、キューブ型ながら3つの5インチベイと2つの3.5インチベイをもったベアボーンPC。ソルダムでいうところの「CUBE型」に分類されるようだが、どちらかというと「育ちすぎたCUBE型」あるいは「寸足らずのミニタワー型」とでも形容すべきカタチをしている。ただ、そうはいっても寸法は幅215×高さ280×奥行き327ミリと、まずまずコンパクトだ。
SC-JU100はベアボーンシステムなのでAopenのUX915というFlex ATXマザーが同梱されている。電源も同じくAOpenのFSP275-60CU(PF)という型番。どちらも単体では市販されていないが、キューブベアボーンに少し詳しい人ならAOpenのキューブベアボーンラインアップであるXC CUBEの「EX915/EZ915」などで使われている電源とマザーボードの組み合わせと同じであることに気づくかもしれない。ちなみに、同梱されているヒートパイプ式のCPUクーラーもXC CUBEと同じものだ。
つまり「中身は同じで外側だけ違う」ということになる。ではXC CUBEとSC-JU100の違いは何かというと、端的に言えば「外側のクオリティ」だろう。つまり、ケースの品質で勝負しようという、「ソルダムらしい」強気かつ一本気な戦略なのである。
そこまで強気になれるのはなぜだろうか、という疑問を解消すべく、さっそく箱から取り出してみた。
素材はアルミが大部分だが前面のパネル部分はアクリルでできている(一部はABS樹脂)。アルミ部分の外装はつや消しのブラックに塗装されており、前面は透明なアクリルにミラーシールドという凝ったつくりになっている。さすがにケースで勝負しようというだけのことはあって、その高級感はかなりのもの。
撮影中、普段は寡黙なカメラマン氏が珍しく「いいなあ、欲しいなあ」を連発。数多くのケースやらPCやらをさんざん見てきているのにこの台詞。このケースには彼の心を動かす「何か」があるのだろうか。
本体の重さはかなり軽い。何も組み込まないケース単体で5.2キロと、ノートPCのよう……とまではいえないが、作業するときに両手を使わずともちょっと片手で持ち上げればよい程度には軽い。
で、軽々と梱包から取り出して置いてみる。正面から見ると、ドライブベイがケースの大部分を占めているのがよく分かる。前述したように5インチベイが3つ、3.5インチベイが2つである。やや大きめとはいえキューブ型のケースにこれだけのドライブを搭載できるのは異例といってもいい。
このベイの数を生かして、SC-JU100はRAID対応も謳っている。RAIDを構築する場合には、同社のRAID用のマウンタ「RAID MAN」を使えば5インチベイを2つ使ってHDDを2台組み込むことができるだけでなく、トラブル発生時にも前面からHDDを交換ができるため、保守が容易になる。
もっともRAIDといってもRAID MANではHDDを2台しか組み込めないので、RAID 0かRAID 1での運用に限られる。本格的なRAID 5などを構築したい人には不向きである。シャドウベイを組み合わせればできなくもないだろうが、故障したHDDの交換がやや面倒になる。
ただ、SC-JU100の場合にはRAID重視で使うユーザーよりも収納できるドライブの多さに魅力を感じるユーザーのほうが多いのではないだろうか。
たとえば、記録型DVDドライブを2台、HDDを2台というような組み合わせで使いたいような場合でも、余裕で対応できる。しかも、SC-JU100には5インチベイ部分に3.5インチのHDDを設置するホルダーが標準で2つ付属しているので、別途、なにかを購入する必要すらないのである。
ただし、2つある3.5インチベイのうち、HDDを収納できるのは1つだけ。3.5インチベイに2台、5インチベイに2台の計4台のHDD構成を目論んでいると挫折する。文章で説明するとややこしいが、標準で付いてくるHDDホルダーを使う限り「HDDは3台までしか収納できない」ということである(5インチベイ×2+3.5インチベイ×1)。
別の5インチ用のホルダーをどこからか調達してくれば、5インチベイのすべてと3.5インチベイ1つをHDDに割り当ててる構成も不可能ではないが、これでは光学ドライブが入らないことになる。ユーザーとしては、どういう構成にするかを事前によく検討しておくべきだろう。
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