しかし、内部に高性能のパーツを組み込んだ結果、発熱は確実に増加する。携帯重視タイプのノートPCがSonomaを採用したことで従来機種より筐体の厚みが増すケースは多々見られるが(例えば、LaVie G type J)、先ほども述べたように、X41はX40と筐体サイズがまったく同じ。もちろん厚さも変わっていない。
X41のシステム設計に携わったスタッフによると、(開発当時)IBMが品質保証の基準として設定した筐体外面の温度は「X41もX40も同じレベル」という。これは、X41もX40もユーザーが使っているときに感じる温度は同程度ですよ、ということを意味している。
発熱が大きいパーツを組み込みながら筐体表面の温度がX40並み、というX41では「冷却方法が大きく変わっている」と開発担当者は説明する。それは、クーラーユニットが大きくなったということですか?、と質問すると「いや、ヒートブロックのサイズやファンのサイズはX40のまま」との答えが返ってきた。
ただし、従来より発熱量が倍程度増えたノースブリッジ「Intel 915GM」を強制的に冷却するために、ノースブリッジのヒートシンクパネルとCPUのヒートブロックをヒートパイプで連結する、といった改良は加えられている。
発熱は増えた。筐体のサイズは変わらない。クーラーユニットのサイズも変わらない。そんなX41で冷却効率を著しく向上させたのが筐体内に設けた「風の通り道」である。X41とX40の底面を比べると、吸気用スリットの数と場所が異なるのに気が付く。
「なるほど、発熱の大きいX41のほうが吸気用のスリットがたくさん開いているのですね」と思うのだが、実際には逆で、X40では、CPUやノースブリッジが配置されている前面中央部にあったスリットがX41ではなくなっている。
これは、ノースブリッジやCPUだけでなく、HDDやメモリ、そしてなにより開発中にそのアイドル時の発熱が急に問題となったICH6Mを効果的に冷却するため、筐体内に「風の通路」を作り、そこを流れる風の力でシステム全体の熱を排出しようとしたため。
通風路をX41の筐体内部に出現させるため、吸気用のスリットは筐体周辺部にとどめ、中央部のスリットは塞いで空気の流れを確保、さらに筐体内には流路を作るための隔壁まで設けている。
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